熱く甘く切なくそして

 確かにソコは気持ちイイが、これ以上鳴戸に奉仕させるのはどこか違うと思う。だが、鳴戸は鼻歌でもうたいそうなほどに上機嫌で下腹を舐めている。
 申し訳ないと思う気持ちと、たまらなく気持ちイイと感じる気持ちが綯い交ぜになり、頭がおかしくなりそうだ。
 その間にも、鳴戸は熱心にへそを責めてきていて窪みの中に舌を入れると少し歯を立てて、皮膚を少しだけ抓み思い切り吸われるとかすかな痛みと共にこたえられない快感が押し寄せてきて、思わず大きな声で啼いてしまう。
「うっあっ、ああああ!! んあっ、はあっはあっはあっはあっ、んっんっ、きもち、気持ちいっ! おや、おや、おやぶん気持ちいっ! あっあっイイッ!!」
 ぎゅうっと鳴戸の肩の肉を握ると、くくっとのどの奥で鳴戸が笑う。
 その後も、散々へそを嬲られしゃぶられ、とうとう皮膚の色が真っ赤に染まってしまい、そこの部分だけが熱持ったように火照った感覚がする。
 その頃には龍宝のペニスも完全復活を遂げて、ビクビクと動く身体に合わせて揺れるようになる。
 今は身体がシャワーの湯で濡れているため分からないが、きっと下腹からへその辺りは鳴戸の唾液塗れだろう。だが、それすらも嬉しいと感じてしまうのは惚れているからなのか何なのか。
 そんなことを考えていると口淋しくなり、鳴戸の肩に置いていた手を口元へ持っていくとそれが気に入らなかったのか、立ち上がった鳴戸により手が退かされ、その代わりに熱烈なキスが降ってくる。
 頭の後ろと首に手を回され、ぐいと引き寄せられるとさらに強く唇が押し当たり、思わず口を開いてしまうとぬるりと鳴戸の舌が咥内に入り込んでくる。
 熱い舌だ。熱くて、ぬるぬるしているそれは龍宝の口のナカを這い回り上顎を丁寧に舐め、頬の裏側や歯列までもなぞり、最後に舌をしっかりと舐め回してちゅっと音を立てて離れてゆく。
 龍宝は顔に熱が集まっているのを感じながら、濡れた瞳で至近距離にいる鳴戸を見つめる。
「は、はっ……はあっ、おやぶん……ん、はあっ。も、いけません……」
「お前はなんでもいけねえんだな。んじゃ、なにがいいってんだ。なにがして欲しいか言ってみな」
 して欲しいこと、と言われてもいろいろあるが一体なにを鳴戸に求めていたのだろう。
 押し黙ってしまうと、大きく溜息を吐いた鳴戸は龍宝の頭に手を置き、まるで宥めるように優しい仕草で撫でてくる。
 つい俯いてしまうと、上から柔らかな声色の声が降ってきて涙ぐんでしまう龍宝だ。
「ほらな? 言えねえだろ。こういう時は、経験豊富な大人に任せなさい。なっ?」
「も、申し訳なくて……それに、俺は親分になにを一体、させたかったのか分からなくなってしまって……させたかったというか、してもらいたかった? ……よく、分からないんです」
「そりゃ、こういうことだろうよ」
「こういう……?」
 くいっとあごを掬い取られると、ずいっと鳴戸の顔が迫ってくるが龍宝は咄嗟に両手でその顔を押し退けてしまい、後ろに下がれるだけ下がってタイル壁に背中をつける。
「よ、止してください! 親分はこんなこと俺にしちゃいけない! ……だめなんだと、思います」
「なんでだめなんだ? じゃあ、お前なんできっかけなんて作ったんだよ。どうして涙なんて見せた。お前に泣かれて、俺がそれでいいと思って眠れるとでも思ってんのか」
「おやぶん……?」
「言っとくがな、お前は俺の中でそんなに軽い存在じゃねえぞ。だからこうして、こうやってお前の傍にいる。だが、龍宝。お前を女と思ってるわけでもねえ。ちゃんと男として、こうしてやりてえって思ってる」
 ゆっくりと鳴戸の腕が上がり、伸びてくるそれに怯えて思わず身を縮めて眼を固く閉じるとそっと、頬に手が宛がわれ、親指の腹で優しく肌を擦ってくれる。
「眼ぇ開けろ龍宝。開けて、こっちを見ろ。怖くねえから。なんも怖いことはねえよ。こっちを見な」
 さらにもう片方の頬も手で包み込まれ、その確かな温かさに思わず身体の力が抜けてしまい、恐る恐る眼を開くと、そこにはこれ以上なく優しい笑みを浮かべた鳴戸がおり、慈愛の篭った瞳を見ているうち、心の中に秘めていた感情が溢れ出し、それは涙となって龍宝の頬を伝い鳴戸の手に流れて浴室の床にぽたぽたと音を立てて零れてゆく。
「おや、ぶんっ……おれっ、おれはっ」
「いい。今はなにも言うな。言わなくていい、分かってるから。いいから泣き止みな。そんなんじゃなにもできやしねえ」
「なにを、するんですか……?」
「随分と間抜けなことを聞くんだな。そんなん、分かり切ってるだろ。こうするんだよ」
「こう……? っあ!! ……やっ!!」
 いきなり顔を引き寄せられたと思ったら、まるで齧りつくように口づけられめちゃくちゃに唇を押し付けられる。勢い余ったそれに、抵抗を示してしまうがそれすら飲み込むように角度を変え、何度もキスをされ、いやがる龍宝だったがそんな気も失せるほど、何十回とキスの嵐で責め込まれる。
 息もつけない激しさで咥内を貪られ、舌を絡め取られてきつく吸われる。それも何回もそうやって責められるようにして唾液を持っていかれてしまい、上顎もしっかりと痺れるくらい舐められ口のナカ全体が熱持つようになる。
 まるで、口のナカが鳴戸の持つ熱が移ってしまったかのように熱く、そして甘かった。
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