麒麟児の贖い

 折角乗ってきた気分も台無しのその声に対し、龍宝は無視しようと決め、鳴戸の括った髪に手を入れてさらりと梳いてみる。
「龍宝様、龍宝様」
 さらにコンコンと絶え間なくノック音が響き、さすがの鳴戸も困り顔をして龍宝の頬を両手で撫で、額と額を合わせて扉を親指で指した。
「呼んでるぜ。行ってやれよ」
「知りません。それより、続きがいいです。おやぶん、続き……」
 誘うように胃の辺りを指の先で撫で、のどを反らせたところでごぐっと鳴戸ののどが大きく鳴る。
「その誘い方、犯罪級だぜ……! エッロいヤツ」
 かぷっと飛び出た喉仏を柔く食まれ、思わず息を詰めてしまうと今度は優しく噛まれた部分を舐められ、じわっとそこから快感が湧き上がってくる。
「あ、は、は、はあっ……ん、おやぶん……はあっ、好き。大好きです、好きです……あなたが、好き」
「俺も、お前が好……」
「龍宝様、龍宝様」
 そして響く、ノック音の嵐。またも無視しようと思ったが、イゴールもしつこいもので今度はなかなか引き下がろうとせず、いつまでもノックを続けてくる。
「あいつっ! ちょ、親分待っててくださいね。イイトコロを毎回毎回……!!」
「お、おいっ、あんまりきつく叱るなよ」
「親分は黙っててください! あいつは俺の舎弟です!! あのヤロー……!!」
 覆いかぶさっていた鳴戸の下から這い出た龍宝は足音を荒立てて扉の前まで行き、勢いよく開け放つとそこにはイゴールが所在無さげに立っている。
「……どういうつもりだ。俺は寝ろと言ったよな。何度も呼び付けやがって。今日は独りで寝ろ。分かるだろうがお前にも、今日がどんな日か。分かったらさっさと部屋行って寝ろ。もう、これが最後だ。俺を怒らせたらどうなるか、分かってんだろうな。分かったら、自分の部屋行け」
 バンッと音を立てて扉を閉め、ベッドに寝転がっている鳴戸に覆いかぶさるとあっという間に身体を反転させられ、ベッドに沈んだ龍宝の身体に、鳴戸の手が怪しく這い始める。
「んっ……はあっ、熱い手が気持ちイイ……もっと、おやぶん、もっとがいいです。もっとして……」
「やらしいヤツだなー、お前も。ま、そういうところもかわいいんだけどさ。てか、イゴールはいいのか」
 龍宝の怒りを宥めるかのように、鳴戸の手の甲が動いて頬を擦られるのに、その手を重ねて首を振る。
「いいんです。放っておけばいずれ諦めて独りで寝るでしょう。あいつだってガキじゃないんですから。そして、俺たちだってガキじゃない……」
「おっ、言うねえ。そうだな、ガキじゃあ、ないよな。この半勃ちしたチンポのデカさとかな」
 そう言うなり、いきなり皮でできた下穿きの上からペニスを揉み込まれ、突然のことに驚いてつい、大声で啼いてしまう。
「あああっ! やっ、そんないきなりそんなとこっ……! は、恥ずかしいっ……! や、いやですっ」
「ガキじゃねえっつったのはお前だぜ。おっ、もっと勃ってきやがった。硬くなってきてるぜ、ココ」
「やっああああっ!! やあっやあっ! おやぶんっ、やっ!!」
 手はさらに激しく動き、まるで股間を潰すような勢いで握られ、思わずシーツを逆手に持ち、腰を逃がそうとしてしまうがそれを許す鳴戸でもない。
「ははっ、かっわいいヤツ。逃げられるはずねえのに。ほら、ほらほらこうか? こうか!」
「やっ、止めて揉まないでくださいっ! か、感じるっ!! だ、だめ感じるっ!!」
 必死になって喘いでいると、頬に擦り寄られ熱いほどのその触れ合いにますます身体の感度が上がってゆく気がする。
「はあっはあっ、おやぶん、おやぶん好き。大好き、ああっああっ、大好きぃっ!!」
「お前って気分が盛り上がってくると俺への愛が爆発するよな。そういうトコ、好き」
 そう言うなり、頬をまたしても舐められてしまいその唇は龍宝の唇を捉え、ちゅっちゅっと音を立てて吸っては触れて、舐めてそしてまた吸ってということを繰り返し、その遊びのようなキスに満足いかなくなった龍宝は、自分から鳴戸の首に両腕を引っ掛けて濃厚なキスを強請る。
「んっんっ、そんなキスいや。もっと違う、違うキスしてください。もっと、違う親分だけのおやぶんのキスが欲しい……」
「やらしい誘い方だぜ……お前ってこんなエロかったか? エロかったか」
 くっと唇を差し出すようにして後頭部を枕に押し付けると、あごを噛まれてしまいそのままその唇は龍宝の唇を捉え、ちゅっちゅっと音を立てながら吸われそしてぢゅっと唾液を吸われ持っていかれてしまい、あっと思う間もなくその拍子に少し開いた口からするりと舌を忍び込ませてナカを大きく探られる。
「ん、んンッ! んっんっんっんっ、んっふ、んむ、ん、ふっ……ふは、は、あっ……」
 甘く啼くと、その声ごと舌を絡め取られたので龍宝からも応えるよう、舌を伸ばして濃厚に鳴戸のソレと絡ませ合い、唾液を吸い合い、そしてまた絡める。
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