デイドリーム
薄ぼんやりとした意識の中、誰かが身体に触れている感触で薄っすらと眼が覚め、そんな風に自身に触れてくる人物などたった一人しか思い至らないので、そのままその手に身を委ねると今度は首元に口づけが落とされる。「んっ……んん」
思わず啼いてしまうと、今度は男らしく飛び出た喉仏を柔らかく食まれそして大きく舐め上げられ、それにも感じてしまい首をさらに反らせると意図を酌んだようにさらに二度、三度と食まれ続け微々たる快感が首筋から全身に行き渡り、その官能的な感触にさらに啼いてしまう。
「んっんあっ……あ、ああ、鳴戸おやぶんっ……」
つい名を呼んでしまったことで、なんとなく失敗した気分になったが、確かに今、自身に触れているのは鳴戸だと確信が持てる。
こういうことを許しているのは今のところ、鳴戸しかいない。寧ろ、過去にも居ただろうか。そして、これから先もきっと、鳴戸しか許さないであろう身体への愛撫。
背に何度も柔らかく唇が落とされ、肩口にも同じように唇が置かれ頭を優しく撫でてくるその大きな手は熱く、身体にも這わされその性的な触れ方にまたしても啼いてしまう龍宝だ。
「あっ……んんっ、んっ……はあ、おやぶん、きもち、いっ……」
無骨な男の手だが、それが鳴戸の手だと思うだけで快感は倍増しになり、ただ身体を撫でられているだけといえばそれだけだが、龍宝には充分過ぎる愛撫だ。
その手は脇腹を撫で、龍宝の弱い部分である下腹へと行き着くと執拗に大きな手で撫で擦られ、思わず息を上げてしまう。
何故こんなところが弱いのかは分からないが、どうしてか触れて撫でられるとぞくぞくするような気持ちよさを感じてしまうのだ。
ついでと言わんばかりにへその窪みに指が入り、こちょこちょとくすぐるように指が動きそこでも感じてしまい背が勝手に海老反ってしまう。
「あああっ! あ、んっ……ん、んん、おやぶんだめ、だめ……はあっ、ああっ……」
痛くない程度に窪みをいじられ、指が離れてゆくと代わりに舌が入り込み丁寧にへそからその周辺をゆっくりと味わうように舐められ、痺れるような快感が愛撫された箇所から拡がってゆく。
手の行き場がなくて彷徨わせると、片手を取られて恋人繋ぎされ握り合った箇所から熱が流れ込んでくるくらい、鳴戸は熱くまるで燃えているようだった。
舌も同様に熱く、へそに火が燃え移ったかのようにじんじんとした快感が舐めしゃぶられるたびに感じ、思わず握っている手に力を籠めると同じくらいの力で握り返してくれる。
その確かな安心感と、後は愛されていると勘違いしてしまいそうなほどの行動に、龍宝は夢見がちな気分で愛撫を受け止める。
へそは特に鳴戸が気に入っているのか、それとも龍宝が弱いからそこばかりを集中して舐めるのかは分からないが、いつもへそに至ってはとても丁寧に愛される。
窪みに尖らせた舌先が入り、まるで抉るように細かく舌を使って震わせるようにしてしゃぶられ、その確かな快感にまたしても背が海老反る。
「あああっ! あ、あっ……! や、おやぶん、や、そこばっか、いやですっ! か、感じるっ! 感じちまうからっ、よ、止してくださいっ、あぁっ……!」
シーツの波を泳ぐようにして腰を捩らせると、身体を伸び上がらせてきた鳴戸に片手で頬を包み込まれ、そっと眼を閉じると唇に柔らかで湿った感触が拡がる。
鳴戸と、キスをしている。
キスは特に、龍宝にとっては愛撫よりもかなり重要な位置を占めており、ここだけの話だが今まで生きてきてキスというものを交わしたのは鳴戸が初めてだ。
女も何人かは抱いてきているが、キスをしようとも思わずただの性欲処理の道具としてしか見れなかったため、初めてのキスは鳴戸ということになる。
ファーストキスはそれは、感動した。今まで生きてきてここまで心が満たされる行為をしたことが無いと自負できるくらいに、鳴戸とのキスは心地が良くて温かく龍宝の凝り固まった心を溶かした。
こうして身体を愛撫してもらう仲にまで発展した今でも、キスは龍宝の中では特別なところに位置している行為だ。
初めは触れるだけのキスを何度も交わし、角度を変えて唇を吸われ舐められる。なんという快感だろうか。
思わず口を開けてしまうと、ぬるりと鳴戸の舌が咥内へ入り込んできてナカを大きく舐められる。鳴戸は舌まで熱く、絡め合わせると舌が火傷をしてしまいそうなほど熱持っていてその感覚にも快感が眠っていて必死で鳴戸の施す動きについてゆくと、最後ちゅっと音を立てて唇が離れてゆく。
それが惜しくて、今度は龍宝から追うようにして鳴戸の唇を奪う。
驚いた様子の鳴戸だったが、構わず積極的に何度も唇に口づけぢゅっと強く吸うと咥内に溜まっていた鳴戸の唾液が流れ込んでくる。それを、のどに流し込むとふわっと鼻から鳴戸の味が抜けてゆき、それもまた気持ちがイイ。
満足して唇を離すと、今度は鳴戸が追ってきて口づけられ思い切り吸われると、唾液が持っていかれ目の前にあるのどが大きく上下する。
そうやって戯れるようなキスを愉しんでいると、ふと眼が開きそこには大きな傷のある鳴戸の目元が目に入り、思わず笑んでしまったところでハッと意識が急激に覚醒し、一瞬どこにいるのか分からなかったが、周りを見渡しても鳴戸の姿は見えずここが自分の部屋で、そして独りで寝ていることが分かり、今のが夢だったと気づくと股間が大変なことになっており、完全に勃起したそれは自分でどうにかしないことには治まりがつかないと仕方なく、ベッドから起き上がり縁に腰掛けて下穿きを寛げる。