独り遊びの片隅で

 どうにもこういったことを自分でするのは苦手だ。浅ましい気がしてならない。だが、男という性である以上、仕方がないことも重々分かっている。
 大きく溜息を吐き、下を向くと勃起した自分のペニスとご対面だ。先端からは既にカウパー液が滲み出しており、亀頭に拡がってきている。
 もう一度溜息を吐き、ゆるりと自身を握りゆっくりと扱き始める。オカズはもちろん、先ほどの夢の続きだ。
「あっ……はあっ、鳴戸おやぶんっ……は、はっ……んっ、イイ、イイです、すごく、イイッ……!」
 妄想の中の鳴戸は、開いた足の間に入っており龍宝の大好きな優しい笑みを浮かべてペニスを扱いてくる。だが、不思議なのは何度もこういった夢を見たり妄想をしたりしするが、何故だか鳴戸がペニスを舐めたことが無いのだ。
 それは龍宝の潜在意識がそういったことにストップをかけているのか、はたまた実際に舐められたことが無いからそういったことが影響してなのかどうなのかは分からないが、決して鳴戸はペニスを口に含まない。
 だが、龍宝は逆にこういうことの際、必ず鳴戸のペニスを愛してからセックスに入るようにしている。愛ゆえなんて言葉を使うと陳腐に聞こえるかもしれないが、鳴戸の身体についていてしかもそれを龍宝のナカに挿れて気持ちよくしてもらっているモノなので、逆に触らせてもらえないと残念だという気持ちが強く出る。
 それを鳴戸に言ったことがあるが、鳴戸は苦笑いをしてそんな必要はないと言ってくれたが、龍宝とて男。そこを舐められたり刺激されたりすれば気持ちイイことくらいは知っているし分かっている。
 それだけがすべてではないが、とにかく愛したいという気持ちが強いことは確かだ。それに、興奮もする。鳴戸のペニスを愛しているという事実が、龍宝の気持ちに火をつける。
 自身のペニスを扱きつつ、片手で先端に滲んだカウパー液を指にとってへその窪みへと塗りつけ、くちくちと音を立てて窪みを指で刺激する。
「あっあっ、や、だめですおやぶん、そこは、そこっ、そこ、だめっ……! や、感じるっ……!」
 妄想の中では、しきりに鳴戸がへそを愛してくれていてその疑似愛撫に興奮が隠せない。
 目を瞑り、必死に頭の中で自分がいいように鳴戸が動いてくれることだけを考え、手淫に耽る龍宝だ。ペニスはますますカウパー液の量を増し、一回りほど大きくなったように感じる。そんなペニスを、鳴戸は激しく扱いてきてカリのところに指を引っ掛け、くりくりと捻り回してくる。
 これも、龍宝が弱いところだ。
 妄想と同じく、自分のペニスのカリを指で捏ね繰り回しさも鳴戸がしてくれているように脳内で変換をしつつ、だんだんと射精感が増している自身を必死で扱きたくる。そのうちにカウパー液が溢れ出てきて扱くたびにくちゃくちゃと音を立てるようになる。
 かなり興奮している証拠だ。
「はあっ、はっはっはっ……んっ、おやぶん気持ち、気持ちいっ! やっ、そんなにしたらイっちまうっ! イっちまううっ!! はっ、あっ……んんんっ!」
 そろそろ追い上げの時か。
 改めて両手でペニスを持ち、片手は根元を握り亀頭を中心に揉み込むようにして扱きながら手を動かす。やはり、亀頭は感じる。射精感がぐんぐんと増し、龍宝は頭の中で鳴戸が「イってもいいぞ。イっちまいな」そうやって声をかけてくれる妄想を繰り広げ、さらに自身を追い詰めてゆく。絶頂はもうすぐだ。
 手を激しく上下に動かし、やってくる快感を受け止めつつ妄想はさらに拡大し鳴戸にアナルを貫かれ、穿たれながらイクといったことにまで発展し、ますます興奮は高まるばかりだ。
 後ろがやけに疼くが、本物の鳴戸はここにはいない。だが、ますます妄想は発展しひたすらにアナルを突かれ、自分がまるで女のように喘いでいる姿だった。
 一番見たくないものだが、鳴戸に愛されている自分の姿を想像するのは愛しいと思う。そんな妄想の中の鳴戸の背に手を伸ばし、必死で動きについてゆく。
 するとやってきたのは強烈な射精感で、手の動きも自然と高速になる。
 ぐちゃぐちゃと音を立てながら最後の追い上げに入る龍宝だ。
「ああああっ! ああっあああっくうううう、イック、イック、おやぶん、おや、おや、おやぶんイクッ!! イっちまううううっ!!」
 床に付けている足ががくがくと上下し、腰も捩れビグビグと跳ねる。こうなってくると射精はもはや目前だ。
 そのうちに腰が温かくなるようなそんな感覚に襲われ、下半身に快感が集中する。
「んあっ! あああっ、あああううううおやぶんっ、おやぶんイクッ! イっちまう、い、い、イクッ……! ああああイック、イック、イックうううっああっあっあっあー!!」
 頭の中が真っ白に染まり、身体全体がビグビグと痙攣し握っているペニスから勢いよくザーメンが噴き出し、それは自身の手と腹を汚しながらやってきた射精の快感に浸る。
「はあっはあっ、んっあっ……き、気持ち、気持ちいっ……! イってる、イってる……!」
 最後の最後までペニスに残っていたザーメンを搾り出すようにして、快感と共にさらにペニスを扱くと、気持ちよさと共に少しのペニスが鈴口からぴゅくっと吐き出され、思う存分絶頂の余韻を味わう。
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