情熱を浮かせて

　すると先ほど感じた射精とは違う何かべつの、気持ちのイイなにかが腹の底から湧き上がって来て、龍宝を困惑させる。
　確かに射精感より確実に快感が強いが、それが何かが分からない。未知の快楽に身を震わせると、さらにＧスポットを嬲るように指が動きこうなってくると少々痛いくらいの方が気持ちよくなってくる。
　へその愛撫にも力が入り、窪みを舌先で抉るように舐めしゃぶられその二点責めにとうとう限界がやって来る。
「うあっ、あああっ、あああううううイック、イック、おやぶんっ、おやぶんイクッ……！　あっあっ、なんか、違うなにかが、なにか来るッ……！　うっく、ああああ来る、来る来るッ！！　おやぶんっ！　おや、おや、おやぶんっあああああ！！」
　さらに苛烈を増す責める指と舌。
　胎のナカで快感が大爆発を起こし、頭の中が一瞬にして真っ白に染まる。
「あっああああああー！！　イック、イック、イクイクイクイクイク！！　うあああああイクううううっー！！　あああっ、ああああああー！！」
　身体が勝手に跳ね捩れ、腰にいたってはビグビグと上下に動いてしまい腹はまるで蛇腹のような動きを見せたが、射精はしなかった。ザーメンが出ないのだ。
　だが、快感だけはザーメンの出る快楽よりももっと強力なもので、龍宝は頭からなにもかも飛ばしてしまい、ただただ与えられた快感をひたすらに享受するだけだ。
「うっうっ、イってる、い、きもち、きもちいっ……！　あああ、うううううー……！　快感が、身体から出て、いかないっ……な、んでっ……！」
「空イキだな、そりゃ。まあ、メスイキなんて言葉もあるが龍宝とうとう、俺のモンになったな」
「どういう、意味……」
「これってさ、一度味わっちまうともう抜け出せないらしいぜ。そんで、こうやってオマエをイかせられるのも俺だけってわけだ。だから、俺のモン」
「はあっ、は、はっ……そんなことしなくても、もうとっくに俺はあなたのモノですっ……！　んんん、気持ちよすぎてつらいっ……！　おやぶん……」
「分かったって、んなかわいいツラしてこっち見んな！　すぐにいいモンくれてやるから。とびっきりの、お前が好きないいモンやる」
　ぬぼっと勢いよく二本の指が引き抜かれ、その衝撃に思わず「うああっ！！」と啼いてしまうと、両脚を大きく割り開かれ、改めて鳴戸が足の間に入り布団に膝をついて正常位でピタリとアナルにペニスを宛がい、先端のぬるつきを窄まりに塗りたくっている。
「んじゃあ、そろそろいくか！　ついてこいよ龍宝。最初から飛ばしていくぜ！」
「んっんっ、早くっ……早くそのいいモノくださいっ！　おやぶんの、いいモノっ！」
　するとゆるゆるに解れたアナルへ先端が突き進んでくる。まずは第一関門の亀頭からカリまでを突破するとあとは楽なもので、鳴戸が丁寧に緩めてくれたし挿入もかなりゆっくりなため、苦しくもなくただ、快感だけが鳴戸が埋まっている胎から下半身、そして全身に行き渡ってゆく。
「ああ、あっあっあっあっあっ……んんっ、ああっ……お、おやぶんが、ナカ来るっ。すっごく、奥に来てっ……あっあ、んんっ、きもちいっ、気持ちイイッ」
　限界までペニスが収まると、ナカがいっぱいになり心も満たされてゆくようだ。そのうちに緩やかなピストンが始まる。
　足を掬い上げる形で布団に手を突き、伸び上がってきたと思ったら目の前には鳴戸の顔のドアップ。つい反射で目を閉じると柔らかで湿った感触が唇に押し当たり、半開きの口を大きく舐めてくる。
　龍宝からも応ずるように舌と舌とを絡め、その間にもピストンは止まらずに腰を進ませてきては快感を送り続けてきて、思わず身体が勝手に震えてしまう。
　ビクビクぴくぴくと細かく身体全体が動き、揺さぶられるそのタイミングに合わせ、勝手に声が出てしまい、それに羞恥を覚えるがどうしても止められない。啼いてしまうのだ。
「んんっ！　あっあっあっあっあっあっあっあっ！　ああっ、んっあああう、きもちいっ、気持ちいっ！　おやぶんっ、おやぶん好きっ！　すきっ、あっ、すき、すきすきっ！　あっあっ！！」
　だんだんと早まるピストン。まるで腰を回すようにして動かされ、そうすることで自然とＧスポットへペニスが当たるようになる。
　この責めをされると、頭の中が飛んでしまう。
　そして、イキと快感と鳴戸のことしか考えられなくなってしまうのだ。それを分かっていてやっているのか、どうなのかは分かりかねるがとにかくセックスが上手いのは確かだ。
　その手管にすっかりやられてしまっているが、それもやぶさかではない。こうして充分な快感を与えてもらえるのだ。
　その感覚に身を任せると、やって来るのは極上の快楽だ。
　だんだんと揺さぶられる速度も早まり、それと比例するように快感もどんどんと増しては身体の中を巡りめぐって、それはすべて下半身に集まる。
　このホテルでの情交で一体、何度達しただろうまたやってくる快感の波。腰を強く使われれば使われるほどに気持ちよさが増し、龍宝を何も分からない、したたかに快感だけを追う化け物へと変えてしまう。