トリガーに手をかけて

 声ももちろん止まらず、はしたない喘ぎ声を発しながら鳴戸に快感を訴える。今はそれしかできそうにない。龍宝がこの時にできることは鳴戸の激しさをひたすらに受け止めることだけだ。
 そしてそれを、快感という名で消化して勝手に愛のある情交だと勘違いして受け止める。抱かれる時はいつもそれの繰り返しだ。絶頂に達しては自分の中で愛があると決めつけ、満足して終わる。そのことに虚しさを感じないわけではないが、こうして今、鳴戸は自分を見てくれている。それ以上を強請るのは傲慢なのだ。
 そう思う理性と、なにもかも奪ってしまえという凶暴な感情も確かに心の中にはあって、いつでもせめぎ合いを続けているのも確かなことで、鳴戸といると幸せだが不安にもなる。
 本当に、好かれているのだろうか。
 そう疑ってしまう自分がいることを、龍宝は恥じている。
 その心から目を反らすよう、鳴戸の刺青を背負った背に手を回し、グッと爪を立ててナカで暴れ回っている鳴戸を感じる。そうする方が、今は幸せだ。今の鳴戸の時間は龍宝だけのモノなのだから。
「あっあっ! おやぶんっ、おや、おや、おやぶんっ! きもち、気持ちいっ! 気持ちイイッ! あ、あっ……んっ、おかしく、なるうっ。アタマ、おかしくなるっ」
「おお、おかしくなっちまえ! 歓迎するぜ、おかしくなったオマエ、見てえなー」
「やっやっ、ホントにッ! ホントに、おかしくっ……あっ、ああああイキそうっ……! おや、おや、おやぶんイキそうっ……! そんなに、ナカ突かれるとイっちまううっ!!」
「そうか、イクか。よし、イけ龍宝! またイったらイかせるまでだ。空イキできるとなりゃ、何度でもイけるしな。イけ、イけったら!」
 がつがつと貪るように腰を打ち付けられ、Gスポットにもごりごりとしこった塊を削るようにしてペニスが何往復もする。
 もはや悶絶の龍宝だ。
 またイキの波が襲ってくる。どうしても龍宝をイかせたいのか、鳴戸の腰の動きはかなり早くそして乱雑なものでとにかく穿ってくる力が強い。
 がくがくと身体を揺さぶられ、とうとう結合してからの第一回目であるイキを体験してしまう。
「うあああああ!! ああああ、あああうううっイック、ああああだめ、だめイク、イクイクイクイク!! ああっ、イックッ……!! んあっ、あああうがまん、できないいいイックううううっああっあっあっあー!!」
 内ももが震え、身体も痙攣し頭の中を真っ白にしてイキを愉しむ。
「い、い、イってる、イってるっ! ああああ気持ちイイッ! あっあっ、い、イイッ……! は、はあっ、は、は、は、はあっ……はふっ」
 何度にも分けて龍宝と鳴戸の腹の上で揺れていたペニスからザーメンが発射され、それは二人の身体を汚しながら飛び散り、龍宝は脱力した身体を布団に投げ、射精による快感に思う存分浸る。
「は、は、はあっ……カラダ、熱いっ……! はあっ、おやぶん……」
 イった後にも、未だ鳴戸の腰は止まっておらず、緩やかでもGスポットにペニスを擦らせ刺激を与えてくる。こんなことをされれば、またすぐに勃ってイってしまうだろう。
 だが、鳴戸も言ったがイったらまた勃たせてイけばいい。鳴戸との交わりは、それがいい。一回イって終わりだなんて、勿体無さすぎる。
 未だ全然足りない。それが行動に出たのか、つい唇を舌で舐めてしまうと身を屈めてきた鳴戸に出した舌を食まれてしまい、食まれたまま少し激しめの律動が始まる。
「んっんっんっんっ、んんっ、んんんんー……! んあっ!!」
 食まれた舌を解放され、漸く息が吸えると思ったところでまるで被せるようにして唇を塞がれてしまい、咥内に舌が入り込んで大きくナカを舐められる。
 腰の動きは相変わらず激しく、龍宝を責め立ててくる。舌の動きも同様に、官能を引き出してくるようなそんな口づけをされ、うっとりと受け止める龍宝だ。
 そのうちに唇が離れてゆき、少し口淋しく思っていると両頬に鳴戸のキスが落ち、にかっと笑んでくる。こういう時の最中にこうして笑うということは、何か考えてのことだ。
「よっしゃ、下から責める。お前は……俺の上に乗りな。体勢逆転だ」
 柔道の要領であっという間に鳴戸が布団にひっくり返り、龍宝は鳴戸を跨ぐ形にもっていかれ、思わず自分から腰を動かしてしまう。
 これもまた、気持ちがイイのだ。自分でイイトコロにブチ当てることもできれば、鳴戸が下から突いてくれるのも、快感がものすごい。
 思わず手を彷徨わせると、両手を恋人繋ぎで握ってくれゆさゆさと腰を揺さぶっているとそのうちにだんだんと鳴戸からの突き上げの方が激しくなり、夢中になってその動きに酔ってしまう。
「ああっ、あっあっあっあっあっあっあっあっ! んっああっ、あっあっくう、きもち、きもちいっ! おや、おやぶんきもちいっ! あっあっ、イイッ! い、い、イイッ!! んっくう!!」
 そのまま上半身を傾け、龍宝自ら鳴戸の唇と自分のモノを重ね合わせて、キスしながらの突き上げに大興奮だ。
 そのまま両腕に体重をかけて口づけていると、徐に手が外されその手は龍宝の背に回りぎゅっと抱きしめられたまま、下からの猛攻が始まる。
「ああああ!! うあっあああうううっ! はげ、はげしいっ!! やっ、おやぶんイクッ! そんなことされるとイクッ! ああああああ!!」
「おお、イっちまえ! イったら勃たせる! 勃たせてまたイかせてやっからイっちまいな!」
「そんなっ……あっ、あああっ!! やっ、イクッ!!」
 こんなに早漏だっただろうか。自分で自分の身体が信じられない。だが、正直なもので身体はイキを要求している。
 その勢いに負け、勝手に射精準備に入る身体を持て余しつつ、鳴戸の激しさに溺れる。

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