幸福の海

 するとまたしても二人の空間が拡がり、目の前には布団が二組どーんと敷かれた様が眼に飛び込んできたがそのまま頭を撫で続けると鳴戸が徐に布団を指さした。
「おい、布団があるぞ」
「ありますね」
「なあー」
「なにがなあですか。甘えはいけませんよ」
「なあ、なあー、なあ、布団があるって」
 そう言って、腰回りに抱きついてくある鳴戸の手は不穏に動き尻を撫でてくる。
「ちょ、尻を撫でないでください」
「お前の尻ってさ、引き締まっていいカタチしてるくせにやたら弾力があって触り心地いいんだよな」
「知りませんよ、自分の尻がどうなってるかなんて」
「お前さ、ちょっと誘ってみろよ。俺に抱かれたくねえ?」
 その鳴戸の言葉に、顔を真っ赤にする龍宝だ。抱かれたくないと言えば嘘になるが、改めてこうして面と向かって言うのはさすがに照れる。
「そ、それはっ、その……で、できません!」
「じゃ、今日の夜は健全におやすみなさいだな」
 くっと唇を噛む龍宝だ。気分が乗っていて意識が半分飛んでいればなんとでも言えるが、シラフでは言葉がどうしても出てこない。
「あの、だ、抱いて、抱いて……くださ、い」
「なんか直接的過ぎやしねえか? もう一回だな。じゃねえと気分も乗らねえや」
「……おやぶん。親分の手で存分に、その、俺のこと、か、かわいがってください。も、もうこれが最後です!」
 膝に鳴戸を置いたまま立ち上がると、鳴戸の頭が落ちるがそのままにして布団の上へと腰掛け、自ら腰の帯を解きそして、鳴戸に背を向けて浴衣を脱ぎ捨て上半身を曝け出す。
 すると後ろで布ずれの音がして、頭をわしゃわしゃと撫でられ正面に鳴戸が回り、きつく抱きしめられる。
「合格、だな。そうだな、思いっ切りかわいがってやるか! 龍宝たってのおねだりだもんな」
「あなたが無理やり言わせたんでしょう。おねだりでも何でもありませんよ」
「じゃ、なによ」
 龍宝は暫く黙るが、結局出てきた言葉はこれだった。
「……おねだり、です」
「かっわいいなあ、やっぱりお前は。ホント、憎らしいほどかわいいぜ」
 まるで吸い付くように唇にキスが落とされ、角度を変えて吸い付きながらちゅ、ちゅっと音を立てて口づけされ、だんだんとソノ気になってくるのが分かる。
 鳴戸の口はいつもよりも熱いような感じがするのは気のせいか。ちゅっと口を吸われるたび、熱さが流れ込んでくるようだ。その性的快感に、大胆になってゆく自分が感じられる。
 龍宝からも舌を伸ばし、鳴戸のモノと絡めて吸うと唾液が咥内に流れ込んできて、のどを鳴らして飲み下すとのど奥から鳴戸の味がふわっと上がってきて夢見心地な気分になる。
 思わず「はあっ……」と熱い吐息をつくと、鳴戸の唇が離れそれは左耳に寄せられ柔らかく軟骨の部分を食まれると身体が勝手に細かく震えてしまう。
「あ、はあっ、は、あっ……ああ、は、あっ……おや、ぶん」
 鳴戸の唇は耳の裏にもキスを落としてきて徐々に下がってゆき、口元に舌が這う。ぞくぞくっと背に快感が走り、ますます身体の震えが大きくなる。
「はあっは、あっ……おや、おや、おやぶんっ、きもち、いっ……」
 飛びつくようにして鳴戸の胸へと飛び込み、キスを強請るとすぐに応じてくれくちゅくちゅと音を立てながら濃厚なキスに溺れる。
 すると、鳴戸の手が不穏に動き出し片手で龍宝の尻を撫で回し始めたのだ。性的な意味を含めてのそれに、思わず身を捩るが、だんだんと浴衣がたくし上げられてゆき現れる形の良い引き締まった双丘。
「やっぱり、尻の形いいな。もっと見ていいか?」
「んっ……男の尻なんか見ても、つまらないでしょう……?」
「んなこたねえよ、オマエ限定。な? 見せてくれよ」
 仕方なくこくんと頷くと、浴衣を捲られてしまい手で尻を包むように揉まれ、腿の辺りを行ったり来たりして撫でてくる。
「足も、きれいだな。毛がねえ。いい足だ」
 さらさらと撫でられると、羞恥が増す。
 目を瞑ってこの時が過ぎるのを願うと、今度は後ろに回られ女の胸を揉むように両胸をわっしわっしと撫でられる。
「あ、あっ……ああ、おやぶんっ……」
 思わず啼いてしまうと、後ろから首元を重点的に舐めしゃぶられる。ココが龍宝の弱いところになりつつあるのを分かっての責めだが、事実感じてしまうのだから仕方ない。
 一体いつの間に、こんな所が性感帯になったのだろう。不思議に思うがそれは思っただけに終わり、舌を駆使してのむしゃぶられ方に身体の震えはますます大きくなる。
「は、あっ、おや、おやぶんっ……んっ、イイッ……はあっ、イイ」
 すると身体を掻き抱かれ、重点的に首元に顔を埋められて舌を使い大きく舐めしゃぶってくる。本格的に快感が身の内から這い上がってきて、身体がしっとりと汗をかいていくのが分かった。
「は、はっ……おや、ぶんっ、きもちい、気持ちイイッ! あ、イイッ……!」
「お前はどこもかしこもイイじゃねえか。エロい身体しやがって」
「ち、ちがうっ……おやぶんだから、気持ちがイイんですっ……それくらい、分かって、っん!!」
 いきなり前に回られたと思ったら、今度は責めが胸に集中され筋肉により膨らんだ胸を両手で撫で擦られ、ぢゅむっと音を立てて乳輪含め乳首が鳴戸の口の中へと消え、舌を出して勃った乳首を突くようにしゃぶってくる。
 ここも、何度と交わした鳴戸との情交で性感帯にされてしまった部分の一つだ。

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