海に月が融けたら

　ふっと唇が離れ、互いの欲情を浮かべた瞳を見つめながら、腰の動きがだんだんと早まってゆく。
　その動きに合わせ、龍宝も啼きながら鳴戸の背に腕を回して爪を立てる。
「あっあっあっあっあっあっ！！　ああっ、んあっ、あああううううきもちっ、気持ちイイッ！！　あっ、おや、おや、おやぶんイクッ！　い、い、イっちまいそうっ……！　ホントに、イっちまうぅっ！！」
「よーっしゃ、んじゃラストスパートと洒落込むか！　手首、寄越しな」
「んっんっ、イクッ！　おやぶんと、一緒にイクッ！！　イキたいっ！」
　大人しく両手首を差し出すと、ぐいっと引かれることで結合が深くなり、その上での激しい貪るような腰使いで責め立てられ、もはや半狂乱の龍宝だ。
　Ｇスポットも忘れずに穿ってくれるため、快感がどんどんと身体に溜まりぐるぐると巡る。それらはすべて下半身に持っていかれ、ぐんぐんと射精感が強まってゆく。
「うあああっ、ああああううううっ！！　イック、イック！！　イク、イキたいっ！　もう、もういやだぁ！　おや、おやぶん、イクッ！　い、い、イクッ……！　あっあああああ！！」
「んっく、俺もっ……そろそろイキてえな。あっく、気持ちイイなこりゃ。よすぎてっ……龍宝、これでイクぞ」
「んっ、はいっ！　い、い、イキそうっ……！　ああああイクッ！！」
　今度こそラストスパートとばかりに腰の動きがかなり乱雑になり、激しかった律動がさらに苛烈を増し、叩きつけられるペニスも熱く、奥を突かれるその衝撃とＧスポット責めに負けた龍宝は、とうとう絶頂に達してしまう。
「うあっああああああ！！　ああううううイック、イック、イックううううっ！　あああああ、あああうううっ、イックうううううっ！　おや、ぶんんんっ、ああああああー！！」
　身体が捩れ傾ぎ、どびゅっと勢いよく腹にザーメンをブチ撒ける。その後をすぐに追うように今度は鳴戸がイキ、腰がガクガクガクッと震えペニスがぶくぶくぶくっと膨れ上がると同時に、ナカに熱い飛沫を感じ、その刺激にも感じ入ってしまう。
「うあっ、うあっ……あ、熱い、のが、ナカにぃっ……！　ナカ、ナカ、ナカ熱いっ。き、き、きもち、きもちいっ！　あっ、イイッ！」
「はあー……気持ちイイ、イっちまってるわ。お前ン中、ブチ撒けちまってる。気持ちイイな、中出しってのは。はあっ、ヤベエ」
「ん、おやぶん……」
　どちらからともなく顔を寄せ合い、事後直後の甘い快感を分かち合うよう、触れ合うだけのキスを何度も繰り返す。
　そのうちにだんだんとキスが深まってゆき、口を半開きにするとするりと鳴戸の舌が咥内へと入り、舌を大きく舐められたので舐め返すと応酬になり、濃厚に絡ませ合いながら溢れ出る唾液を飲み下し、息を乱しながら口づけに溺れる。
　ふっと唇が離れると、至近距離に鳴戸の顔があり思わず擦り寄ってしまい、真っ赤に染まった耳を舐めると、くすぐったそうに鳴戸が笑う。
「おい、止せってくすぐったい。んなことするんなら俺にもさせろや」
「ん、耳舐めたいんですか？　……ピアスには、気を付けてくださいね」
「なにオッケー出してくれんのか。嬉しいねえ」
　すると、ふっと耳に吐息が吹きかけられぬる、と耳の凸凹をなぞるように舌が動き思わず快感を拾ってしまい甘く啼いてしまう。
「んあっ……ん、ふっ……結構、キます。きもち、イイ……」
「そうか、お前のココはそういえばあんまりいじって来なかったな。よし、今までの分を取り返すぞ」
　そう宣言するなり、尖らせた舌先で耳の輪郭を辿られブルッと身体が震えてしまうが、鳴戸は気にせず柔く噛んだり、ちゅっちゅっと音を立てて吸ってみたりと様々な愛撫が耳に施され、すっかりと快感によりトロトロに蕩けてしまう龍宝だ。
「はあっ、あ、はっ……だめ、です、おやぶん。また勃っちまうから、これ以上は……」
「勃ったならまたイかせてやるけどな」
「そういう問題じゃありません！　はあっ、カラダ熱いっ……燃えちまいそう」
「もう一発、いっとくか？」
「いきません。もうだめです、ただでさえ身体が怠いのにまたさらにって、おやぶんは絶倫ですか」
「絶倫……かどうかは分からねえが、そこそこには勃つぜ。どうする？　ヤるか？」
　暫く考えた龍宝だが、つい欲望に負けてしまい返事は鳴戸の耳への愛撫で知らせることにする。
　耳たぶを甘く噛み、舌を使って耳の中へと入れると鳴戸の身体が細かく震えたのが分かった。これは、感じている。
　そのことに気分を良くし、耳をすべて口の中へと入れてしゃぶると、ぺんっと軽く頭を叩かれた。思わず口を離すと目の前の鳴戸が呆れたような笑みを浮かべて叩いたところを優しく撫でてくる。
「こーら、なにしてやがんだ。またシたくなっちまうだろうが。誘いか？　これは」
「察しのいい親分なら分かるでしょう？　あの、あともう一回だけ……親分と、シたい。抱いて、くれませんか」
　そう言ってちゅっと鳴戸の唇に口づけると、その目に欲情が宿ったのが分かった。思わず生唾を飲み込んでしまう。
「龍宝、オマエ誘うのも上手いのね。ソノ気になった。よし、もう一発いっとくか！」
　こくんと頷き、早速首元に顔が埋められ熱い吐息をつく龍宝だった。