雨の日の憂鬱は、ベランダから溢れていく。目に見えるのは、幾つかの笑えない現状 包む現実。窓を閉めて一度だって使わない声と 頼り無いギターの音 一つ浮かべもう一つ もう一つ、あと二つ。二度、死んだ。記録して行く日々 雑踏は怖いからイヤホンに頭を貸す 少し甘い様なのは、古本屋の匂い、どこからか耳を劈く発砲音。予定調和の幻想。水溜りと朝、台風、始発の電車。
 





影を探していた。どこへいるのかわからない感覚 繋がっているのに集中できず別れを考えた 朝、寝顔が愛おしくなって、我に帰って 夜は思う存分酒を飲み 休日はただただ眠り 毎日を過ごしていた。咥え煙草で俯いた時のシルエットがまだ、焼き付いている 頭の中何度も反芻して浮かべては、ノスタルジアに縛られて 柩は繋いでおく約束だったな、だなんてことをぼうっと思い出したり そうしてまた酔っ払ってどうしようもない 生活を恨む。本に囲まれ眠る恋人に目をやる 少し開いた唇を見つめ ここがどこだかわからなくなって 起こすのは可哀想、一人では泣けないのでスニーカーを履いて外へ出る。ごうごうと鳴る風の音が焦燥感を加速させる。バーへ行って少し飲んで 帰る、それだけだ 毎日毎日毎日。支離滅裂で 生活も文章も会話もすべてがね 底のないプール、陽の昇らない海辺。
 





去っていく。何処かへ行く、浮遊したまま 足はいつまで経っても地につかず 不安は加速して行く 焦燥感と夕暮れ時の子供の声は、よく似合う。白緑の子が一粒一粒消えて行くのを眺めていた。犬が吠えている、烏が向かいの屋上で笑っている、非日常を探している 当たり前の日常の中で生活しているくせに 馬鹿だな。頭が悪いんだ 弱くてね、眠気に呑み込まれて今日も終わって行く。
 


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