白い兎の佇む公園で彼は泣いていた。缶ビールを片手に静かに泣き続ける彼を、私はただみるばかりで何もできなかった。手を触れてはいけない気がした。まだ少し肌寒い夜の風が追い詰めるのだろう 泣かないで、だなんて軽率なこと言えやしない。どうすればいいのかわからなくなった 止まってしまった様だった こんなにもどうして苦しんでいるのだろう。見る限り、マイノリティな人々はやはり、どこにも居場所がなくなるばかりだ そのくせ彼らによる反乱なんて起きやしない。変わらないのだろうな 息をするという事はあまりに責任が重すぎる。それは勿論彼らにとってもそうだし、同じく息をしているマジョリティ、大多数の人々は挙って共犯で 少数派の人々を無意識のうちに苦しめているんだろう。終わらない。気が重いな。これからのせかいはこんなにも、救いが無い侭なのだろうか。四月の霧たちこめた朝、背嚢を背にして発とう。