疑ってばかりだ、淋しさは振り幅を知らないからどこまでも振り切れないままついて回る、どこへいるのだろう、どこへ行ってしまうのだろう。一人でも眠れると思っていた、ああもうどうすればいいのだろう。途方もない。嘘みたい。夢みたい。「君」どころか、ここには誰もいない。好きな音楽を聴いて、部屋に篭っていてそれで良い。自分だけで十分、自分だけで精一杯だ。とても遠い、見えない。音楽は鳴り続ける。どこまでいっても。真っ暗な部屋。目を閉じていなければ見えないもの。空想。動けない、見つけてくれ。
 





部屋。実験をしているのをぼうっと見ていた。水中。天井も壁も揺らいでいて、水滴が落ちる様子が全ての壁に投影される、不思議だ。ここがどこなのかわからなくなる。眠たいな。ただ眠たい、窓を開けても空気は吸い込めないか、息の詰まる部屋で溺れてしまいそうだ。一緒にいるのかもわからないな。傍観している自身の影が呼吸もせず潜んでいる、鎖を跨いで生きるのが誰よりも上手なあなたと潜んで、眠って、静かだな、ここは。おやすみ。
 





不安ばかりで怖い、目の前にあるものを一つずつこなして行けない歯痒さも体温に触れると思い知ってしまう事だって、夢と現実の区別がつかないから眠るのが怖いし目が覚めたってあるのは絶望ばかりだ。人々の話声はどこへ消えて行くのだろう。泡よりも先に消えてしまいそうな生活は不安定だ揺蕩っている、微睡みはどこへもいけない。呼吸をするにもあまりに酸素が薄すぎる、息すら侭ならないこの場所は寒い。寒帯の反対はどこだ、どこへいけばいい、猫の鳴き声、目ヤニのついた野良猫は今どこへいったのだろうかな、雪の日は寒かっただろうに。シーツを洗うのも億劫だな、サナトリウムにでも追いやられてしまえば、少しは楽になるだろうか。砂の城を作って山にトンネルを、そんなのも器用に出来ないな。写真を撮るのも怖いな、見つめたくない他人も自分もファインダーをのぞくのも、カメラを持つ手が震える。君は元気だろうか。発された声はどこへ消えていく、声を使ってないなあそういえばそうだな、仕事休んで何やってるんだ、東京の片隅で、ひとりで、君は朝に出て、しっかり人と関わって、やっているというのに私は何をしているんだ、何が出来ているんだ。サイテーだな。最低だ。現状をどうにかする勇気も気力も無いんだから、当たり前だ。
 


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