□PM15:00.



「あ・・・アルバイト・・・ですか?」
夏の暑い日、もう少しで夏休み、バカンス!ではないが
友達と夏フェスだって行ってみたい!
夏祭り・夏の定番海!バーベキュー!
そして私夢の一歩に近づくためにバイトもやらねば・・・と
本来の女子高生でもあるみつきの脳内でのプランではあったが
それが半分も叶えられないのかもしれない。

隣に座っている綺麗な顔・そして暑いと言うのにスーツを着ている
男性は驚いているみつきの声を聞いた後
また話を再開させた。


車の中はエアコンがよく効いていた。






時間をさかのぼり、一条さんが学校の校門にやって来た所
からである。



■AM8:00・・・・


笑顔が太陽のごとくまぶしく感じてしまった・・・
おお、恐ろしい大人パワーってやつなんだ
と思っていると彼の名刺が胸ポケットの中に入っていた。

一条 聖也、名前をもう一度確認
してはとりあえずみつきは一条に話をするため
彼の前にいくが、なんとも人が多い。
「あの、よかったら」
言葉を残そうとした時ぐいっと肩を掴まれ
目の前には端整な顔立ちの一条がいたが
あまり見えなく耳に唇が近くなった。
「(授業が終ったら連絡を)」
お待ちしてますよ、と皆に聞こえる声で言った・・・
多分連絡のことに付いては皆は聞こえていなかったようで
まるで男が彼女に会いたかったのか抱き付いてきたように見えて
その場に居た女生徒達の黄色い声が校門を支配していたのだった。


その間に「一条」をみた女子からは
すごい質問やバッシング?などが飛ばされた。
どうしてそうなるのだろう・・・。まあ大人の男性が
この高校の生徒に用事があった事態、驚きなことなのだろう。
「何、みつきってば大人の男性の魅力に気が付いたのね。」
「いや、そういうわけじゃないんだけど。」

じゃあ何よ。と友人の言葉を掻き消すように
タイミングよく先生が前のドアから入ってきた。
出席を確認し、授業を始めようと先生が
黒板に前を向けた時、前に居る友人が小さく声をかけてきた。

「ねえみつき。ここに住所と名前書いておいて!」
前にいた友人がにっと笑顔をこぼしながらも
紙を渡され、受け取った時
「ずるい!」と席が離れたショートカットヘアの友達が
「私もみつきも書いて貰いたいの!」と言ってきた。
なんでか複数の友人たちから夏休みものを送るから
住所教えてよ!と言われて・・・みつきは意味がわからなかった。





「お前ら!授業しろ授業を!!」
先生の声が他のクラスにまで怒鳴り声が聞こえたらしく
その授業が終った後はいろんな意味で戦争だった。
男子、女子・他のクラスの女子までもなぜか住所と名前を
書いて欲しいと言われ渋々書き、面倒だと思ったら
保健室へとみつきは非難したのであった。



□PM15:00


学校帰り、とりあえず校門をちらりとみたら…
いらっしゃいました。
一条さん・・・みつきはとりあえず
ゲタ箱から靴を取り出して靴を履いて校門へと重たい足取りで
歩いて行った。いや、あの人が嫌いとかそういうわけじゃない。
足がまだ膝が完治してなくて痛いだけです。
校門前には今朝と同じおろしたてのようなスーツを着ていて
にっこりと笑っていた。






「アルバイトですか。」
「えぇ、うちの仕事場で女性が少ないんです。
ですからよかったらと思ってね。」
後ろの座席にみつきと一条が座っていた。
運転しているのは前にあった村上という男ではなく
黒いサングラスをかけ、一条と同じく黒いスーツを着ていた男。
彼は何も見ていないのか静かに、一言も喋らない。
聞こえるのは一条の声とみつきの驚く声。
一条から手渡されたのはアルバイトの募集の内容と
バイトに必要な書類一式だった。


「うちの時給は時給1500円。
もちろん、それ相応な仕事をするんだが・・・」

時給1500円、場所はとあるビルの中での接客業。
しっかりとした書類にみつきの手に汗がひたりと染みた気がする。
フロアスタッフと書いてあるが・・・
「って、風俗じゃないですよね!?」
「そんな下品なことはする訳がない。」
とピシリという一条にみつきは安心した。
さすがにそんな値段となったらそっちの世界だと
思ってしまうじゃないか(レディコミのみすぎだろうか)


「・・・ちょっと考えさせてくれないですか?」
「給料が足りないということ」
「じゃなくて・・・!急すぎるってことです!」
「・・・ならしょうがない。」

ちょっ、まっ!みつきの隣に居た一条が近づいてきたと思ったら
手を一条が掴んできて握り締められて
あああ、やっぱりこのヒトレディコミで言う悪役なんだ!
と思い天に助けを込め瞳を閉じた時だった。
ぎゅっ、と自分の親指が紙かなにかに強く押し付けられた。
一体何・・・!みつきは恐る恐る目を開けると一条が・・・また笑っていた。


「では、足の怪我が治るまではホール研修。
迎えは・・・そうだな。一応責任がある村上に送り向かえをよこそう。」
「・・・へ!?」
ほら、君の家だ。と言って気が付いたら本当に家の前で
扉を開けたのは先ほど運転していた男のヒトだった。
その人がどうぞ。というので車から降りるがどうしても
一条の言葉が気になるみつきは車内で足をくみ直し
こっちを自信有り気に見る一条を困惑した顔で見た。


「一条さん!どういう意味で!」
「そのままだ。」
と笑って窓が閉じられ、颯爽と車は走り去って行った。




・・・・

「店長楽しそうですね。」
「いや、久々に面白いと思ってな。」
みつきが居なくなった車内。先ほどまで無口であった黒服は
後ろでじっととある書類を視線に目を止めていながらも
ちらりと目だけ動かした。
ククク、と笑いが零れる。
先ほどのみつきの親指は同意書の書類の判子の代わりに
押されていて、もう一つ、と一条はポケットからあるものを出した。
「?これは?」
「彼女のクラスの友人からさ。しかし、すごい量を彼女も書いたな。」
数十枚の紙にみつきの字で自分の住所と名前・・・なぜか年齢までも。
全部同じ丸っこい字、彼女はきっとまだ知らないだろう。
「(伊藤 みつき。どういう子なんだろうな)」
黒服は先ほどの彼女を思い浮かべながらも自分たちの事務所・裏カジノ
へと車を向かわせた。







欲望アバンチュールA











2011.08.02


言い訳。

全然一条店長に名前で呼ばれていない件について。
すいません。でも一条店長に結局仕組まれていてっていうのは
書いてて楽しかったです。店長もっとヤッテクダサーイ。
ちなみに名前を友人達に書いてと言われたのは一条さんが裏で
糸を引いたんだと思います。
友人達はノリで楽しんで居たんだと思うに1万ペリカ!


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