※森田と優太郎初接触。あくまで初接触です。
※あんまり読んでもおもしろくないかもしれない。




平井 銀二と呼ばれている男が迎えに行ってやってほしいというので夜、
ネオン街を包んでいるこの時刻・場所に森田はやってきたのだ。
場所はとある小さなバーでこの中に
銀二がまっている人がいるとなっては少しだけ緊張が走る。


裏の世界では有名なひとかもしれない、
まだ端くれな自分が務まる相手なのかと手に汗が滲む。
小さなバーの中で森田はカウンターで椅子に腰を落としていると
前の前にいるバーテンダーと目があった。
そのバーテンダーの青い瞳が薄暗いこの中でも
キラキラと光って見え、一瞬だけ鋭い緊張が走った。

「お客さん?ここ初めてですか?」
「あ・・・あぁ。」
にこりと笑うバーテンは顔も整っていてなおかつ愛想もいい、
森田が座っているカウンターのオカマが
キイイ!と何かいっているが無視をした。
「飲み物は何にします?」
「じゃあ、アレンジで何かを。」
「わかりました。」
そういって彼は作っていく。
銀色に輝くシェイカーとその音が綺麗に鳴り響いていて
彼が作った飲み物を出された瞬間オカマの甲高い声が
聞こえてきた。
「優太郎〜!ワタシ達にも美味しいカクテルをプリーズ!」
「ハハ、明美さんたちは飲みすぎですよ。」と
軽く受け流している優太郎という男は面白い感じだった。
作りながらもカウンター前にいる森田に声をかけてきた。
「どなたかお待ちで?」
「あぁ、ちょっとな…ここで待ち合わせをしてるんだ。
迎えにきてやってくれって、頼まれてね。」
「・・・そうですか。早くお相手がくるといいですね。」
ちなみに綺麗な女性なんですか?と笑っていう優太郎の顔をみて
森田はただただ苦笑いを浮かべるしかなかった。





「(結局来なかったか・・・)」
煙草を何本と酒を消費した森田は小さくため息をこぼした。
時間もラストオーダーをすぎている。
オカマの客もいなくなり、静かな店内に森田は小さくため息をはきながらも
カウンターから席を立とうとした時、グラリと体が言う事を効かなく
へたりと床に倒れそうな時だった。
店内清掃をしようとしていたあのバーテンダーが驚いた顔をして
森田を支えてきたのだ。
優太郎よりも森田の方がガタイがよく支えるといっても
少し彼の方が力が足りない。
「大丈夫ですか!お客さん!」
「・・・あ、悪い。」
「飲みすぎですよ、今水を貰ってきます。」
カウンター席からしっかりとした革のソファーに移動して
バーテンダーはパタパタと走る音だけが森田には聞こえていた。









「平井!お前に電話。」
「どこからですか?」
水をコップに入れる最中、シブい男の声が聞こえた。
ここのオーナーの男で優太郎を見つけた途端声を上げた。
使い古された黒電話をひらひらっと見せながら
「えっと、巽さんって方だよ。」
「巽さん?」
巽というと優太郎が思い浮かぶのは常にサングラスをかけた
男の顔である・・・確かにここでバイトをしている事は知っているが
初めての事だった。電話が来ると言う行動が。
オーナーから受話器を受け取ると、確かに声が巽であった。
「どうしたんですか?」
「あー、優太郎お疲れさん。
がたいのいい男が一人来店してなかったか?」
「・・・あ、多分判る。」
確証はないが先ほどの客の事だろう、巽の知りあいというのも少し驚く。
判ると聞いて電話越しの巽の声が安堵したため息をはいた。
「そっか、そいつを悪いんだが銀さんの所に連れて行ってやってくれないか。
名前は森田 鉄雄だ。」
「・・・そいつ、何。」
「オレらと同じく、な人間だ。」
頼んだぞ優太郎。といって巽が先に切り優太郎も受話器を置いた。
少しだけだが優太郎の頭がフリーズしたのがわかった・・・。
胸の奥がむかっとする。こんな事は初めてで言葉で表現ができなくて
そんな自分自身にイライラをする、悪循環。
「ほら、あの客に水だろ?」
「・・・あ、はい。」
一拍置いて、オーナーの手からコップを受け取ると優太郎は歩き出して
ソファーで半分もう横たわっている男に声をかけた。

「お客さん。水飲めます?」
「あぁ・・・悪いな。」
横たわっていた男がコップを手にして水を飲み干す。
そんな彼を見ながら優太郎は少し低い声で彼の名前を呼んだ。




「ねえ、森田鉄雄ってアンタ?」
「・・・なんで、オレの名前。」
その男の言葉に、呼吸を一拍するのを忘れた。
なんで知っているという森田と言う男の顔を殴り飛ばしたくなる。
そんな身勝手な事を今の優太郎にはできず、ただガンを飛ばすだけ
にしておくと、飲み干したコップを取り上げてカウンター奥へと
優太郎は足をただ進めたのだった。
ただ、森田は喉にはいった冷たい水・青い瞳がガンを飛ばしたのだけで
酔いが一気に冷めてしまっていた。













平井 銀二という男が迎えに行ってほしいといっていた男は
黒い髪の毛に青い瞳をしたバーテンダーだった。
判るはずがないだろう。特徴やらも聞いて居なければ
相手も知らなかったみたいだったのだから・・・。
改めて見たらあのまま帰ってきたら知らなかった訳で。
営業スマイルだったのだろう、先ほどとは打って変わって
目線がきつく、というか睨みつけられている・・・
タクシーの中ではちょっと緊張感のある空気に包まれていた。

「あんた、名前は?」
「平井優太郎。聞いてないの?」
「・・・あぁ。」
そっ。とつまんなそうな顔をしながらも胸ポケットに入っている
タバコに男は火をつけた。
・・・どうみても18・19歳くらいしか見えない男の煙草をすう姿は
落ち着いていて、余裕のある表情をしていた。
平井という苗字、銀二という男とは血縁者なのだろうかとも考えた。
雰囲気が少しだけ銀二という男に確かに似て居たからだ。

そんなとき、タクシーのブレーキが強くなり、止まった。
「あ、ここで俺降りるんで。あとはこの人をおねがいします。」
一番最初に付いた場所はでかいマンション。
ここに住んでるのかよ、と森田は心の中でそう思って居ると
優太郎はタクシーから出て、運転手のおじさんにそう言葉を残した。
ちょっとまて、タクシー代上乗せしてんじゃねえ!と言おうと口から言葉が出る前に
時既に遅し、平井 優太郎という男は小さく手をふって
マンションの中へと入っていった。



「・・・あの野郎。」
タクシー内には、男に対しての苛立ちとあの青い瞳の男が
吸っていたタバコの匂いが鼻を掠めた。
平井銀二の元にたどり着いたのは日付を超えた2時過ぎ。






PARADISO「はじめての」









2011.08.16

うーん、初接触は書きたかったのですが
森田ごめん。としかいいようが・・・
多分森田に対してはいつもこうかもしれない。だけれども
私は森田が大好きです。ドヤツ


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