*高校生で多忙中。





真夜中、というよりももうすぐ朝方の6時すぎ。
鍵が静かに開けられ、一人暮らしをしている優太郎の元に訪問者。
久々に優太郎の元へきたが部屋にはいなかった。
高校では友達もできたから友達の家なのだろうかとも
銀二は考えていたが、とりあえずリビングに足を赴かせ
扉を開けた時、にゃぁと無人でもあるこの場所からは
信じられない声がきこえた。




「(猫・・・か。)」
扉を開け、歩いた時に自分のことに気が付いたのか
首輪をしていない毛の色がチョコレイト
色の子猫が銀二をじっと見つめていた。
またにゃぁ、と言うと近寄ってきては銀二をじっとまたみて
銀二もとりあえずかがむと子猫がすりすりと寄ってきたのだ。
結構人懐っこいらしい・・・というよりもそんな易々と懐っこくて
いいのだろうか、とも銀二は考えていた。


「(優太郎が飼い始めたのか)」
電気がつけっぱなしのリビング・・・
ふとテーブルを見て見れば子猫用の缶詰やフードも
揃っている。なんかとても銀二にとっては不思議な感じであった。
優太郎が物を飼うということも勿論・・・。
小学生の時自体、あいつが動物みたいなものだったし
動物が動物を飼っている風にもみえた。
そう考えていると子猫が銀二に撫でて貰っていたのだが
すいっとまたフローリングを歩き出し、ソファーを目指しているのか
ソファーの近くには本が山積みにされていて、そっから
猫は身体を一生懸命伸ばしようやくソファーにたどり着いた。
「(何かあるのか?)」と銀二がソファーをみると
そこには身体を寝かせ頭は本で隠れているが、優太郎が
ぐっすりと寝ていたのだ。




高校生になるとやっぱり身長も伸び、顔つきも大人に
なりつつある。
変わったのはそれだけじゃないが、と思いながらも
本で顔が隠れている優太郎を銀二は、その本を取ると
眉間に皺を寄せながらも寝ている優太郎の姿が目に写る。
本は高校生が見る本にしては難しそうな本で本当に
勉強が好きなんだな、なんて改めて優太郎の事を考えた。


先ほどの子猫は優太郎の近くに寄り添って丸まって寝ている。
銀二は銀二で優太郎が風邪引かないようにととりあえず
近くにあったバスタオル(笑)を優太郎の体を覆うと
ソファーの下にもたれかかり
そして持っていた煙草を吸い始めた。
勿論リビングの電気も消し、辺りは薄明るかった。
下手に優太郎を起こすこともないだろうと銀二は思った。

息深く吸った煙草の煙が体から出て口からでていく。
仕事が終った後になんでか優太郎の顔が見たくなって
来て見てしまった・・・。
「(そう思うと、まるでオレが寂しいみたいだな。)」
と自分で自分の事を言う銀二に反応したのか優太郎の
身体が少しだけ動き、遅れて青い瞳が開いた。









煙草の匂いがする・・・嗅いだ事のある匂いで
優太郎は本能的に身体が反応してしまったようだ。
「(銀さんの・・・匂いがする。)」
煙草の匂いとそれと同様にあの人の匂いが優太郎の
鼻がかすめとる。
カチ、カチ、と一定の時計の分を刻む音だけが
優太郎の耳に残り、意識がどんどんクリアになっていく
感じがし、それと同様に喉が渇いたのかむくりと起き上がった。
「・・・あれ?」
「・・・起きたか、優太郎。」
自分の、名前が呼ばれている。しかも目の前に会いたい人がいる。
「・・・銀さん?」
「あぁ、どうした。」
「・・・いや、喉かわいたんで」
となんでこの人が居るんだとか、そういう説明をしたかったのに
銀二の質問にとりあえず答えるとそうか、と銀二は言い
優太郎の代わりに立ち上がり台所までいって態々コップに
水を淹れ持って来てくれたのだ。
「ほら。」
「あ・・・ありがとうございます。」
貰った水をとりあえず受け取り飲み干し
喉の渇きが一気になくなり一息こぼした。

「(読書している最中に寝たのか・・・俺)」
上半身をくるりと動かして見ればバキバキバキと面白い
音が鳴り、銀二がククク、と笑っているのが見えた。
「身体壊すぞ。」
「ですね、気をつけます。・・・・仕事終ったんですか?」
「あぁ、ついさっきな。」
「・・・おかえりなさい。銀さん。」


青い瞳が銀二の顔をみて微笑んだ。
一緒にアパートに居た頃のように
よく聞いていたあの言葉を銀二は久々に聞いたのだ。


「あぁ」
笑った優太郎の顔をみるのも数ヶ月ぶりだった。









PARADISO「時間を止めたトワイライト」








(久々に銀さんのコーヒーのみたいかも・・・)
(ならお前は朝飯作れ)
その言葉も数ヶ月ぶり。










2011.07.25




甘いっていうよりも日常でしたね、サーセニ。
子猫って良いですね、まあ私は犬派なんですが←
まあちょっとした変化を書きたかっただけ。
次くらいに森田出てきてもいいっかな?


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