赤坂 みつきという同い年くらいの少女は
綺麗な黒髪の、日本人女性である。
一番―――殺す予定の空条承太郎の近くにいるオンナであった。

学校に編入した初日・・・下校時刻の彼女をみたが目が離せない
何かを感じた。




「みつきちゃん!おはよう!」
「ホリィさん、おはようございます」
空条家の玄関前に来て見れば40代には見えない
幼馴染の母親「空条ホリィ」が出迎えてくれた。
緑色の綺麗な瞳に金髪の纏まった髪の毛。
それでいて可愛らしいエプロンまでしている。

それなのにこの玄関先そして家に関しては日本風流であるのだから
少々苦笑いしかない。
小さい頃は空条家の庭であそんだり、スーパーで買ってきた花火で
遊んだ事も思い出す。
「ごめんね、承太郎もう少しで来ると思うから」
「いいんです。・・・?あれ」
「おや?これはこれは・・・みつきちゃんだったかな?」
玄関にいたホリィの後ろからやってきたダンディな男の人は
見覚えがある・・・白いひげ、だが顔元はやっぱり承太郎に似ているからだ。

「確か、ホリィさんのお父様ですかね?」
「そう!私のパパよ。パパ、毎回話してたお隣のみつきちゃん」
「おお!そうか!いつも孫の承太郎が世話になってるな」
承太郎とは違い、どっちかというとホリィ以上に陽気な人っぽいようだ。
そんな承太郎の祖父にみつきはにこりと笑った。


「はい、いつもお世話になってます。赤坂みつきです。」
「そうかそうか!わしはジョセフ・ジョースターじゃ」
「・・・あ、ジョセフさんも【ジョジョ】って愛称で呼ばれてませんか?」
「おお、わかるかい?素敵なレディ」
「はい!」
にこっと笑ってみつきは言うと彼、ジョセフも笑った。
何ともにぎやかな事だろう。
きっと若いときは承太郎よりもユニークなナイスガイだったんだろうな
と妄想を膨らませているとあ!と声を上げるホリィに目がいった。


「パパ、もうすぐ朝御飯できるからまってて?みつきちゃん!
もうすぐ承太郎来るからごめんなさいね?」
「いいんです。早く来てるんで!」

そういった矢先である・・・
「(なに?今の視線?)」
誰の視線だろうか・・・みつきは笑っていた口角が少し下がった。
・・・この【悪霊】の【能力】を目覚めてからというものたまに視線を感じたり
余計に敏感になっているのか気になってしまう。

「―――おい、みつき」
「!?あ!じょう、たろう」
視線のことを考えていたら待っていた人がやってきた。
いつもの承太郎でありホリィさんは下駄を履いて
「はい!行って来ますのキス」と
いい背を伸ばして承太郎の頬にキスをしていた。
「このアマ・・・いい加減に子離れしろ」
これもこれで微笑ましい光景である。


「・・・みつき、てめー微笑ましいとか思ってるんじゃねえだろうな」
「いいんじゃない?私の両親なんて置き去りでそういうのもないのよ?」
「・・・やれやれだぜ」



***


赤坂 みつきと空条承太郎を観察していた。
隣同士であり、別に彼氏・彼女ではないが登校を共に
しているそうだ。
「(利用できるならしてもいいか・・・)」
ディオ様から与えられた命が絶対であるが故、一瞬だけでも
どう扱うかと考えてしまいはっとなる。
一番近い人間を死に追いやる、それはそれで面白いかもしれない。

そう、花京院は思っていた。



***



毎回の朝の事だが、承太郎はモテるのである。
同じ高校の女生徒は承太郎の目に映りたくて彼の傍にやってくる。
1人や2人ならわかるが3〜5人くらいも女生徒が周りにやってくる為
大変静かな登校を許してはくれなさそうであった。

「ごめんね承太郎、ちょっと離れて歩いていくね」
「・・・」
無言だがこれもいつもの登校のやり取りである。
離れれば承太郎親衛隊みたいな感じでいつもの朝がやってきたと感じる。
女生徒の中には可愛い女子がいるのに靡かないのだから
たまに承太郎のことを心配にもなるみつきを承太郎は分かっているのだろうか。


「おはようジョジョ!相変わらずかっこいいわね!」
「おはようジョジョ!4日も学校来なかったじゃない?どうして?」

あ、この子は昨日の承太郎を見ていないのか、一応登校
したんだけどな・・・と思いながらも彼ら(というか女生徒)の声は
少し離れたところからでもはっきりと聞こえる。
承太郎の腕に女生徒の腕が絡んだ途端ケンカも勃発。

「(あああ、また承太郎機嫌悪くなる)」
承太郎の怒りの声を聞いても、やはり女生徒たちはキャーキャーと
黄色い声を発しており、承太郎を知っているほかの生徒達は
遠目から見守っているのである。


さて、石階段を下りればもうすぐ高校だ。
そう思ったときだ。

「!?」
みつきも石階段を下りようとしたときだ、先に下りていた承太郎の足が
石階段から滑ったのか転げおちようとしていた。
承太郎が落ちる、そう思ったとき見えた承太郎の【悪霊】が
木の枝をつかみクッションにさえてみせた。

「承太郎!?」
女生徒達よりも先に足が出た。
こういう時足が鍛えられていてほっとする。
先に近づいてみれば足に傷を負っている承太郎をみて違和感を感じる。
「(木の枝で切ったの・・・いや、違う・・・)」
まさか、承太郎以外の【悪霊】の仕業か・・・そう思っていると
女生徒たちもついたようで承太郎の周りを囲んでいた。
・・・とりあえず女生徒たちにも大事がなくてほっとしていると
石階段から降りてきた学生服の男をみてどきりとしたのだ。




「(昨日あった、人?)」
連続で会うなんてなんていう事だろう。
緑色の学生服の男は承太郎をみて眉間に皺を寄せた。
「大丈夫かい?よかったら使ってくれ」
出されたハンカチに承太郎はソレを受け取り悪いな、と
声を掛けた・・・珍しい、承太郎にそんな友達がいたのか?
そう思っていると承太郎はまてよ、と彼の足を止めた。

「・・・うちの学校か?」
「花京院典明、昨日転校してきたばかりです」
昨日・・・そう、昨日あった人は花京院さんというらしい。



***

「まってください、あの、花京院さん」
「・・・どうしましたか?」
「あ、いえ・・・あ、さっきの男子生徒は私の幼馴染で助かりました」
「そうですか・・・大変でしたね」
承太郎とは離れ先に行こうとした彼、花京院典明に声を掛けた。
少し怖い感じだが幼馴染に手を貸してくれる人は早々滅多にいるものではない。
「ありがとうございました。それだけです」
「・・・先に行きますね、赤坂さん」
「あ、は・・・い」

先に行った花京院に笑って言うみつきは足を止めた。
そう、みつきは先ほどの幼馴染に手を差し伸べてくれた彼の感謝を
思っているわけでなかった。
頭の中で違うことを考えていた・・・
「(私・・・名前、教えてない)」


なんで、彼は私の名前を知っていた?
在学生だから?違う。
彼は、昨日転校してきたばかりだと言っていた・・・

「(まさか、承太郎を傷つけた人って・・・)」



胸のモヤモヤに、ただみつきは押しつぶされないように
違和感に頭を抱える一日のはじまりを迎えるのだった。


2016/0429



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