※主人公と花京院がちょっと戦っているだけ。あとは略!




「まさか君もスタンド使いだったとはね、驚いたよ」
スタンド・・・【悪霊】ではなく【スタンド】というものだというのを
彼女赤坂みつきは知った。
保健室へいく際につい花京院典明のことが気になり
ついていけば黄緑色の何かを出して保健室の窓をずっとみていた。
何かをやっている。そう分かると見てみぬふりをすることは
出来なくなっていた。

「さあ、僕のハイエロファントグリーンを倒せるかな?」
ふっと笑った笑みにみつきはただ背中がゾクリとなる感覚が
伝う。遊びじゃない、【殺される】と瞬時に理解をしてしまった。
本当に、こういう時運動神経がよくてよかったと思った。

彼の悪霊・・・基、スタンドはボディが帯状になっており
逃げることをきっと許さない。承太郎が登校時にみせたスタンドは
パワー系だとしたら、遠距離操作する・・・
「私と同じかな・・・いや、私よりも、すごいスタンドみたい」
「どうした・・・逃げるだけかな?赤坂みつき」
本気をまだ彼は出していないのだろう。その余裕はあるようで
みつきは勘弁してよ、と小さく舌打ちする。
緑色の何かを投げて攻撃してくる、太ももに掠ったが痛みが伴い
みつきの顔はゆがむ。

「!ゴメンデンちゃん!」
校長先生のお気に入りの大型犬:グレート・デン。
散歩中だったのだろうか、学校内は広く一匹ぽつんといたのである。
いつもは大人しい性格だが触れたとたん犬はグルルルと威嚇しはじめ
花京院にじりじりと寄ってきたではないか。
「・・・ほお」
「デンちゃん。致命傷負うくらいの力であの男を攻撃。死に至るようだったら
逃走して!!!」
そういった瞬間かっと目が開き花京院に一目散に襲い掛かった。
90KG以上もあるグレート・デンなら負傷くらいならできる・・・そう思っていた。


「エメラルドスプラッシュ!」


そう、この攻撃に当たった瞬間。
その希望は打ち砕かれたのだ。


「・・・ぼくと同じ、操作する能力だね・・・」
でも、ぼく程ではない、小さな能力の一種。
「僕の、ハイエロファントグリーンには適わないだろう・・・あの承太郎ですら!」
エメラルドスプラッシュは犬に直撃し血は湧き出、柔らかい肉に成り下がった。
それをみてみつきは言葉を失い顔色が真っ青だ。
そう、みつきの能力で未だに人を殺したことがないからだ。
最初の犠牲がいつもは温厚なグレートデンに言葉を失ってしまった。

闘う意思がない。そう分かると花京院は近づきみつきの前へとやってきた。
身長が高く、それでいて目は人を殺す目になっている。
「殺すと思ったかい?違うね」
「・・・どういう・・・こと・・・」
「君には、利用する価値があるってことだよ」
緑色の、スジが描かれているスタンドがみつきを捕まえると、みつきの意識は
なくなり目がうつろになったのだった。




***


数時間後の保健室では不良の中に一人、承太郎の姿があった。
朝怪我した所を保険医に見せると「本当に転んだだけ?」と質問があり
勘弁して欲しいぜ、と承太郎は余計な詮索をされたくないようだった。
椅子に座っていた承太郎にふと保険医がまた質問をしていた。

「そういえば赤坂さんしらない?ジョジョの幼馴染さん」
「・・・ソイツがどうかしたのか」
「いやね、赤坂さんが授業に出席してないみたいなのよ。
ジョジョと一緒にいたのは他の子達から聞いてるんだけどね・・・」
あの優等生が先生の許可もなく早退するなんてありえない。
ましてやフけるという行為ですらも眉間に皺を立てて嫌がるくらいだ。
なにかあったのだろうか・・・そう思いながらも鋏でズボンを切られるのが
嫌な承太郎は立ったときだ。
ハンカチの文字を見、「スタンド」という文字に嫌な予感をさせたのだった。


「ジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョジョッジョ!!!!!」
「!?」
ガチンッ鈍い音が耳のすぐそこに鈍く鳴り響いた。
殺気の様なものが分かったとたん後ろを振り向けば制服がズタズタになりつつも
鋏を持っている幼馴染がたっているではないか。
しかし、目は虚ろで利き手には銀色の鋏をもち変わり果てている。
その姿に驚いた他の不良たちはみつきの登場にも驚いたが保険医が
万年筆を温度計といいインクを撒き散らしている姿に震えていた。
先ほどまで暖かな笑顔と会話をしていた先生はどこへ消えたのだろうという
男子高校生らしい、いや、人らしい恐怖を味わっている。

「なんて・・・!!なんて頭の悪い子たちでしょう!!!」
「ジョジョ、殺してあげるううう!」
先生を見ていた承太郎に隙を見せてしまった、みつきが鋏を深く握って
承太郎に向かってくる。あまりにも勢いよくやってきたため
デカイ図体の承太郎を押し倒す形になり承太郎に馬乗りになった。

これは、みつきである。幻想ではなく本物だ。
「さああ、ジョジョオオオ!」
顔に近づいた鋭い鋏を、承太郎はギリギリのところで回避しダンッと
みつきの腹にスタンドの力を加えた瞬間緑色のスジの通った【スタンド】
が現れた。苦しんでおり
「(こいつが、みつきを操っていたのかよ・・・)」
シュルシュルルと保険医の所へと戻った瞬間
異様な力で襲い掛かってきたみつきの力が抜けたようだ。

「(なるほどな・・・)」
そう思った瞬間、ぐちゃあと音が聞こえた。そして男子生徒の悲鳴ににた
声が響きわたる・・・もう一人の不良の少年は保険医がもっていた万年筆で
目を刺されたようで、異様なこの空間からほかの不良たちも出て行った。
ふふふ、と怪しげに、そして虚ろな瞳のまま承太郎へと目をやった。



***


目を開けてみたら血生臭い匂いが充満していることが分かった。
頭が重たく自分が保健室にいるとぼんやりとした思考回路は
ただ、目線を追いかけようとしていたが目線は変わったようだ。

「・・・みつき」
「・・・じょうた、ろう・・・」
「悪いな、痛いだろうが我慢しろ」
「あ・・・大丈夫・・・」
「大丈夫じゃあねえだろうが」

承太郎が言う事は正しかった・・・身体が動かない。
神経は起きろと身体に命令しているのにビクともしないのだ。
目線が変わったのは承太郎がみつきを抱き起こしてくれたからである。

「じゃあ、手を貸して・・・あ、花京院さん・・」
「ああ、こいつはオレの家のじじいに見せる」
「・・・着いていってもいいかな・・・」
「あ?テメーは他の生徒が来るまでまってろ」
「・・・スタンド」
「!」

スタンド、なぜコイツが知っているのだろう。
承太郎は無表情ながらも驚いていた。ドクリと心臓が一番強く鳴り響く。
みつきは泣くどころか真顔で幼馴染の承太郎に発したのだ。

「見えるの、承太郎のスタンドも・・・花京院さんのスタンドも」


弱い言葉になっていたがみつきは小さく息を吐くと
左手で両足に軽く触れた。
すると足は健康体のように動いた・・・小さな傷で血が出ているその足で。
「・・・私のスタンドのおかげで足は動かせそう。さあ、行こう」
腕も足も、全てボロボロなみつきがみせた泣きそうな笑顔をみて
承太郎は小さくため息を零した。
割れた窓から花京院を俵持ちした承太郎、そして足だけ元気なみつきは
保健室を出て、空条家へと足を向けた。




2016.0429


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