「俺には悪霊がついている」
だからと留置場に自ら入っていった幼馴染をみて心配していた。
彼・・・空条承太郎には確かに見える「何か」がいた。
それは、私と同じものなのだろう・・・。



たとえばだ、他校の不良が承太郎にケンカを吹っかけようとする。
それを彼らは望んではいるが、カノジョ、みつきの力でケンカさせない方法が
あるのだ。そう、ケンカさせない方法がたった一つある。
今日は何事も起きなきゃいいな、なんて思っていた・・・
「おい、みつき」
「ん?」
「少しいいか」
「珍しいね、承太郎が私なんて」
朝のHRが終わり、いつもなら声をかけられないが幼馴染の彼・・・
空条承太郎は声をかけてきた。
身長が195cmもあるからか座っていたみつきの顔を上げる角度が上にあがる。
彼に呼ばれ、教室から廊下へ、更に学校の屋上へと足を運んだ。

***


風は少し肌寒く、目がさえるのには十分なほどだ。
夏も過ぎついに秋に突入して数ヶ月経とうとしている・・・
もう少しで授業も始まるというはずなのに承太郎は
なぜここに連れてきたのだろうか・・・。

「てめー・・・みつき。最近不良に声かけてるみてえじゃねえか」
「?いや、私じゃないけど」
何を言っているのだろう。
確かに承太郎は不良であるが、みつきは小首を傾げ眉をひそめ目の前にいる
承太郎に答えを返した。


赤坂みつき、高校生。
先生も認める在学生の中でもトップの優等生、将来の夢は警察官。
成績も上位にいる・・・所謂承太郎とは「対」であったりする。
しかし、誰からも人望が厚い・・・【一目置かれている】点からすると
お互い一致はしているようだった。


「違う学校の不良達の噂だ。俺にケンカを吹っかけ様と
すると、体が勝手に家に帰っちまう・・・
しかも毎回女生徒がぶつかった後に必ず起こる・・・ってな」
「知らないよ、っていうか何その変な噂」

態々こんな事で承太郎は私を呼んだのだろうか・・・
そう思うと少しみつきは小さなため息を零し目の前にいる
承太郎に目を向けた。黒い、可愛らしい瞳。

「いや、みつきが関わってなければいい・・・ただ」
「ただ?」


まだ他にあるのだろうか・・・とりあえず承太郎からその噂の犯人=みつき
じゃないと分かって貰えたのだろうか、それとも何か証拠でもあるのだろうか
そんなみつきの内心は少し荒波を立てていたが
はあ、と先ほどみつきがため息を零したが、次は深く帽子で被っていた
承太郎の目が見える。

「その交通経路がてめーが使ってる道が多い。気をつけろって意味だ。」
「・・・へ?」

あ、心配してくれてたんだ。そう理解するとそれはそれで幼馴染として
嬉しいのだろう。そっか、と自然に言葉がこぼれた。
「ありがとう。心配してくれて・・・気をつける」
「そうした方がいい」
話はそれだけだ。と彼は言ってさっさと授業行けよ。と屋上から
出て行くと思ったら壁側に移動し持っていた煙草に火をつけていた。
・・・まあ授業をフけるって意味らしくみつきはまた放課後ね!と
承太郎に声を掛けると屋上の扉を閉めた。



***


みつきは胸を撫で下ろした。
ああ、見つからなかったと・・・。

承太郎が悪霊が見えるようになったと同時に「異変」が
起きた・・・ただしそれは自分で調節できるモノだった。

「承太郎が少しでもケンカしなくなるといいんだけどな」
ふっと手に精神を集中させればうっすらと出てくる青い小さな波紋。
その波紋はほんのごくわずかしか表にでなくすぐに引っ込めた。
「(きっと、これが承太郎が言っていた【悪霊】の正体)」
でも悪霊は自分が集中した時にしか出てこないしのっとられるわけではない。
何度か使って分かった事は【悪霊】は自分には危害を加えず
尚且つ自分の言う事はしっかり護ってくれる事。

能力・・・触った相手を従わせる事が出来る。


「(面白い能力だけど、気をつけよう)」
ただ、幼馴染の彼が少しでも平穏に暮らせますように。
そんなただの幼馴染の行動だけである。



「(そうだ、命令する時に更に追加で経路とかも細かく指定できるのか
やってみよう)」


***






きっとこれは運命だったのだろうか。

下校時刻、結局承太郎が帰ってきて少しだけ授業に受けたと思ったら
勝手に帰ってしまった。
・・・流石に今日は何も起こらないだろう。そう思ってみつきはほっとし
机の横に掛かっているカバンを手に取り学校を出て
学校の校庭で見かけた珍しい緑の学生服に目がいった。

「(今頃、転校生なのかな?)」

身長が承太郎よりも少しだけ身長が短いが、日本人としては
十分の身長である。あと髪型も珍しいしピアスもしている。
美形な人がはいってきたな〜と思っていると彼と目が合った。



スタンド使いはスタンド使いと惹かれ合う


何か、を感じたのだ。


彼も目が合ったがきっと何かの気のせいだろう・・・
すぐ目線を変え、彼・・・後に出会う花京院典明と赤坂みつきの出会いであった。





2016-0429
ゆきちリク
承太郎夢
承太郎に危機が迫った時にひっそりと助ける。


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