上陸



「間違いない、ここだ」


上を見上げれば高い高い棟。
両手で太陽の光を遮り目を細めた。

ここは偉大なる航路グランドラインの前半にある島"スルバ島"、海軍の軍事基地がある島だ。
数ある軍事基地の中でも、ここは世界の様々な情報が保管されているという、言わば情報管理施設である。
そのため、入口はあらゆる場所に映像電伝虫や兵が配備されていた。


「昼は、まあ無理そうね……」


そしてここはなかなかに大きな街もあり、一般人の数も多い。
もちろん夜は大勢の人で賑わっており街は多くの明かりが灯る。

まずは情報収集から。
彼女は一つため息をつくと街の方角へと足を進めた。




***




「キャプテンーー!キャッッップテンーーーー!」

「島が見えましたよ!上陸しましょーー!!」

「……うるせェな、聞こえてる」


ドアの向こうから聞こえる騒々しいクルーの声に、この船の船長トラファルガー・ローは眉を顰めた。

読んでいた本を片手で器用に閉じると、机に立てかけておいた身の丈ほどもある大太刀を手に取り立ち上がる。
ドアを開ければキラキラと目を輝かせたクルーが数人待ち構えていた。


「何をそんなに興奮してやがる、ガキか」

「だぁってキャプテン、久しぶりの島ですよ〜」

「ずっと海に潜りっぱなしだったじゃないですか、息が詰まって死にそうです!」

「勝手に死ね」


そう言い捨てたローに「ひどい!」と騒ぐのはクルーのシャチだ。


「浮上しろ」


船長のたった一言。
クルー達はパァっと目を輝かせ各自持ち場へと急いだ。


「野郎共〜!上陸準備だ〜〜!」


ローはそんなクルー達を横目に、モコモコとした白い帽子を深く被り直す。
ハートの海賊団を乗せたポーラータング号が、島に上陸した。



「なんとまぁ、でっかい島っすね〜〜」

「この島には海軍の基地がある。お前等、騒ぎは起こすなよ」


「後々面倒くせぇからな」というローの言葉に船員達の良い返事が返ってきた。