態度




「ただいまぁ〜」
広場に能天気な声が響く。
「おかえりなさい、ニヴ、リュウ」
「ただいま戻りました」
受付から届く労いの声。
今回の任務は外周防壁を強化するための素材獲得だ。
無事討伐し、素材も回収し終え、支部に戻ってきた。
「ニヴ、今回はありがとうございました」
「い〜え、また手が足りなかったら言ってねぇ」
「はい、報告はこちらで済ませておきますね」
ニヴが礼を言ってリュウに手を振り、カリーナのもとへ向かう背を見つめる。
さてこれからどうするかと考えようとした矢先。
「あの、ニヴ」
今度は反対に、受付の方からレイラが駆け寄ってきた。
疑問を投げれば、遠慮がちに答えた。
「今回の巡回討伐ですが、大型種の反応がいくつかありまして…」
尻すぼみになる声色。
今しがた戻ってきたところで頼むのは申し訳ないのだろう。
しかし、そんなレイラの心配をよそに、あっけからんと答えは返ってきた。
「おー、じゃあ、いこっかぁ」
思わず言葉をなくす。
「あ、リマリーはだいじょーぶ?」
虚空を見つめたかと思えば、笑って頷いた。
そこにリマリアが居たのだろうか。
「カリーナぁ、ゴドーたいちょーとのって、何時からだっけぇ?」
今度はカリーナの方へ足を向けている。
カリーナが端末機を操作し、ニヴと会話を続けている。
この状況で変に口をはさむわけにもいかない。
お礼を言うタイミングを逃してしまった。
心中にわだかまりを残し、所在無げに視線を逸らす。
「レーラ〜、いこ〜」
はじかれたように声のする方へ振り返れば、すでに玄関の前で手を振っているニヴ。
「なっ…、きょ、今日の巡回ルート知っているの!」
思わず口から出たのはそんな言葉で。
「おぉ、そ〜いえば知らないやぁ」
「もう!」
のんきに笑うニヴ。
今生まれたこの葛藤は、果たして彼に向けられたものなのだろうか。




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