展延

『出番だ』
ようやく告げられた。
端的に伝える機械。
無線を通して伝えられたそれは、出撃の合図を意味していた。
「あァ?偉そうに言ってんじゃねェぞ、ボケ」
放置していた大剣を拾う。
隣にいた女性が笑った。
「とか言って、嬉しいくせに?」
「うるせぇ、啼かすぞ」
暴言などものともせず、笑みを深め、神機を構える。
視線の先にいる標的は、偉そうにマントをつけた獣。
しかし、所詮は見慣れた子猫だ。
「猫かよ」
これでは退屈凌ぎにもならない。
「どちらかというと、虎じゃない?」
「知るか」
「虎って知らない?」
「アホくさ」
やたらと突っかかってくる女を一蹴する。
会話を続ける気など毛頭ない。
これではフラストレーションしかたまらない。
興味のカケラもなくなりそうな時、無線から焦った声が聞こえた。
想定外のアラガミが作戦区域に接近中とのことだ。
こんな仕事なら、イレギュラーはよくある。
今こそ来るべきタイミングだった。
口角が上がる。
「遊んでやるかァ」
少しは、退屈凌ぎになるといいが。



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