〇〇しないと出られない部屋



「成果は?」
「ありません」
今まで捜索した結果を簡潔に述べた。
聞いた本人であるジャックからも同等の解答を得た。
つまり、残された道は一つしかないということである。
目が覚めたらジャックとこの部屋にいた。
記憶の欠損だろうか、直前の記憶が全くない。
分かることは、この部屋にはベッド、戸棚、扉、そしてその扉にボードがかけてあることぐらいだろうか。
脱出に使えそうなものはなく、自力で壁を壊すのも不可能ときた。
だがご丁寧に、ボードには脱出方法が書いてある。
"セックスしないと出られない部屋"
「こんなものならあったぞ?」
語尾軽く、投げ渡されたものを反射的に受け取る。
手の中を見れば、あからさまな作りをしたディルド。
もはや呆れて何の感慨も湧かない。
「普通にしましょう、普通に」
適当に棚の上に置き、振り返る。
ど真ん中に置かれたキングサイズのベッド。
ブーツを脱ぎ、上に乗り上げる。
別にジャックとは恋人であるし、初めてするわけでもない。
他の脱出方法も無さそうな今、特に躊躇する理由もないと結論付け、服に手をかけようとすれば、
「待て」
静止の声がかかった。
疑問とともに視線を向ければ、心底楽しそうな目線で返された。
「お前は何もしなくていい」
ギジリとベッドが軋む。
服にかけた手を取られる。
「…物好きですね」
首筋に感じる指先。
「それを許してるお前も、相当だな」
「ではお互い様、ということで」
吐息のかかる距離で笑みを交わす。
「楽しませてくれますよね?」
「当然だ」



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