それは、少し先の話



鋭い音を立ててコップが崩れ落ちた。
それはトオガとユウゴの足元に散らばる。
慌ててトオガが手を伸ばす。
「わっ、ごめん。ユウゴだいじょ…う…?」
その手を掴まれた。
疑問に思い、見上げる。
すると、射抜くような瞳があった。
「………隠してる事、あるだろう」
その瞳を真っ直ぐ見つめ返し、トオガは目を伏せた。
「…それが分かるなら、話さない理由があるのも、分かるよね」
そっと、掴まれたユウゴの手を叩く。
呼応してユウゴの手は離れていった。
小さく、高い音が響く。
割れた破片が集まっていく。
大きなものは一か所にまとまったが、小さな破片は散らばったまま。
「…でも、そっか。そろそろ、どうしようもないね」
笑顔を見せるトオガ。
その奥に、変わり果てたコップがあった。



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