27 先生とはじめての喧嘩D

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コンビニに着くと早々に猗窩座はお菓子売り場に行って何やら吟味している。
渋々ついてきた狛治は恋雪を1人にさせておくのが心配だと、ずっと不安そうにしているから申し訳ない。
そんなに愛されてみたいものだ。


そういえば、と思い立ってスイーツコーナーに行くと、喧嘩の原因になったチョコプリンが陳列されていた。
また買えばいい。
今度は先生のも。


「名前ーー。これを一緒に食べないか?」
「え?……やだ、激辛って書いてあるし」

にこにこ楽しそうに猗窩座が現れて、手にしていたのは最近有名な激辛ラーメン。
辛いものが苦手な私は絶対に無理。
拒否しても猗窩座は楽しそうにすり寄ってくる。
狛治は私たちを気に留めることなく、「恋雪さんにお土産を買う」と言ってスイーツをどんどん買い物カゴに投げ込んでいる。

「ちょっと近いよ…」
「良いから買え」
「分かったって…」

もはや猗窩座に背後から抱きしめられるような形で店内をうろうろする。煉獄先生よりも重い。
あと香水なのか、良い匂いがする。


「杏寿郎!!」

は?
また何か言ってるよ。
なんて、うんざりしてチラリと横を見ると煉獄先生が立っていた。
入り口で、私たちを見て固まっている。


「せ、先生!助けて!不良に絡まれた!」

咄嗟にそう叫んだ。
猗窩座の腕をすり抜け、煉獄先生に駆け寄った。
先生は伸ばされた私の手を取って、コンビニを出て走り出す。
全て数秒での出来事だった。

振り返ると猗窩座は狛治に止められて、追ってこない。
そういえばお菓子をまだ買ってあげてなかったなあ、とぼんやり考えているうちに、ずんずん先生は私の手を引いて歩いていく。

「せ、先生…」
「…」
「どうしてコンビニに来たの?買い物は良いの?」
「……」
「…怒ってるの?」


そのまま部屋に連れて行かれ、玄関の扉をバタンと乱暴にしめた先生はやっと私と顔を合わせてくれた。
私の手をまだ握っていて、引っ張られてソファーに座らされた。
でも先生は隣に座らない。

「どこに行っていた。俺がどれだけ心配したと思ってる」
「ご、ごめん…」
「それに何故、猗窩座といた」
「そ、れは、色々あって。話すと長くなるから、後で…」
「いや、今説明しろ」
「えっと…」

怒っている。
煉獄先生がこんなに怒ってるのは初めて見たかもしれない。
ソファーに座って縮こまる私を、仁王立ちで見下ろす先生。
目が怖い。

とりあえず出て行ってから先程のコンビニまでをゆっくり説明した。
先生は割と結論や結果を重視して過程はあまり気にしないタイプの人だから、なるべく簡潔にまとめて説明したつもりだが、終始先生の顔は怖いまま。
やっぱり私が「突然出て行った」事と、「不良の猗窩座とつるんでいた」事に対して怒っているようだ。




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