12. Relationship that cannot be said

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ドクドクと血が身体中を巡る音が聞こえる。
目の前で不思議そうにしている炭治郎にも聞こえてしまうのではないか?
そう思ってしまうほどに。


「炭治郎君は、義勇を知っているんですか?」
「はい。冨岡さんは俺を助けてくれて…ここに導いてくれたんです」
「義勇が?」

少し驚いた。
義勇がちゃんと優しさを持っている人だというのは分かっていたけれど…
もちろん鬼狩りとして人助けをしてるのも知ってる。

でもなんだろう。
世話を焼く、ようなことをする義勇が私には想像できなくて、少し羨ましく思う。
私の知らない彼の一面を炭治郎は見たのだ。


「私はずっと昔から…義勇がここで鱗滝さんから修行をつけてもらっている時から知り合いなんです」
「そうだったんですか!」
「昨日もたまたま会って…だからかもしれないです」


私と義勇は他人に言えるような関係ではない。
それに彼が薬を飲んで精神を安定させているなど、炭治郎に教えるべきではないだろう。


「冨岡さんは元気でしたか?」
「うん…。とっても元気、ですよ」

とっても元気、ではないけれど。
昨日は比較的安定している方だった。

かなり精神的に切羽詰まっている時の行為なんて、信じられないほど荒々しい。
痛かったり酷いことをされる訳ではないけれど、まるで獣のようになってしまうのだ。

昨日は穏やかだった。
義勇が寝室で「…いいか?」と控えめに聞いてきて、そっと手を握ってあげると少し嬉しそうにしていた。
そのまま2人で布団に倒れ込んで、それはもう蕩けてしてまうんじゃないかと錯覚するくらい優しく気持ちよくしてくれた。


昨日の夜のことを考えて頭がふわっとしている間に、外から音もなく鱗滝さんが現れた。
炭治郎は慌てて立ち上がる。
サボっていたことを怒られると思ったんだろう。


「ちょうどいい所に来た、名前。こいつの身体に塗る薬を売ってくれないか」
「わかりました」
「炭治郎、服を脱げ」
「えっ!?あ、はい!!」
「上半身だけでよい」


バッと顔を赤くして炭治郎は上着をはだけさせた。

身体中アザと傷だらけだ。
今までの子達も、もちろん義勇も最初はそうだった。
だから今更驚きはしない。

「ええと、これと、あとこれと…いつものでしょうかね。それと、先程炭治郎君の手の甲の傷が化膿しそうでしたので、化膿止めももし良ければ…」
「そうだな。頂戴しよう」

私と鱗滝さんの隣で、上半身裸のままの炭治郎は顔を赤くして大人しく待っていた。



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