13. You who speak happily

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炭治郎との出会いから半月ほど過ぎた頃、また義勇が現れた。

今回は夕暮れ時で、そろそろ夕飯の支度をしようかと言う時だった。
「何か手伝う」と言う義勇に火起こしを頼むと慣れた手つきでなんなくこなす。
屋敷では1人だからいつもしているのかもしれない。


「昨日隣のおばさんにいただいた干し芋があるから、夕飯が終わったらおやつに食べる?」
「ああ」
「あと 鱗滝さんからきのこを貰ったから、今日はそれで鍋にするの。もちろん義勇も食べるでしょ?」
「食べる」


ふうふうと火に風を送る義勇の横顔はどことなく幼く見える。
その時にふと炭治郎のことを思い出した。


「そう言えば、少し前に鱗滝さんのところで炭治郎君に会ったよ。あなたが助けたんでしょう?」
「……炭治郎?」
「私にはよく分からないけど、鬼になってしまったけど鬼ではないような妹が寝たきりだとか…」

そこで義勇はハッとした。
どうやら思い出したようだ。


「あいつか…」
「とても一生懸命稽古に励んでいたの。素敵な子だったよ」
「……素敵?」
「快活だし、妹想いだし、炭治郎君なら立派で素敵な鬼狩りになれると思うな」
「…ああ、そうだな。炭治郎は俺と出会った時も兄として立派に妹を守ろうとしていた」

突然口数が多くなった義勇に内心笑ってしまう。
自分におもしろくないことがあるといつもこうだ。
少し炭治郎のことばかり褒め過ぎたかもしれない。


「義勇が助けて鱗滝さんへ託したんだってね。もう、義勇いつの間にそんなに立派になったの?」

しゃがんでかまどに火をくべている義勇の頭をふざけて撫でてみた。
義勇はあからさまにムッとするが、抵抗しないあたり嫌な訳ではないらしい。
弟気質なところがあるから可愛いのだ。


「義勇も2人に会いに行ってみたら?」
「いい」
「なんで?」
「…」

きっと色々考えてしまうのだろう。
たまには顔を見せてあげなさいよ、と思うが口には出さない。
義勇は義勇なりの考えがあって行かない訳だし、部外者の私がとやかく言うことでもない。


「あ、もう火加減ちょうどいいかも。裏にある大根、持ってきてくれる?」
「わかった」
「ありがとう」

素直に義勇は外へと向かう。
背中を見送って、自分はまな板に視線を戻す。
鱗滝さんが自分の山で採ったきのこを大量に分けてもらって、一人で食べ切れるのか不安になっていたところだった。
義勇が来てくれてちょうどよかった。



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