-14 社会科準備室
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「ついてきて欲しい」と前のように言われて後を追って行くと、それは倉庫に1番近い社会科準備室だった。
部屋に入るとまさかの2人きりで体が硬直した。
キョロキョロしていると部屋の奥にあるソファーに促された。
「実は個人的に買いたい物があって、苗字さんに相談したくてな」
「買いたい物?」
煉獄先生はソファーに座る私にペットボトルのお茶を渡してきた。
この部屋のストックなのか、部屋の片隅にはお茶が入った段ボールが積まれてる。
自分たちでお茶を淹れることはしないようだ。
「いや、プロジェクターを買いたいんだ」
「個人でですか?」
「ああ。学校に2台既にあるんだが、昔からあるやつで古いしデカい。それに色んな先生が使うから自分の使いたい時に2台とも無いこともある」
「なるほど」
慌てて手帳を取り出してメモする。
なんだ、変に緊張したけれど普通に仕事の案件だった。
残念なような安心したような複雑な気持ち。
「自分で買ってしまえば部活の時にも使えるし、自分の好きなタイミングで授業に持っていけるから便利だと思って、買うことにした!」
「そうなんですね、そういえば煉獄先生は何部の顧問をしてらっしゃるんですか?」
「ん?俺は剣道部だ!」
「へえ、剣道部!」
これもまた自分の住む世界とは全く違う世界。
剣道をしてる人は周りにいなかったから興味深い。
思わず身を乗り出して煉獄先生に問い詰めた。
「昔から剣道をしてたんですか?」
「ああ。実はうちは昔から剣術道場を営んでいて、小さい頃から父に教わってたんだ」
「剣術!?すごい!今でもやってるんですか?」
「いや、今はそんなに力を入れてしてないな。部活の時と、あと今も剣術を習っている弟の相手をしてやるくらいだ」
なんだかよく分からないけれど、剣術をしている煉獄先生は絶対にかっこいい。
かっこいいという事だけは確実だ。
「すごいです!見てみたいです!」
「そうか?キメツ学園の最寄駅の裏手にある道場だが知ってるか?あそこが俺の生家だ」
「えっ!?あ、知ってます、もちろん!とても大きくて立派な建物だから…」
「今度気が向いたら遊びに来るといい」
「えええ…!ぜ、ぜひ!」
「おっと、話が逸れたな。申し訳ない」
「あっ、いえ!私が余計なこと聞いてしまって…」
「いや構わないさ」
ああ、優しい煉獄先生はニコッと微笑む。
その笑顔に胸がきゅっとなり、そして自分の行動に恥ずかしさを覚えて思わず下を向いた。