-05 恐怖の美術室
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「ちょっとこれから来て欲しいところがあるんだが、時間は大丈夫だろうか」
そう言って帰ろうとした私の手首をぐっと掴んだ煉獄先生。
心臓が口から飛び出そうなほど驚いた。
「えっ、あの…はい。時間はあります…」
「よし!じゃあついて来てくれ!」
爆破事件から1週間。
私は煉獄先生が言っていたとおりに事務長から膨大な数の見積もり依頼をいただいた。
すでに見積もりは提出済みで、購入も決まっている。
納品はまた別の日になるが、細々とした事務文具などは今日納めた。
途中から現れた煉獄先生はいつもよりうきうきして見える。
私は一体どこへ連れて行かれるんだろう?
着いたのは壁に穴が空いている美術室だった。
でも新しい穴ではない。
その穴だけが異様なだけで、あとは全て普通の美術室と同じだ。
穴から青空が見える。
「雨の日はビニールシートを貼るんだ。工事費用が予算外で今年は修復できないんだ」
「へ、へえ〜…」
これはまさに先週爆破した先生の部屋だ。
「芸術は爆発」って言ってたらしいし…。
「お、連れて来たか」
準備室と書かれた部屋から顔を出したのは高身長で明らかにヤバそうな男の人だった。
「宇髄先生だ!」
「え!?この人が!?!!」
「あ?なんだよその反応は。失礼な奴だな」
「す、すみません…!」
「こら宇髄、苗字さんを怖がらせるな」
なんかガム噛んでるし、すごんでくるし…
この人絶対に昔ヤンキーだったよね?
私とはかけ離れた世界の人だ…。
宇髄先生は私を見定めるかのようにじろじろ見る。
「へえ、あんたが煉獄の女か」
「!」
「ん?違うぞ宇髄。藤乃花商事の苗字名前さんだ。最近このキメツ学園の事務用品は…」
「あーーーうるせえな。分かったよ」
煉獄先生は宇髄先生に慣れている感じがすごい。
クセの強い猛獣を飼い慣らしてるかのようだ。
「おまえに注文したいもんが沢山あんだよ」
「え?あ、ありがとうございます!」
まあ座れ、と椅子を用意されて大人しく着席する。
なぜか隣に煉獄先生も座る。
目の前の机には3人分の飲み物とお菓子が用意された。
…この人たちは授業ないの?
大丈夫なのかな?