-06 ティータイム

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宇髄先生にいただいたお茶をすする。
思いの外まずい。


「おまえ、事務長に見積もり出しただろ」
「はい。もう決まりました」
「それだけじゃ足りねーんだよ」
「えっ」
「そこに追加注文したい」

そう言って宇髄先生は自分で作ったと思われるエクセルの資料をばさりと乱暴に投げてきた。
なにやら要らなそうなものも書いてある。
最新のCDプレーヤーなんて美術の時間に使うのだろうか。


「あの、でも、勝手にそんなことしていいんでしょうか?お金とか…」
「ああ。気にすんな。ちゃんと調べてある」
「な、なにを?」
「事務長がおまえに渡した見積もりリスト、色々と安く見積もってくれたおかげで想定予算はあと3万近く残ってんだよ」
「はあ…」
「残ってんなら使う」

そんな勝手なことをしていいのだろうか?
たしかに予算は〇〇万内で、とお願いされたからそれよりも更に安く見積もりを出した。

「良いからおまえは俺の言うことを聞いとけ」
「ええ!?あとから事務長さんに怒られそうで怖いです…」

ずいっと指を刺してくる宇髄さんに恐怖のあまり縮こまる。
隣の煉獄先生はどこを見てるのか分からないけどニコニコしてて助けてくれない…。


「事務長にもし怒られたら俺に命令されたって言えば良いだろうが」
「証拠がないじゃないですか…!」
「ああ?契約書でも書けっていうのかよ」

「俺が証人になってやろう、苗字さん」
「れ、煉獄先生…!」

やっと助けてくれた!!


「もし苗字さんが事務長に怒られて、宇髄に命令されたと言っても信じて貰えなかったら俺を呼べば良い。
ちゃんと証人として事務長に事実だと言ってやろう」


「良いアイデアだな」と宇髄先生もニヤリと笑った。

それで大丈夫なんだろうか?
こんなこと他のお客さんのところで起きたことがない。
キメツ学園はやっぱりちょっとおかしい。


「じゃ、よろしく頼むわ。もの用意できたら俺のところに来い」
「あ、はい」
「これ俺の連絡先だから」

そう言って見た目に似つかわしくない可愛い柄のメモ用紙を渡された。
携帯の電話番号が綺麗な字でかかれている。

「おまえの番号はこれか?」
「そうです」

先程宇髄先生に渡しておいた私の名刺を雑にひらひらしてみせる。
なんだか簡単に連絡先を交換してしまった。
こんなヤンキーみたいで恐ろしい人と。

どうせなら煉獄先生とも連絡先を交換したいところだが、隣にいる彼は私たちのやり取りをただ笑って見守っている。




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