「もう1人の居候」


「これからお世話になります。ソヨカゼです。よろしくお願いします!」
「え、お前荷物少なっ。ジェノスとは大違いだな。」
「はい。家と共に全てを失ったので、今はあの時バッグに入っていた物と制服しかありません。」
「ごめんて…。」


わたしはZ市のゴーストタウンに住まう、サイタマさんとジェノスさんを訪れた。
というのも、わたしの住むマンションがサイタマさんによって破壊されたためだった。
もちろんサイタマさんはマンション付近に出現した怪人を退治するために一撃を放ったわけだが。
既知の通り一撃であの威力。怪人の背にあったわたしのマンションは一瞬で崩壊した。

落胆するわたしを見て責任を感じてくれたらしいサイタマさんが、なんとそのご自宅にしばらく住んでいいと言ってくれたのだ。

ちなみにタイムセールは逃したらしい。


「掃除・洗濯・家事などなど!家の雑務はわたしに任せてくださいね!!」
「そっか、お前一人暮らしだったもんな。高校生って言ってもそれくらいならできるのか。」
「おまかせあれ!」

わたしは意気揚々と袖をまくって見せる。

しかし、先程から痛いくらいに視線が突き刺さっている。
ジェノスさんだ。

「それは俺の仕事だ。」
「で、では手分けしましょう。」
「いや。サイタマ先生のために家事などをこなすのは俺だけで十分だ。」

あれ、なんか対抗意識持たれてる…?
ジェノスさんはわたしを全力で睨みつけてくる。
おかしいな、目がメラメラ燃えてるように見える。

「おいジェノス、目が燃えてるぞ!」
「はい先生。これは博士につけていただいた威嚇用の機能です。」
「ほんとに燃えてたんだ。」
「燃料の無駄遣いだな。」



兎にも角にも、わたしはサイタマさんのお宅に住まうことになった。


続く


公開:2016/12/31/土


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