そして18時になり、俺は第三体育館へ。 少し遅れて木兎達、そして月島兄妹も集まってきた。 「赤葦さんの速攻セットアップ、凄いですよね。」 「ん?」 「今日ずっと拝見させてもらったんですが、あんな無茶な体勢からでも打てるバランス力。 普通は出来ません。だから、あと半テンポ分ボールに与える力を弱めたら、もっと良くなると思います。」 「まじ?今度機会があったらやってみる。」 「はい!『妹ちゃーん!ちょっときてくんねぇ!?』 妹ちゃんが木兎に呼ばれ、ツッキーと3人でスパイクについて話し始めた。 俺はゆっくり赤葦へと近寄った。 「いやぁ怖いねぇ本当に。」 「…妹ちゃんだって相当凄腕なのに、慢心するどころか常に上を目指して吸収してます。……凄い反面怖いですよ、本当に。」 そこで2時間きっちりと自主練を積む。 食堂へいき飯を済ませ、丁度風呂上り。 浴場から宿舎へ戻ろうとした時、ポケットに入れている携帯が鳴る。 【黒尾さん、今日も星空がとてもきれいです。】 俺はその文字を読み、ダーーーーっと正門まで走る。 「えっ あ、黒尾さん?」 「やっぱな!ここにいると思ってさ。」 よっこらせっとさも当たり前のように彼女の横へと腰を下ろし、今日も空を見上げる。 この時間が堪らなく充実していて、俺の心を満たしていて。 「あんな他愛もないラインですみません…。」 「ぜんっぜん構わねぇよ?寧ろ歓迎だし?」 「昨日みたいにすごく綺麗だったから、黒尾さんにも教えたくって……。」 あ、今めっちゃきゅーんってきた。 まじできゅーんってきた、やばいやつ。まじやばいやばいやばい。 「―――妹ちゃ『あれー!!黒尾にツッキー妹じゃーん!!!!』 そこに雰囲気の空気も読まずに吸っている木兎が登場。 「…木兎さんホント空気読んでくださいよ。」 「何言ってんのあかーし?空気は吸うもんだろ!!!んでなにやってんのー!」 「木兎…お前なぁ……。(こいっつ……)」 「(駄目だこの人…)なんか、すみません。」 「えっと、星空がすごく綺麗で、夜風にあたりながら眺めてました。」 「…本当だ。すっごい綺麗。」 「ですよね。ずっと眺めていられます。」 「東京でもこんな星空見れたんだ……。あ、葉っぱついてるよ、ちょっとじっとしてて。」 「え?あ…すみません有難うございます。全然気づきませんでした。」 「「(なんだろう、この二人がすっごくお似合いに見えるんだけど)」」 「あかーし!!早く戻ろうぜー!」 「木兎さんが急に邪魔しに来たんじゃないですか。まったく…。すみません、じゃー俺達はお先に。」 「おやすみなさい!」 「おう。」 嵐のように去っていった梟谷コンビ。 夜消灯時間になり、布団に入り、俺はスマフォを手に取り、数秒考え妹ちゃんへとラインを送る。 その数秒後、ピロンっとラインが光る。 【今日もお疲れさまでした。おやすみなさい。】 その文字を見れば、俺はにやけながら布団をかぶった。 → ← → back 175/21 |