変更台詞4 | ナノ
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荒井昭二PS追加・変更・女主人公用台詞
隠し風間と荒井の対決



『2、心臓が動いているか確かめた』(女用)
「ここまで来て、逃げるなんて許さないよ。
さあ、そっちの腕を持つんだ」

私は、荒井さんの胸に耳を当ててみた。
ゼイゼイいっている。
やっぱり生き返ったのかしら?
そう思った次の瞬間、そんなことあり得ないのに気がついた。
さっき見たとき、確かに荒井さんは死んでいた。
しかも、この音。

呼吸の音だったら、胸から聞こえるはずがないじゃない!
この音は、いったいなんなの!?
私たちは顔を見合わせた。
倒れているのが荒井さんじゃなくて、もっと邪悪な存在に思えた。
逃げよう。
ここから逃げてしまおう。

私が駆け出すより一瞬早く、風間さんの鋭い声がした。
「悪いけど、逃げるなんて許さないよ。
さあ、そっちの腕を持つんだ」
目が真剣だった。
逆らったら、私まで殺されるかもしれない。

私は吐き気を我慢して、腕を持ち上げた。
交代しながら焼却炉にたどり着くまで、どれくらい時間がかかったろうか。

もちろん、焼却炉の火は消えていた。
風間さんが、ライターを取り出した。

焼却炉に点火する。
火がメラメラと燃え上がり、生き物のように揺れ動いた。
「さあ、この中に入れるんだ」
そういった風間さんの顔が、炎の照り返しで悪魔のように見えた。
私たちは断れずに、荒井さんの体を焼却炉に放り込んだ。

パアッと火の粉がたち昇る。
私たちは、本当に犯罪者になってしまった。
今朝までは普通の高校生だったのに……。
現実のできごととは思えなくて、頭がくらくらした。

焼却炉の扉を、風間さんが閉めようとしている。
でも、ちょうつがいが固くて閉められない。
「チェッ、どうなっているんだ……」
つぶやいてのぞき込んだ、そのとき。

焼却炉の中から、荒井さんの上半身が飛び出した!
髪やシャツに、もう火が燃え移っている。
火ぶくれのできた顔で、荒井さんはニヤリと笑った。
そして風間さんを抱きすくめ、炎の中に引きずり込んだ!

風間さんの悲鳴が響いた。
どうしよう?



『1、風間さんを助ける』(女用)
でもそのとき、僕のベルトを誰かがつかんでくれた。
私は風間さんを選んだ。
袖をつかんで、思いっきり引っ張る。

火だるまの荒井さんが私をにらんだ。
ゾッとした。
生きている人間の目ではなかったから。
荒井さんはものすごい力で引っ張り返した。
逆に引きずられそうになる。
でもそのとき、私の腕を誰かがつかんでくれた。

それに勇気を得て、私は力を振り絞った。
すると突然、向こうの力がフッと消えた。
反動で、私たちは風間さんごと、地面に倒れ込んでしまった。
荒井さんの腕が、焼け落ちてしまったんだわ。

炎に包まれた荒井さんは、恨めしそうに私を見ていた。
そして、ゆっくりと荒ぶる炎に飲み込まれていった…………。

風間さんのヤケドは大したことなかった。
このまま黙っていれば、荒井さんは行方不明ということになるわ。
……こうするしかなかったのよ。
私たちは何もいわず、学校を出た。

きっと明日も明後日も、そしてその後も私たちは沈黙をまもるだろう。
そうすることだけが、身を守る唯一の手段なのだと、私たちは知っていた。
…………これで話は終わるはずだった。
だけど。

そうはいかない理由ができてしまった。
荒井さんは私に怒っている。
どうして風間さんじゃなくて私なのか、不思議だったけど……。
きっと荒井さんは、私を自分の味方だと信じていてくれていたのよ。

だから、私が風間さんに協力したことを怒っているんだわ。
裏切られたと思っているのかもしれない。
荒井さんは怒って…………私に取りついた。
昼も夜も、私につきまとって離れない。

幽霊を信じない人には、彼への罪の意識が見せる幻覚だとしか思えないに違いないわ。
でも、そうじゃない。
私には……私だけにはわかる。
いや、少しでも霊感がある人になら、きっと彼の姿が見えるはず。
今だって、こうしてすぐ側にいるんだから。

……ほらね。



『2、荒井さんを助ける』



荒井さんはやっぱり死んでなかったの?
私は風間さんを押しのけ、荒井さんの腕をつかんだ。

「早く出てください、荒井さん!」
荒井さんは私を見た。
次の瞬間、荒井さんの腕がボロリと落ちた。
腕の中は空洞だった。

中に詰まっていた綿くずのような物が、バッと飛び散った。
綿くずじゃない。
これは羽虫だわ!
ゼイゼイいっていたのは、体の中でこれらがこすれあってた音だったのね。

燃え上がる火に飛び込んでいる。
その中の数匹が、火のついたまま私に向かってきた。
やめて、こっちへ来ないで!
羽虫の炎が、私の髪を焦がす。
振り回した腕を、誰かがつかんだ。

風間さんだわ!
ヤケドで人相が変わっている。
憎々しげな目が私をにらんでいた。
おまえも道連れだ。
そういう声が聞こえた気がした。
握られた腕が、ジリジリ灼ける嫌な臭い。

火の玉と化した羽虫が、いくつもぶつかって制服を燃やす。
耳元で渦巻く炎の轟音で、何も聞こえない。
私は炎に包まれた。

嫌!
こんな死に方は嫌よ!!
私は助けを求め、空を見上げた。

星が出ている濃紺の空に、たち昇るかげろうとオレンジ色の炎。
私たちの命が燃えていく光景は、この上なく美しかった。
その様子を見つめながら、私の意識は暗黒に沈んでいった……。