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荒井昭二PS追加・変更・女主人公用台詞
1話校内に巣くう地縛霊



『3、気まぐれな霊なので、今は眠ってる』(変更)
霊なんてものは、気まぐれなものだったんですね。
「ちょっとひと休み」ですか?
いい気なもんです。
あ、ちょっと不謹慎でしたか。
当時の先生方はね、事故がよく起きることを見て見ぬ振りをしていたんです。
それからも何件か事故があったそうなんですが、大事に至らなかったこともあったからなんでしょうか。
そりゃあ、もちろん生徒の方があそこには近づかない方がいいって気を付けていたせいもあるとは思うんですけどね。
そのうち、その場所での事故がなぜか起きなくなってしまったからなんですよ。
いえ、事故が起きなくなったんじゃなくて、僕たちがなにも知らないだけなのかも……。
そして、そのことを知っている生徒や先生は、卒業や転勤でいなくなってしまい、いつしかそんなことも忘れ去られてしまったようです。
でも、今もし眠っていると仮定したら、いつかは起きてしまうことでしょう。
いえ、ひょっとしたら僕たちが気づかないうちに、もうとっくにその眠りから解放されているのかもしれない。
いえね、ちょっと最近小耳に挟むんですよ。
え、その場所ですか?
今では……、ほら、その窓から見えるでしょう。

もしかしたら、そうなのかもしれません。
当時の先生方は、事故がよく起きても、見て見ぬ振りをしていたんですよ。
大きな事故がなかったからでしょうか。

そりゃあ、もちろん生徒の方があそこには近づかない方がいいって気を付けていたせいもあるとは思うんですけどね。
そのうち、その場所での事故がなぜか起きなくなってしまったんです。

いえ、事故が起きなくなったんじゃなくて、僕たちがなにも知らないだけなのかも……。
そして、そのことを知っている生徒や先生は、卒業や転勤でいなくなってしまい、地縛霊のことは忘れ去られてしまったようです。

でも、今もし眠っていると仮定したら、いつかは起きてしまうことでしょう。
いえ、僕たちが気づかないうちに、もうとっくにその眠りから解放されているのかもしれません。
最近小耳に挟むんですよ。
え、その場所ですか?

今では……、ほら、その窓から見えるでしょう。

わかりますか?



『1、体育館』(変更)
鉄骨を組合わせたドーム型の天井に
「カキュイーン、カキュイーン」
という、金属バットでボールを打つ音が妙によく響いていました。

鉄骨を組合わせたドーム型の天井に、バットでボールを打つ音が妙によく響いていました。



『1、中を覗く』(変更)
「ンゴゴゴゴゴッッ」
電源が入っているはずのない、コンクリートミキサーが突然動き出してしまったんです。

その時、電源が入っているはずのないコンクリートミキサーが、突然動き出してしまったんです。

そうそう、そういえば保健の先生が言っていた8月の初めって、夏の高校野球大会の頃じゃありませんでしたっけ?
それに、そのけが人の所属している部活って、みんな野球部なんです。
それも利き腕をね……。
あれ、そういえば誰か野球部に所属していませんでしたっけ?
さあ、僕の話は、これで終わりです。
次は、どなたですか?

そうそう、そういえば保健の先生が言っていた8月の初めって、夏の高校野球大会の頃じゃありませんでしたか?
それに、そのけが人の所属している部活って、みんな野球部なんです。
それも利き腕をね……。

……倉田さん、体育館は危ないですよ。
僕は違う話もいろいろ聞いています。
まあ、それは別の機械にすることにしましょう。
僕の話は、これで終わりです。
次は、どなたですか?




『2、他を探す』(変更)
と、そのとき
「がくんっっ!」
彼は倒れました。
幸い、転んだだけのようです。
彼は立ち上がると、また走り出しました。
「がくん!」
さっきは、ただ転んだのかと思ったのですが、今度は明らかにわかります。

と、そのとき、彼は、がくんっと倒れました。
幸い、転んだだけのようです。
彼は立ち上がると、また走り出しました。
がくん!!
さっきは、ただ転んだのかと思ったのですが、今度は明らかにわかります。

バリバリバリバリッ。
「うわーーーっ!!」
彼は、そのまま床下へと落ちてしまったんです。

「うわーーーっ!!」
彼は、そのまま床下へと落ちてしまったんです。

あれ? 誰か、野球部に所属してませんでしたっけ。
さあ、僕の話は、これで終わりです。
次は、どなたですか?

あれ? 誰か、野球部に所属してませんでしたか?
さあ、僕の話は、これで終わりです。
次は、どなたでしょうか?



『2、焼却炉』(変更)
普通の骨折というのは、外部から強い力が加えられて骨が折れてしまうことをいうんです。ですが、彼女の骨折はそれではなく、骨が非常にもろくなって折れてしまうものだったんです。
普通の骨折は、外部から強い力が加えられ、骨が折れてしまうことをいうものですね。
ですが、彼女のは、骨に小さな穴がいくつも開いてもろくなり、折れてしまったものだったんです。



『1、女子生徒が歩いてきた』『2、男子生徒が歩いてきた』(変更)
「あら、みんな。久しぶりね」
「あら、久しぶりね」



『1、女子生徒が歩いてきた』(変更)
その後、その焼却炉はやけどする生徒が多発して危ないとのことで今は用務員さんしか近づかないそうです。
さあ、僕の話は、これで終わりです。
次は、どなたですか?

その後、その焼却炉はやけどする生徒が多発して危ないとのことで今は用務員さんしか近づかないそうです。
地縛霊の犠牲者は、他にもたくさんいるのかもしれませんね。
僕の話は、これで終わりです。
次は、どなたですか?



『2、男子生徒が歩いてきた』(変更)
「まあ……ずいぶんな言いぐさじゃない……」
「ずいぶんないいぐさじゃない……」

ショックで気絶している彼の足をつかむと、脇に見える、まだ熱く燃え盛っている焼却炉に投げ込んだんです。
「ぎゃぎゃぎゃあーーーーっ!!」

ショックで気絶している彼の足をつかむと、脇に見える、まだ熱く燃え盛っている焼却炉に投げ込んだんです!
「ぎゃぎゃぎゃーーーーっ!!」

その後、その焼却炉はやけどする生徒が多発して危ないとのことで今は用務員さんしか近づかないそうです。
さあ、僕の話は、これで終わりです。

その後、その焼却炉はやけどする生徒が多発して危ないとのことで今は用務員さんしか近づかないそうです。
倉田さん、あそこには、たしかに地縛霊がいるんですよ。
さあ、僕の話は、これで終わりです。



『1、花は無事だと嘘をついた』(変更)
彼女は、お見舞いのみんなが帰った後、そっと考えました。
そう思えば思うほど、花壇の花達のことを考えてしまいます。
「自分のことは自分でよくわかる。お医者さまよりわかるのよ。本当は自分はもう長くはないってことを……」
このまま、もうここから出れないのなら最後に花達の世話をしたい。

彼女は、お見舞いのみんなが帰った後、そっと考えました。
(自分のことは自分でよくわかる。お医者さまよりわかるのよ。
本当は自分はもう長くはないってことを……)
そう思えば思うほど、花壇の花達のことを考えてしまいます。
このまま、もうここから出れないのなら最後に花達の世話をしたい。

なんで僕がこの話を知っているかって?
なんで、この話を知っているかって?



『2、花は枯れてしまったと本当のことをいった』(変更)
皆さんもみたことがあるでしょう……。
あの血のように赤い紫陽花を。
あれは、そう言ういわれがあったんです。

皆さんもみたことがあるでしょう?
あの血のように赤い紫陽花を。
あれは、そういういわれがあったんです。
2話古びた旧校舎の深夜の見回り



『3、もう少ししてから行く』(変更)
「うおっ、稲光か……びっくりした」
ゴロゴロゴロ…………

「うおっ、稲光か……びっくりした」
空が光り、ゴロゴロゴロと鳴り出したのです。


『1、見回りをする』『2、見回りをやめる』『3、もう少ししてから行く』(変更)
あんな旧校舎に忍び込むものなどいるわけはないのだ。
自分は、あくまで万が一に備えて見回りを行っているだけなのだ。

あんな旧校舎に忍び込むものなどいるわけはないのだ。
自分は、あくまで万が一に備えて見回りを行っているだけなのだ、と。


『1、旧校舎へ向かう』『2、このままじっと様子を見る』(追加)
まるで、苦痛に悶えながら死んでいった人たちの怨念が呻いているような、そんな音が歩くたびに聞こえてきました。
……本当に、いるんだろうか?

まるで、苦痛に悶えながら死んでいった人たちの怨念が呻いているような、そんな音が歩くたびに聞こえてきました。
相手は、一向に動く気配がありません。
時々、ふっと止まっては耳を潜めるのですが、なかなか尻尾を出しません。

……本当に、いるんだろうか?



『3、床をドンドンと鳴らす』(変更)
バリバリバリッ!
「しまった!」
先生の足は、廊下の床を突き破ってしまったんです。

桜井先生は、思いっきり床を踏みつけました。
「……しまった!」
先生の足は、廊下の床を突き破ってしまったんです。

そして起きあがろうとしたその時、さっきの笑い男の男性が真上から覗き込んでいたんです。
そして起きあがろうとしたその時、さっきの笑い顔の男性が真上から覗き込んでいたんです。



『3、振り向かず、このまま様子を見る』(変更)
ゴトッ、
「しまった!」
先生は、思わず手に持った懐中電灯を取り落としてしまいました。
落とした懐中電灯がはずみで、スイッチが入ってしまったようです。

その時です。
先生は、思わず手に持った懐中電灯を取り落としてしまいました。
「しまった!」
落とした懐中電灯がはずみで、スイッチが入ってしまったようです。



『2、振り向いて、懐中電灯をつける』『3、振り向かず、このまま様子を見る』(変更)
また、もう一つの足音が聞こえ始めたのです。
……桜井先生の真後ろから。
桜井先生は驚いて、足を止めました。

もう一つの足音が聞こえ始めたのです。
……桜井先生の真後ろから。
驚き、桜井先生は足を止めました。



『3、特に気にしたことはない』(変更)
全く先入観がないから、怖い話をするのにもってこいですね。
古い木造の建物って、パリパリしてるっていうかカビ臭いっていうか、埃っぽいんですよね。
古くさい臭いがまどろんでいて、戸をガラガラッと開けると中の空気がさーっと流れて来る感じ。
あれ嫌なんですよ。
なんだか、違う世界のような気がしませんか。
旧校舎もそんな感じですよね。
いえ僕は入ったことないんですけどね。
その、旧校舎は使われなくなってから、かなりの年数が経っていますけど、使われなくなってからも、とりあえず見回りだけは行われていたんですよ。

先入観がないでしょうから、怖い話のしがいがあります。
古い木造の建物は、パリパリしているというか、カビ臭いというか、埃っぽいですよね。

古くさい臭いがまどろんでいて、戸をガラガラと開けると、中の空気がさーっと流れてくるじゃないですか。
あれ嫌なんですよ。
違う世界のような気がしませんか。
旧校舎もそんな感じですよね。
いえ僕は入ったことないんですけれど。

旧校舎は使われなくなってからかなりの年数が経っていますけど、とりあえず見回りだけは行われていたんですよ。


教育実習の先生って、大体自分の出身校に行って実習するっていうのが相場なんです。
佐々木先生も何年か前は、ここの制服を着て女子高生していたわけです。
教育実習生が、夜間の校内見回りなんてやるわけないですよね。
それが、今年に限ってやらせましょうなんて、意地の悪い先生がそれを押したんです。

教育実習の先生は、大体自分の出身校に行って実習するものですよね。
佐々木先生も何年か前は、ここの制服を着て通学していたんですよ。

教育実習生が、夜間の校内見回りなんてやるわけがないですよね。
それが、今年に限ってやらせましょうと、意地の悪い先生が推したんです。


彼女、学生時代にテニス部に所属していたんです。
毎年、テニス部の合宿には怪談大会っていうのが開かれるんですが、決まって旧校舎にまつわる話が出てきたのを思い出してしまいます。

彼女は、学生時代にテニス部に所属していたんです。
合宿の怪談大会で聞いた、旧校舎にまつわる話が思い出されます。


何だかんだいって佐々木先生、中に入って行っちゃったんですよ。
こわいもの見たさっていうのもあるでしょうけど、立入禁止になってる所って気になるじゃありませんか。
佐々木先生って、好奇心旺盛でミーハーだったんです。
なんてったってまだ、女子大生ですから。
まず、三階にいったん行ってから、順番に下に下りていこうと考えました。

文句をいいながらも、佐々木先生は中に入って行きました。

こわいもの見たさというのも、あったと思いますが。
立入禁止になってる所ですから、気になったんでしょうね。
佐々木先生は、好奇心旺盛でミーハーだったんですよ。
その頃はまだ、女子大生でしたから。

まず、三階に行ってから、順番に下に下りていこうと考えました。


ビリビリビリッ、
「え……」
彼女は、でっぱった釘に引っかかってもがいていたんです。
「ひどいわー! このブラウス、高かったのにー! くやしーい」
自分が勘違いしたのが悪いのに、それを棚に上げてむくれている佐々木先生でした。

ビリッと、何かが破ける音がしました。
「え……」
彼女は、でっぱった釘に引っかかって、もがいていたんです。
「ひどいわー!
このブラウス、高かったのにー!
くやしーい」

自分が勘違いしたのが悪いのに、それを棚に上げてむくれていたそうです。


廊下の向こうっかわから、何かぼーっとしたものがこちらに近づいて来ているようです。
廊下の向こう側から、何かぼーっとしたものがこちらに近づいて来ているようです。


こういう時、人間て不思議なもので、やめときゃいいのに、一番ベストなやり方とは全く逆のことをしてしまうものなんですよね。
こういう時、人間とは不思議なもので、やめとけばいいのに、一番ベストなやり方とは全く逆のことをしてしまうものなんですよね。


何で知ってるかって?
だって、佐々木先生って僕の家の隣のお姉さんですから。

何で知っているかって?

だって、佐々木先生って僕の家の隣のお姉さんですから。
3話飛び降り自殺の人体実験


『1、ある』(変更)
人に、絶対してはいけないと思うことをいってもらうとします。
その答えは、実はその人が心の奥底でしたいと思っていることなんだそうですよ。

例えば、『絶対にしてはいけないこと』とは何か、と聞かれたら、あなたはどう答えますか?

ちょっと、考えてみてください。
……その答えは、実はその人が心の奥底でしたいと思っていることなんだそうですよ。



『2、気に入らない先生』(変更)
そして相沢さんは、屋上から……。
つき落とされたんです。
屋上から人が落ちるのを見たかったのは、相沢さんだけではなかったんですよ。
もちろん僕だって、ずっと……。
相沢さんが飛び下りてくれるのをずっと待っていたんですよ……。

そして相沢さんは、屋上から……つき落とされたんです。
屋上から人をつき落としたかったのは、相沢さんだけではなかったんです。

もちろん僕だって、ずっと……相沢さんが下に落ちるのを、ずっと待っていたんですよ……。

僕は、彼がつき落とされた時点で屋上から逃げましたから、その後のことはわからないんです。
あれは、恐ろしい事件でした。
あの男子生徒は、僕がそう思っていたように相沢さんが飛び下りてくれるのをずっと待っていたのかもしれません。

僕は、突き落とされる瞬間までしか目撃していないんです。
疑われるのが嫌で、すぐに逃げ出してしまったからなんですが。
当然、彼の死体も見ていません。

……あの男子生徒は、相沢さんをつき落とす機会を、ずっと狙っていたのかもしれませんね。

登校すると、校内では相沢さんの事件について様々な噂がながれていました。
僕はなるべくそれらの話を聞かないようにしていました。

登校すると、相沢さんの事件について様々な噂が流れていました。
僕は、なるべくそれらの話を聞かないようにしていました。



『2、バットで殴りつける』(変更)
バットで殴ったり、クロロホルムを嗅がせたりするのはもう試しました。
そこで相沢さんは、今度は獲物の首を絞めてみることにしたのです。

バットで殴ろうか……と、相沢さんは考えました。
しかし、それはすでに試しています。
そこで、今度は獲物の首を絞めてみることにしたのです。



『2、何もいわない』(変更)
「やめてくれ!」
僕は、荒井さんにすがりついた。
彼がとびおりそうに見えたのだ。

「やめてください!」
僕は、荒井さんにすがりついた。
彼がとびおりそうに見えたから……。

これ以上の危険は、避けねばならない。
これ以上の危険は、避けなければ。
 


『2、やめる』(変更)
逃げてはいけなかった。
七不思議の会を、途中で止めてはいけなかった。
4話宿泊施設にある謎の4番ベッド



『1、幽霊の話』(変更)
僕は、次の日山本さんに話をしました。
そして、彼が死神鉛筆を使ったことを知ったのです。
僕は驚いて彼に伝えました。

僕は、次の日山本さんに話をしました。
それで、彼が死神鉛筆を使ったことを知ったのです。
驚きましたよ。
もちろん僕は、すぐさま伝えました。


もしみんなに見つかったら、きっと彼女は帰れといわれてしまう……。
そう思ったのです。
宿泊施設の空きベッドに囲いを作り、そこを彼女に使わせました。

もしみんなに見つかったら、きっと彼女は帰れといわれてしまう……。
そう思ったのでしょう。

彼は宿泊施設の空きベッドに囲いを作り、そこを彼女に使わせました。

「あれは、死神鉛筆の予言だよ」
僕がいった言葉を、彼は忘れていなかったはずです。
しかし、彼はその時女の子とつきあっていたわけではありません。

「あれは、死神鉛筆の予言だよ……」
僕がいった言葉を、彼は忘れていなかったはずです。
しかし、彼はその時あの女の子とつきあっていたわけではありません。

合宿が終わったら、又会おうと。
これからもつきあってほしいと。

合宿が終わったら、又会おうと。
つきあってほしいと。

しかし……。
彼女はなかなか現われません。
山本さんが待っていたのは、七時ごろからです。
しかし、十時になっても彼女は来ません。

彼は、その日彼女に連絡先やクラスを聞こうと、わくわくして校門で待っていたのです。
けれど、彼女はなかなか現われませんでした。
山本さんが待っていたのは、七時ごろからです。
十時になっても彼女は来ませんでした。


そして、山本さんが来ないといって帰ってしまっていたら……。
そんなことも考えましたが、ずっと待ちつづけたのです。
しかし、彼女は来ました。

そして、山本さんが来ないといって帰ってしまっていたら……。
そんなことも考えましたが、ずっと待ちつづけたのです。

……彼女は来ました。


『3、残酷な話』(変更)
……実はね、あの宿泊施設には、出るんですよ。
何がって?
あなた、聞いたことありませんか?
逆さ女ですよ。
ベッドで寝ている人を覗きこむ、逆さ女という妖怪が出るんです。
彼女は、頭を下にして長い髪をたらしながら、ベッドで寝ている人にある質問をするんです。

あの宿泊施設には……逆さ女が出るんですよ。
彼女は、ベッドで寝ている人を覗きこむ、妖怪です。
頭を下にして長い髪をたらしながら、ベッドで寝ている人にある質問をするんです。

え、僕が、サッカー部に入っていたなんて意外ですか?
僕はね、仲がよかった友達に誘われてサッカー部に入ったんですよ。

実は僕、仲がよかった友達に誘われて、サッカー部に入ったんですよ。

もう、さんざんなものです。
袖山君は、夜中に寝苦しくて目覚めてしまいました。
すると……。
逆さ女が、現われたのです。
彼女は袖山君のベッドの上から、覗きこむようにしてじっと彼を見ていました。
そして、こんなことをいったのです。

もう、さんざんなものです。
僕は、夜中になってもずっと眠れませんでした。
すると……。

逆さ女が、現われたのです。
僕は、怖くて寝たふりをしていました。
逆さ女は、袖山君のベッドの上から、覗きこむようにしてじっと彼を見ました。
袖山君がその気配を感じて目覚めると、逆さ女はこんなことをいいだしたのです。
そして、こんなことをいったのです。



『1、誰にもいわない』(変更)
「そうかい。
誰にもいわないんだね。
約束だよ……」

「よしよし、いい子だねえ。
約束通り、誰にもいうんじゃないよ……」



『1、いった』『2、いわなかった』(変更)
「あまりよく寝られなかったようだね……」
僕が、そういうと彼はこくんと頷きました。

「あまりよく寝られなかったようだね」
僕が、そういうと彼はこくんと頷きました。



『2、次の人の話を聞く』(変更)
それでは皆さん、聞いて下さい。
……それでは皆さん、聞いて下さい。

あなたは本当に礼儀知らずですねえ……。

そんな予感が、僕の心を支配していった。

「あ、荒井さん……?」
荒井さんが、席を立って私に近付いて来た。
「そろそろあなたにも話をしてあげましょう。
倉田さん。
いいことを教えてあげますよ。
あの化け物は、人の気弱な心を吸い取るわけではなかったんです」

「荒井さ……」
どうしたのかしら。
身動きできない。
荒井さんの目線に、囚われてしまったように……。
「倉田さん、あれは、人間の良心を吸い取る化け物だったんですよ。
それで僕は、あいつに善の心を吸い取られてしまったってわけです。
しかし、現実にこんなことがあっていいんでしょうかね。
不思議です。
実に不思議ですよ。
僕は、いまだによくわかりません。
4番ベッドはとにかく恐ろしいベッドです」

荒井さんの手が、私の首筋を捕えた。
「そういえば、倉田さん……」
荒井さんは、口を左右に大きく開け、悪魔のような笑いを浮かべた。
「さっき、僕のことを散々ばかにしましたね。
僕はね、良心を吸い取られた男です。
だから、何でもできるんですよ。
そうですね、例えば……」
荒井さんは、いきなり私の首を絞めつけてきた!!
「うぐっ……!」
皆は、突然のことに何をしていいかわからないようだった。
「きゃーーーーっ!!」
女子の叫び声。

「倉田さん、僕がサッカー部を辞めた本当の理由を教えてあげますよ。
実は、辞めたのではなく辞めさせられたんですけれどね。
ちょっと、暴力問題を起こしましてね。
だって、僕には良心が無いんですから。
暴力の一つや二つ、ふるいたくなりますよ。
僕がいくら支配される側の人間だといっても、どんなことでも我慢するってわけにはいかないんです。
ははははは……おや、どうしたんです?
返事もできないんですか?
あなたも本当に礼儀知らずですね。
ああ、首が締まって声もでないんですか……」
荒井さんの声が、耳元でじんじん響く。
私は、もう何にも考えられなくなっていた。
意識が遠くなっていくだけで……。

もう、彼が何をいっているのかも分からない……。
先輩………。
なんで、こんな人を呼んだんですか………?

気がつくと、私は保健室のベッドの上にいた。
首を絞められ、気を失ってしまったみたい。

「ああ、倉田さん。
さっきはすみませんでした」
荒井さん……!?
荒井さんが、私を保健室に運んでくれたの?
「みんなは、もう帰ってしまったんです。
君がずっと寝ていたものですから。
さあ、僕達も帰りましょう……」

私は、体を起こした。
なんだか頭が痛いわ。
立ちあがると、荒井さんが手をかしてくれた。
今の荒井さんは、穏やかな表情をしている。
けど、油断はできない。
ここで彼を怒らせるようなことをいったら、又ベッドの上に逆戻りだもの。

気を付けなきゃ……。

荒井さんは、にっこりと微笑んだ。
「あ、荒井さん、私、一人で帰れます。
保健室に運んでくださって、ありがとうございました」
私は、慌てて一人で帰ろうとした。

すると荒井さんは、一瞬怒ったような顔をして、でも、すぐに微笑んで……。

黙って私の首に手を伸ばした。
今度は、手加減なしかもしれない。
私は、再び自分が誤った方法をとってしまったことを感じた。
絞め殺されてしまう。
私は絞め殺されてしまう。

そんな予感が、心の中を支配していった。
私は首を絞められながら、あとどのくらいの時間でこの苦しみがなくなるのかしらと、頭のどこかで考えていた……。
5話時田君の自主製作映画



『1、好き』(変更)
ほう、そうですか。
いやぁ、聞いてよかった。

そうですか。

じゃあ、フランス映画が好きだというくらいなんですから、映画は好きなんですよね。
ところで、倉田さんは、他にはどんな映画が好きなんですか?



『2、嫌い』(変更)
じゃあ、坂上君は映画は好きですか。
……フランス映画以外ということになりますね。

ところで倉田さんは、もしかして、映画自体が嫌いなんでしょうか?



『2、嫌い→1、好き』(変更)
そうですか、よかった。
ここで坂上君が映画が嫌いだなんていったら、僕は悲しい気持ちになっていたでしょう。
さっき、坂上君がフランス映画は嫌いだといったとき、この人はフランス映画だけじゃなく映画自体が嫌いなのかと思いました。

へえ、そうですか。
フランス映画を見ないのに、映画は好きなんですか。
変わった人ですねえ。
でも、人それぞれですからね。



『3、どっちでもない』(変更)
絶対、気に入りますから。
……ひょっとして、坂上君は映画とか嫌いなんですか?

絶対、気に入りますから。
ところで、倉田さんは、映画だったらどんなものが好きなんでしょうか?




『1、アクション』(変更)
アクションが好きなんですか。
男の子らしいですね。
最近のアクション映画は、どんどん過激に激しくなっていくのがよくわかりますよね。

そうですか。
アクションが好きなんですか。
最近のアクション映画は、どんどん過激に激しくなっていくのがよくわかります。

あのスタントの人は、あれからケガをして重傷だったんじゃないのかなぁ、とかね。
僕、気が弱いですから。

それで、話は変わるんですが、映画って怖いと思いませんか。
昔から、写真は人間の魂を吸い取るっていわれてたじゃないですか。
今でこそ、そんな話は迷信だって笑いますけれど、昔はまじめに信じてたんですよ。
写真を一枚撮られるごとに寿命が縮んでいくとか、三人で写真に写ると、真ん中の人間は早死にしてしまうとかね。
昔は、写真などというものが不思議に思えてならなかったんでしょうね。
自分の姿が、たった一枚の紙に封じ込められる。
まさに、魔法だったんですよ。
だから、みんな怖がった。
映画だって同じですよね。
映画が生まれた当初は、すごかったんですよ。
例えば、映画の中の人物が、画面に向かって銃を撃つでしょ。
すると、それを見ていた観客は、自分が殺されたと思って気絶したっていうんですから。
だから、あの銀幕の向こうには自分たちとは違う人が住んでいて、その人たちの生活している世界を見ているんだって、みんなは思っていたほどなんですよ。
今時は、誰もそんなこと思いませんけれどね。
……でも、それって本当に嘘なんでしょうか。
昔の人々が思っていたことは、本当にただの想像だったんでしょうか。
僕は、あながちそうだとは思えないんですよ。
フィルムというのは、時々映してはいけないものを映してしまったり、現実には存在しない不思議なものを映してしまったり……。
フィルムには、そういう魔力があるような気がしてならないんです。
僕がこれから話すのは、そんな映画の話なんですよ。
僕のクラスに、時田安男君という人がいたんですけどね。
彼は、無類の映画好きで、よく僕に映画の話をしてくれたんです。
そりゃあもう、詳しいですよ。
マニアってやつですか。
僕もかなりのものだと思っていたんですけれど、上には上がいるもんです。
彼には負けますね。
見てない映画がないくらいで。
僕が必死に調べてきて、彼の鼻をあかそうとしたけれど無理でした。
生き字引って言葉がありますけれど、映画に関していえば、彼はまさにそれでしょうね。
そんな映画好きの時田君でしたからね、
学校に映画関係のクラブがないことをとても残念に思ってました。
取りあえず、自分たちで同好会を作ってしまったんです。
当時、僕たちは一年生でした。
それなのに時田君は、積極的に先輩や先生に呼びかけて、あっという間に同好会を作ってしまったんですよ。
さすがに、いきなりクラブにはなれませんでしたけど。
映画好きの人って、捜せば結構いるものですね。
何だかんだで二十人ほど集まったそうです。
彼は、たいそう喜んでいましたよ。
撮影用の機材は、ほとんど彼が持ってきました。
機材といっても、8ミリカメラや簡単な照明器具ですけどね。
8ミリといっても、今みんなが使っているようなビデオカメラじゃないですよ。
昔ながらの手持ちの8ミリカメラです。
今は、あまり見かけませんけどね。
なんでも、時田君のお父さんが使っていたものだそうで、彼のお父さんも映画好きで自分で撮影なんかをよくしていたそうです。
それで、彼が映画研究同好会で使うと聞いてお父さんは返事一つで貸してくれたそうです。
集まったみんなは、喜びました。
映画撮影の真似ごとができるんですからね。
ちょっとしたプロ気分です。
え? 僕ですか?
手が空いたときに、ちょっと手伝ったくらいですよ。
僕はもう、ほかの部活に入っていたのでね。
ところで、坂上君。
映画研究会って興味あります?

あのスタントの人は、あれからケガをして重傷だったんじゃないだろうか、とかね。
僕、気が弱いですから。
作る側の事情などを、よく想像してしまうわけです。
一年生の時、同じクラスに映画を作る人がいたものですから。

といっても、自主製作ですよ。

彼は、時田安男君といったんですけれどね。
本当に映画が好きな人でした。
うちの学校に映画クラブがないのを悲しんで、人を集めて同窓会を作ってしまう程でしたよ。
実はね、時田君は役者になりたくて仕方がなかったんです。

将来の夢だと、僕に語っていたことがありました。
なんでも、ブルース・リーに憧れていたらしいですから。
お父さんの手ほどきで、格闘武術を習っていたそうです。
それから、時田君は同窓会で監督もやっていたんです。

自分で監督して、しかも自分で演じたかったんでしょうね。
もちろん、主役ですよ。

この会の創設者は時田君ですし、機材を持ってきたのも彼ですから。
先輩たちも、彼が監督兼主役をやるということを快く納得しました。
そして、記念すべき同好会の第一回作品の撮影が開始されたのです。

ちょうど、去年の今頃だったと思います。
彼が撮ろうとした映画のジャンルは、もちろんアクションですよ。
確か映画のタイトルは、
「正義の鉄拳!!」
だったと思います。
いやですね、なんだか、笑ってしまいますよ。

簡単な内容はこうです。
主人公の父は有名な武術家でした。
ある時、ある組織の用心棒として雇われます。
組織の秘密を知ってしまった彼は殺されます。
その主人公である息子が、父の敵をとるべく組織に戦いを挑む、というのが設定です。

まあ、学生の同好会ですからね。
舞台の大半が学校の中や、校庭になるわけです。
主人公である息子も、そのお父さんも、学生ですよ。
なんとも、怪しい親子ですよね。
それでも、どうにかこうにか撮影は終了しました。

後は編集作業です。
バラバラに撮影したシーンを、一つ一つ繋ぎ合わせていくんですよ。
これが、実に大変らしいですね。

「……あれ?
変だな。
こんなシーン撮影したかな」
時田君は、ふと一本のテープを見て、首を傾げました。

それは、主人公が道場の若手に武術の型を教えているところでした。
確かに、それに似たシーンは撮ったのですが、彼の記憶とは違っていたんです。
時田君は、フィルムを見て驚いてしまいました。

あんなに、へたくそな演技だったみんなが、本当の役者のようにうまい。
みんな、自分の教える通りに素早く動いていく。
それは、本当に自分の教え方が上手くて、どんどんみんなが上達していったんだという錯覚を起こしそうなほどでした。

それほど、よく撮れていたのです。

自分は、そんなカットを撮った覚えはない。
でも、記憶違いかもしれない。
それほどよくできたシーンを、時田君が使わないわけがありません。
彼は、そのシーンを編集しました。

しかし、次の日、ほかのフィルムを見ていると、また撮った覚えのないシーンを発見したのです。
それは、主人公の父が組織の秘密を知って殺されるシーンです。
実際に殺されるシーンなんて、簡単なものでした。

組織の雇った殺し屋に追われる彼が逃げる。
その彼の背後に迫る殺し屋。
そして、彼の叫び声。
殺し屋は、死んでいる彼を背にして去っていく。
それなのに、そのフィルムにははっきりと彼が死んでいくシーンが映っていたんですよ。

その何というリアルなことか。
殺し屋の鉄拳が彼の腹部に炸裂。
彼のみぞおちにヒットしたせいか、口からは一筋の真っ赤な血が……。
そして地面に倒れ、動かなくなる。
そんなカットが次々に映し出されました。

いくらなんでも、こんなシーンを撮った覚えはありませんでした。
しかし実によくできていたんです。
それで、彼はためらう事なくそのシーンも編集し、本編に取り入れました。

その次の日でした。
主人公の父親役をやった生徒が殺されたんです。
僕や時田君と同学年の片山君です。
腹を、何回も殴られてね。
内臓破裂を起こすほどだったそうですよ。
その時の状況を聞いた時田君は、耳を疑いました。

まるで、あの時のシーンにそっくりじゃないですか。
彼を殴り殺した犯人は判らないそうです。
だって、彼は夜中に一人で自分の部屋で寝ていたんですから。
誰も忍び込んだ形跡はないし、部屋が荒らされた様子もない。

疑われるのは家族ですよね。
時田君は、恐ろしくなってしまいました。

もしかしたら、自分があのフィルムを編集したせいで彼が死んだとしたら……。
これが、あのフィルムの呪いだったら……。
あなただったら、どう思いますか?
その映画の編集作業を続けたいと思いますか?

もし続けたら、もっと変なものが映っているかもしれませんからね。

1、続ける
2、もうやめる



『2、もうやめる』(変更)
普通は、そう思うでしょ。
もう、編集をやめてしまうんですか。



『1、続ける』&『2、もうやめる』(変更)
坂上君だったら見直すかい?
倉田さんだったら見直しますか?



『1、見直す』&『2、見ない』(変更)
彼が殺されたことを解決する、これといった決め手もなく、事件は迷宮入りとなったんです。
僕が何で、これを知っているかって?

警察の調べも虚しく、事件は迷宮入りとなったそうです。
僕が何で、これを知っているかですって?

そこには、彼が殺されるまでの記録がしっかりと映っていたんですよ。
そこには、彼が殺されるまでの記録がしっかりと映っていたんです。

僕は、突然のことに足がすくんで動けません。
僕は、突然のことに足がすくんで動けませんでした。



『2、SF/ホラー』(変更)
私は、あんまりああいうタイプは好きじゃないんですよ。
僕は、あんまりああいうタイプは好きじゃないんですよ。

今は、あまり見かけませんけどね。
今は、あんまり見かけませんけどね。



『1、ある』(追加)



で、あなただったら、何を担当したいですか。



『2、ない』(変更)
……興味ありませんか。
映画好きがこうじて、映画を作る側に回ってしまったなんていうのはよくある話です。
まあ、映画が好きだというのと、それを作りたいかというのは別物かもしれないですからね。
あくまでも、映画を見る観客側でいたいというのもわかる気がします。
映画を作る方に興味を持つと、純粋にそれを楽しんで見るということができなくなりそうな気もしますしね。
それは、人それぞれかもしれませんが……。
取りあえず、それはおいといても、もし映画の仕事をやることになったとします。

……そうですか。
映画を作る方に興味を持つと、純粋に楽しんで見るということができなくなるかもしれませんよね。
それは、人それぞれかもしれませんが……。
それでは、仮に、映画の仕事をやることになったとします。



『6、裏方』(変更)
僕は、彼らはある意味で芸術家だと思います。
そのこだわりが、彼らの作り出すものをより一層よいものにしていくのだと思います。
映画を見る人は、たいてい役者や監督で映画を見ますね。
裏方が、誰それだからこの映画を見る、という人はいないとはいいませんが、かなり少ないはずです。
同好会では、裏方としての大道具や小道具がちゃんといるわけではありませんでした。

彼らは、ある意味で芸術家なんでしょうね。

そのこだわりが、彼らの作り出すものをより一層よいものにしていくのだと思います。
同好会では、裏方としての大道具、小道具がちゃんといるわけではありませんでした。

時田君は、監督をやりたがりましたね。
やっぱり、前々から監督がしたいと思っていましたからね。

時田君は、監督をやっていました。
前々から監督がしたいと思っていたようです。

ほとんどの連中は役者をやりたがりましたし、この会の創設者は時田君ですしね。
それに、機材を持ってきたのも彼なんですから。
先輩たちも、彼が監督をやることを快く納得しました。

彼が監督をすることに反対する人は、特にいませんでした。

……あなた、ホラー映画やSF映画が好きなんでしたっけね。
実は、彼もなんですよ。
彼が撮ろうとした映画は、『ミイラ人間と美女』というタイトルのホラー映画だったんです。
タイトルで笑っちゃだめですよ。
彼が撮りたかったのは、今あるような特撮バリバリのSFX映画ではなく、どちらかというと往年の古風なモンスター映画を撮りたかったんですよ。
もっとも、派手な特撮を撮ろうとしても、そんなもの撮れるわけないですからね。
彼は本当に一生懸命でした。

彼が撮ろうとした映画は、『ミイラ人間と美女』というタイトルのホラー映画だったんです。
……どなたですか、笑っているのは。
たしかにうさん臭いタイトルではありますが。
そんなふうに笑ったら気の毒ですよ。

時田君は、本当に一生懸命だったんですから。
彼は、限られた予算の中で、より効果的な場面を作ることを、ずいぶん研究していました。

そんな彼に、僕は心の中でエールを送っていましたよ。
映画の内容ですか?
シナリオも時田君が書きました。

シナリオも、時田君が書いたんですよ。

そして、最後にはその女性もミイラにしてしまい、一緒に自分の柩の中に入れて、二人でエジプトに帰っていく。
簡単でしょ。
まあ、役者が大根ですから。
それに、学生でしょ。
舞台の大半は学校になります。
ですから、主役のヒロインも、この学校の生徒でセーラー服を着ている。
それが、エジプトの王女の生まれ変わりなんですからね。
何とも怪しい設定ですよね。
それでも、どうにかこうにか撮影は終了しました。
でも、これからが大変なんです。

そして、最後にはその女性もミイラにしてしまい、一緒に自分の柩の中に入れて、二人でエジプトに帰っていく……。

素人同士の集まりですから、撮影は大変だったようです。
やがて、どうにかこうにか撮影は終了しました。

でも、それからが大変だったんです。

かれは、そのことを会のみんなに話しました。
かれは、そのことを同窓会のみんなに話しました。
しかしみんなは、今更やり直しなんてと反対したんです。

と、先生にもいわれたそうです。
もちろん同好会のメンバーも、大多数が撮り直しに反対しました。
「せっかく、頑張ったのに駄作なんていわれたらやる気も失せるぜ」
はき捨てるように、彼に罵声を浴びせました。
そして、反対した者が一人ずつやめていく……。
とうとう、残りは4人になってしまいました。
坂上君だったら残る?

顧問の先生がいいました。
「せっかく頑張ったのに、駄作なんていわれたらやる気も失せるぜ」
会のメンバーが、はき捨てるようにいいます。

そして、時田君に反感を覚えた者が一人ずつやめていったんです。
「これだから素人は……。
いいよ、やめたいやつはやめてしまえ。
やる気のある奴だけが残ればいい」
そういって時田君は、みんなを止めもしませんでした。

そうこうしているうちに、とうとう残りは4人になってしまったんです。

倉田さんだったら残りますか?



『1、同窓会に残る』(変更)
残るの?
時田君は、情熱的な人だったからね。
同好会に残った人も、彼の情熱に打たれたんだろうね。

残るんですか?
まあ、わからなくもないですよ。
時田君は、情熱的な人でしたから。
同窓会に残った人も、彼の情熱に打たれたんでしょう。

その残ったメンバーの中に、僕や時田君と同じ学年の中山太一君もいたんです。
その残ったメンバーの中に、僕や時田君と同じ学年の中山太一君もいたんです。
彼は、8ミリカメラで映画を撮影していた人です。



『2、同好会を辞める』(変更)
そうかい、やっぱり坂上君も時田君のやり方にはついていけないんですね。
そうですか、やっぱり倉田さんも時田君のやり方にはついていけないんですね。



『1、同窓会に残る』&『2、同窓会を辞める』(変更)
今度は慎重に、前の失敗を繰り返さないように気をつけました。
時田君も、監督のほかに8ミリカメラで撮影をすることがありましたが、今回はミイラの包帯を取ったときのメイクにこだわっているようでした。

慎重に、前の失敗を繰り返さないように気をつけました。
そして、ミイラの包帯を取ったときのメイクにこだわっているようでした。

そんなある日、中山君が風邪で寝込んでしまったんです。
時田君も、カメラの腕には自信があったので撮影は続けられました。
あれから四日後、中山君の風邪も全快して、時田君の撮影も無事終了したようでした。
今日から編集作業を始めるとのことでした。
しかし、中山君が撮影も終わったことだし、もう気が済んだろうということで、同好会をやめると言い出したんですよ。

そんなある日、中山君が風邪で四日くらい寝込んでしまったんです。
その間は時田君が撮影しました。
彼もカメラの腕には、多少自信があったようですから。
そして中山君の風邪が全快し、映画の撮影は無事終了したようでした。

しかし、これから編集作業を始めようという時に、中山君が同窓会をやめるといいだしたんですよ。
撮影は終了したから、もういいだろうといってです。



『1、彼を引き止める』(変更)
「どうしてだ。君までまた、だだをこねるのか……。頼む、お願いだから編集作業だけでも手伝ってくれないか……。君じゃなきゃ、できないこともあるんだよ」
時田君は、彼に土下座して頼んだんです。

「君まで……どうしてなんだ?
頼む、お願いだから編集作業だけでも手伝ってくれないか……?
君じゃなきゃ、できないこともあるんだよ」
時田君は、彼に土下座したんです。

ここは一つ、上手く彼を丸め込んでしまおうと思ったんです。
後でなんとでも、断れるし……。
「……わかったよ、映画にかける情熱はお互い様だしな」
中山君は言いました。
時田君は喜んで編集作業を彼と始めたんですよ。

そこで、上手く時田君を丸め込んでしまおうと思ったんです。
「……わかったよ、映画にかける情熱はお互い様だしな」
中山君はそういいながら、機会を見て去ろうと思っていました。
そして時田君は、喜んで編集作業を彼と始めたんですよ。



『1、とても見たい』『2、見なくてもいい』(変更)
「そうだろう!! 僕が頑張った甲斐があったよ!!」
「そうだろう!!
苦労した甲斐があったよ!!」

「当たり前さ、生身の人間がベースなんだからね」
「すごいのは当たり前さ、生身の人間がベースなんだからね」

なにか、口をパクパクさせていたんです。
なにか言っている?
BGMを入れているので生音は聞こえない。
僕は、ちょっと気になり口まねをしてみた。
「た……、す……、け……、て……」
えっ!?
助けてだって!?
この話は、ミイラが助けを呼ぶ話じゃない。
彼が口を挟んだ。

口をぱくぱくさせています。
なにか、しゃべっているようでした。

BGMが入っていましたので、声がよく聞こえません。
僕は、ちょっと気になり、口まねをしてみたんです。
「た……、す……、け……、て……」
なんのことかと思いましたよ。
この話は、ミイラが助けを呼ぶ話じゃありませんでしたから。

その時、時田君がいいました。

僕は彼の説明を聞きながら呆然とした。
そういえば、さっきのミイラは演技ではなく、助けを求めてさまよっていたのかも!?
誰かに似ていたような気もする……。

僕は、彼の説明を聞きながら呆然としました。

そういえば、さっきのミイラは演技ではなく、助けを求めてさまよっていたのかも……。
それに、ミイラは誰かに似ていたように思えたんです。

僕は思わず叫んでいた。
時田君の目が、鋭く僕をにらんだ。
その時、坂上君はどうする!?

僕は、思わず叫んでいました。
時田君の目が、鋭くにらんできます。
こんな時、倉田さんならどうしますか?



『1、犯罪なんだと自覚させる』(変更)
僕は、ひるまなかった。
「時田君、しっかりするんだ!! 目を覚ませよ!! 君のしていることは、犯罪なんだよ!!」
時田君は、僕をにらんだままこういった。

僕は、ひるみませんでした。
「時田君、しっかりするんだ!!
目を覚ませよ!!
君のしていることは、犯罪なんだよ!!」
時田君は、僕をにらんだままこういいました。


さっきの、ミイラは誰かに似ていると思ったら、中山君か!!
顔は崩れているが、面影がある。
あの二人に、何かいざこざがあったらしい。
時田君は、僕ににじり寄った。
そして、ポケットから小瓶を取り出した。
「まさか……、りゅ、硫酸!?」
僕はいった。
「お前も、俺の特殊メイクの材料になれ!!」
彼は、僕に襲いかかった。

あのミイラは、中山君たったんですよ。

そういわれれば、確かに面影がありました。
あの二人には、なにかいざこざがあったらしいんです。
時田君は、僕ににじり寄りました。

そして、ポケットから小瓶を取り出したんです。
「まさか……、りゅ、硫酸!?」
僕は叫びました。
「お前も、俺の特殊メイクの材料になれ!!」
彼は、僕に襲いかかってきます。

僕は今でも、白いスクリーンを見ると、ふと中山君を見てしまうんですよ。
人間、こだわりすぎると怖いですね……。

僕は今でも、白いスクリーンを見ると、ふと中山君が見えるような気がしてしまうんですよ。
人間、こだわりすぎると怖いですね。



『2、逃げる』(変更)
僕も逃げたよ。
必死だった。
こんな犯罪者と一緒にいるなんて僕は我慢できなかった。
そして、ミイラの彼が生きているなら助け出さなければいけない。
そう思うと、僕は一層早く走った。
しかし思ったより、彼は素早い。
時田君は、僕の前に立ちふさがる。
彼は僕をにらんだままこういった。

そうですよね。
僕も逃げようとしました。
こんな犯罪者と一緒にいるなんて、我慢できなかったんです。
そして、ミイラの彼が生きているなら、助け出さなければと思ったんです。
僕は、ドアに向かって走り出しました。

しかし思ったより、彼は素早かったんです。

時田君は、僕の前に立ちふさがりました。

さっきの、ミイラは誰かに似ていると思ったら、中山君か!!
顔は崩れているが、面影がある。
あの二人に、何かいざこざがあったらしい。
時田君は、僕ににじり寄った。
その時、彼の動きが止まった。
何かに、怯えているような感じだ。
僕は何かの気配を感じ後ろを振り返る。
そこには、崩れた顔をした中山君が立っていた。
時田君に中山君が近づいていく。
時田君は、足がすくんで動けないようだ。

あのミイラは、中山君たったんですよ。
そういわれれば、確かに面影がありました。
あの二人には、なにかいざこざがあったらしいんです。
時田君は、僕ににじり寄りました。

その時、急に彼の動きが止まったんです。
何かに、怯えているような感じでした。
僕は何かの気配を感じ、後ろを振り返りました。

そこには、崩れた顔をした中山君が立っていたんですよ。
中山君が、時田君に近づいていきました。
時田君は、足がすくんで動けないようでした。

時田君の悲鳴が聞こえる。
続いて、顔が溶けるシュウシュウいう音が聞こえる。
「中山君、もうやめてくれ!!」
僕は、その時叫んでいたんだ。
すると、辺りは静かになった。
映写機の音しか聞こえない。
僕は、恐る恐る顔上げてみた。

そうしていても、時田君の悲鳴や、顔が溶けるシュウシュウいう音が聞こえていました。
「中山君、もうやめてくれ!!」
僕は、思わず叫びました。

すると、辺りは静かになったんです。
しばらく、映写機の音だけがしていました。
僕は、恐る恐る顔を上げてみたんですけれど。

そして、僕の方を見ている……。
後で、聞いたんだけどあのフィルムはどこにも見あたらなかったそうです。
今も、あの二人はフィルムの中で生きているんでしょうか。
みにくい顔のままで……。
僕は、今でも白いスクリーンを見ると、あの二人の顔を見てしまうんです。

二人とも、じっと僕を見ていました。

後で、聞いたんですけど、あのフィルムはどこにも見あたらなかったそうです。
僕は、今でも白いスクリーンを見ると、あの二人の顔を思い出すんですよ。



『1、役者』(変更)
スターという言葉が、よく似合いますよね。
もし学園祭で、自分たちの映画を上演したら、主役をやっている人が人気者になるもんです。
でも大変ですよ。
目に見えるものだから、上手い下手が一番現れますからね。
僕が凄いと思う役者さんは、どんな役でもそつなくこなしてしまうんです。
まあ、役者さんは、そうでなければいけないんですけどね。
その、映画、映画の役柄にピタッとマッチしてしまう。
それは、もうある意味で職人芸ですね。
まあ、それを知ってか知らずか、役者をやりたいって思う人はたくさんいますよ。
時田君は、監督をやりたいということでした。
彼の夢でもありましたからね。
先輩達も、特に反対はしませんでした。
この、会の創設者は時田君でしたし。
それに、機材を持ってきたのも彼なんですから。

でも大変ですよ。
目に見えるものだから、上手い下手が一番現れますからね。
僕が凄いと思う役者さんは、どんな役でもそつなくこなしてしまうんです。
まあ、役者さんは、そうでなければいけないんですけどね。
……時田君は、監督をやりたがりました。

これは、すんなり決まったそうです。

ほとんどの連中は役者をやりたがりましたし、この会の創設者は時田君ですしね。
それに、機材を持ってきたのも彼なんですから。
先輩たちも、彼が監督をやることを快く納得しました。



『3、カメラマン』(変更)
カメラマンですか。
何か、この中では一番監督のいうことを理解し、要求されたもの通りに映画を撮れるかというのが大事になってくる職種ですよね。
もちろん、技術も要求されますが……。
監督が絵コンテに従って出す要求に、いかにイメージ通りに表現できるか……。
そのものを、どういった感性でその作品をカメラで表現するか……。
監督や、プロデューサがこれではダメだと言ったとき、何回も、何回も取り直したり……。
彼らのいうことに、自分の意見を押し出しつつなおかつ従順でいないと、いけないんじゃないんでしょうか。

カメラマンですか。
監督が絵コンテに従って出す要求を、いかにイメージ通りに表現できるか。
どういった感性でその作品をカメラで表現するか。
監督や、プロデューサがこれではダメだと言ったとき、何回も、何回も取り直したり……。

スタッフに自分の意見を押し出しつつ、なおかつ従順でいないと、いけないんじゃないんでしょうか。



『4、プロデューサー』(変更)
気苦労が多そうです。
映画を見る人は、たいてい役者や監督で映画を見ますね。
プロデューサーが、誰それだからこの映画を見る、という人はいないとはいいませんが、かなり少ないはずです。
映画を見る人は、たいてい役者や監督で映画を見ますからね。

しょせん、高校生の映画研究同好会ですから。
プロデューサーというものをあえてつけるんでしたら先生になるでしょう。
時田君は、監督をやりたがりましたしね。

気苦労が多そうです。
時田君は、監督をやりたがりましたね。



『5、脚本』(変更)
でも、大変みたいですよ。
プロデューサーや、監督に、ここをこう直してくれとかもう一回書き直してくれとか、色々いわれるらしいですね。
脚本を書いて、はい、あとはみんなよろしくね……、とはいかないようです。
まあ、当たり前ですけれどね。
それならまだいいですけど、映画ができ上がってきたら、自分の書いた脚本とは全然違うものになっていたりすることもあるようです。
映画を見る人は、たいてい役者や監督で映画を見ますね。
でも、この脚本家が好きだからこの映画を見るという人も多いかもしれませんね。
今回は、同好会で作る自主制作作品ですから。
誰か、文章の上手い人を連れてきて書かせるとか、既存の映画を真似したものとかになってしまうんでしょうね。
時田君は、監督をやりたいということでした。

でも、大変みたいですよ。
脚本を書いて、はい、あとはみんなよろしくね……、とはいかないようですから。
まあ、当たり前ですけれどね。
時田君は、監督をやりたがりました。



『3、カメラマン』&『4、プロデューサー』&『5、脚本』(変更)
まあ、集まってきた連中はミーハーが多かったんでしょう。
ほとんどの連中は役者をやりたがりましたし、この会の創設者は時田君ですしね。

反対する人はいなかったそうです。
ほとんどの連中は役者をやりたがりましたし、この会の創設者は時田君ですしね。



『2、もう編集をやめる』(変更)
もう、編集作業をやめてしまうんですか。
彼は情に厚い人間だったのでフィルムの編集作業を断念することにしたんです。
それ以外に、殺された人間が映っている映画を、編集することにも抵抗がありましたしね。

もう、編集をやめてしまうんですか。
そうですね、その自主製作の作品に携わった人が死んでしまった場合は、思わず考えてしまうのもわかります。
彼も、念願の映画研究同好会を作って、やっと作品を作れるまでになったのに、とても残念がりました。

けれど、彼は情に厚い人間だったのでフィルムの編集作業を断念することにしたんです。
それ以外に、殺された人間が映っている映画を、編集することにも抵抗がありましたしね。

(追加)

……どうです?
もしあなたがこんな誘いを受けたら、その映画に期待しますか?
それとも、どうせ自主製作だと思って鼻で笑いますか?



『2、鼻で笑う』(変更)
ええ、言葉でいうだけならどんな大きなこともいえますからね。
実際に見るまでは、なんともいえないでしょう?

倉田さんって、ずいぶん冷たい人なんですね。
まあ、確かに言葉だけならどんな大きなこともいえますからね。
実際に見るまでは、なんともいえないというのもわかりますけれど。