story of nameless love.
始まった宴は最高潮に盛り上がっていた。
その中心にいるのは、俺と全く同じ顔をした新しい…妹。

「どうしたのだ?」

「ん?おぉ。ビスタじゃん」

「混ざらなくていいのか?可愛い妹をサッチやエース達に取られてしまうぞ?」

「んー…。何だろうな…あいつ見てるとさ。こう、なんかほっこり…すんだ。胸ん中がよ…。よくわかんねぇんだけどなっ!!アハハハハ…」

「異世界から現れた…お前と同じ顔の娘か。この偉大なる航路、何でもありとは言うが随分と面白いことをしてくれる。だが、私は嬉しいよ」

「?…嬉しい?」

「家族以外に興味を持たなかった。お前が、突然現れた謎の娘を受け入れた。しかも、進んで面倒を見ていると来た。何がお前をそうさせるのかは私にもわからないが…あの娘はこれから先この船に新しい風を吹かせてくれるのではないかと…思うよ」

優しげに目を細めて、兄弟に囲まれる妹を見るビスタに俺も自然と笑みが溢れた。

「さぁ、私たちも混ぜてもらいにいこう」

「そうだなっ!」

笑いあい、円になっているその中心で構われあたふたしているだろう…俺の片割れを救出の為ビスタと足を踏み出した。




「なぁ、なぁ!レン!!」

『なぁにー??エース君』

「これ!うんめぇぞ!!」

笑顔で、レンへと巨大な骨付き肉を手渡すエースにレンは苦笑いを返す。

『エース君、これはちょっと…』

「こらっ!!エース、お前女の子になんつーもん渡してんだよ!!」

「んあっ!?サッチ、何だよ!うめぇもんは一緒に食いてぇだろぉがよ!」

「いや、それにしたって限度があんだろ!!レンちゃん、貸してみ?切ってやんよ」

『へ?あ、サッチさん。ありがとうございます』

「いーって事よ!!」

ニッと笑ってレンから巨大な骨付き肉を受け取ると近くの皿で一口サイズに切り分け始めるサッチ。

2人は日中の出来事が嘘の様に、ほのぼのとした空気を放っていた。

「レン、呑んでるかい?」

そこへマルコも、レンの隣へと座り込み笑みを浮かべながらジョッキをずいっと顔の前に差し出す。

『マルコさん。はい、頂いてますよー!』

そう返しながら、マルコのジョッキへと自分のジョッキをコツンとぶつけるレンの顔はほのかに赤い。

「そうかい。ここでやっていけそうかい?」

『……まだ。わかりません。でも、楽しくなりそうです』

そう微笑むレンにマルコも笑んで返したところでサッチが割り込んだ。

「おーい。マルコ!何2人の世界作ってんだよ!俺も混ぜろ!!」

「やかましいねい。お前はあっち行ってろ」

「えぇっ!!?何で!!」

やんややんやと言い合う2人を笑うレンの元に、シモンとビスタが前に腰をおろした。

「よぉ。レン。出来上がってんな?」

『シモンさんっ!!もぉ〜、どこ行ってたのー!!』

頬をぷくりと膨らませて拗ねるレンを見て、シモンは笑った。

「わりぃ、わりぃ。少し酔い覚ましてたんだよ。」

そう言いながら、レンの膨らんだ頬を人差し指でつつくとそのまま頭へと移動させ、頭を撫でる。

「随分と仲がいいようだな?」

その様子を見ていたビスタが笑うと、レンは恥ずかしげにあたふたとすると

『あわわ!別に、拗ねてたわけじゃないですからね!!』

「そうか、拗ねていたのか?ククク…」

レンの言葉に笑ったビスタ。

『あー、そうじゃなくて!なんかシモンさん、顔が一緒だからか。他人とは思えなくて、つい。』

居心地悪げに返すレンにその場にいた全員が笑う。

『んもー!!笑わないでくださいよ!!』

ふんっ!とそっぽを向いたレンにサッチが声をかける。

「気にすんなって!俺らも兄弟と同じ顔のレンちゃんを他人のようには思えねぇしよ」

『……そうなんですか?』

「あぁ。何よりここにいるって事はそれだけで俺らの家族なんだ。気にしねぇで存分に俺らに甘えとけってんだよ!!」

サッチの笑顔にレンは周囲を見回せば、全員が頷きながらレンを笑顔で見ていた。

それに、レンは今までで1番の笑顔を見せた。


『ふはっ!!はいっ!!思う存分迷惑かけまーす!!あ、けど隊長さん方!!仕事では、びっしばし行きますからねぇ!!今日のサッチさんみたくなりたくなければ、あたしを怒らせないでくださいねっ!!』


レンの言葉に甲板は笑いに包まれる。

「俺らはともかく、サッチとエースと…ラクヨウが怪しいねい」

マルコの言葉に確かにと、全員が同意するとドっと更に笑いが上がる。

それに、顔を青くさせた3人はあたふたと弁解を始めるのだった。
そんな様子を定位置で見守る白ヒゲの顔には笑みが浮かぶ。



これは、1人の女と1人の男のお話。


違う世界に産まれ、全く異なる生き方をしてきた2人が出会い、恋をして愛しあい、数ある試練を乗り越えて結ばれる。

儚くも、暖かい愛の奇跡が起こす小さな小さな恋の物語。


今、この雄大な海の上出会った2人が
歩み寄る事から物語は始まっていく。


気のいい陽気な海賊とただの平凡な女が
どんな風に恋に落ち、互いを愛し合い生きていくのか。




そんな2人の恋の軌跡を一緒に見守ることにしませんか?

降りかかる困難も苦難も乗り越えていく
固く固く繋がる絆がどれだけの力を誇るのか。

そして、世界を跨いだ彼女の運命を共に見届けましょう。





彼らの物語は今、幕を開ける。





story of nameless love
( 名も無き恋の物語 )




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