I'm surprised
それはシモンさんと船縁に寄りかかって座って話している時に起きた。


「あんな奴だけどさ。いざって時にはすげぇ頼りになんだよ?」

『そうでしょうねぇ〜。じゃなきゃただのエロ親父ですよ』

並んで座る二人に視線が集まる。

『あの。いんですか?めっちゃ見てますよ。皆さん』

「ん?あ、本当だ…。ちょうどいいか!レン、立て」

『……………へ?』

ほら、ほらと促され立ち上がるとシモンが声をあげた。

「お〜い!!お前ら、よく聞けよぉ〜!!こいつは今日から俺らの家族になった!!俺と同じ顔してっけど。見た通り、女だからよっ!!気遣ってやってくれ!!」

言い終わったシモンに背を押されて一歩前へ出たレンは意を決して息を吸い込んだ。

『み、皆さん!初めまして!今日からこの白ひげ海賊団に仲間入りしたレンです!!シモンさんと何故か!な〜ぜ〜かっ!!同じ顔ですけど!!きっと血の繋がりはないと思いまーす!!色んな仕事を通して、早く皆さんと仲良くなれる様に頑張ります!!よろしくお願いしますっ!!」

ペコっと勢いよく頭を下げたレンの頭をシモンがポンポンと撫でる。

「上出来…!」

ニッと笑いながらスッと前を見たシモンは
また声をあげた。

「くれぐれもレンにおかしなちょっかい出そうだなんて思うなよ〜?俺が制裁してやっからなぁ〜!わかったかぁ?」

「シモンさんにどつかれたら俺ら溜まったもんじゃねぇっすよぉー!」

所々から上がる笑い声と、よろしくなっ!!仲良くしよーぜ!なんて声に嬉しくなったレンは笑みを浮かべて返す。と、


「ゼハハハハハ…新しい妹かっ!!可愛いじゃねぇか!!よろしくなぁ?俺ぁ、ティーチってんだ!よろしくなぁ?」


全てが止まった気がした。
そうだよ。サッチがエースが親父さんが…
生きてる今こいつが船にいるって事。

『………ティーチ。』

ギッとティーチを睨み上げたレンを見てシモンが肩に手をおいた。

「おい?どうしたんだよ?レン」

それまで見せていたレンの顔は一変しティーチを心底憎いという表情で見上げていた。

『シモンさん!!こいつはっ!いずれヤミヤミの実を手にしたサッチを殺して「ヤミヤミの実ならサッチが食ったぞ?」そう!!サッチが食った………………………は?』

「いや、だからね?ヤミヤミの実なら、とっくにサッチが食べたよ?」

間抜けな顔をして、シモンとティーチの顔を交互に見る。

『…………………え〜と?なんか…………ちょっとタイム?』

腕でTを作りタイムと言ったレンに頷くと二人の前でレンは頭を抱えてしゃがみこんだ。

『へいへいへい。どーいうこった?まさかのまさかですよ?サッチってあれだよね。フランスパンヘアーの彼で間違いないよね…え?彼、闇っチだったの!?え?ナニ?サッチ殺されてない上に闇っちになってて、ティーチもいるよ?え?ナニ?ナニ?あれ?やばい。爆発しそうなんだけど…えーっと。あの、やっぱタイムなしでいい?え?何があってそーなったんですかね??』

何やら勢いでぶつぶつと言ってたレンが、がばっと顔をあげた事に素で驚き肩を震わせた大の大人な筈の職業、海賊な二人はコクコクと頷くとまずはシモンが口を開いた。

「レンは何を知ってたの?まずそれを教えてくれる?」

『えーっと。まず、サッチが戦利品をエースとかクルーの人と確認してる時に悪魔の実を見つけて…で、実はその悪魔の実はティーチがずっと欲しくて探してたヤミヤミの実で、あたしの知ってる話だと。ティーチがサッチを殺して奪うんですよね…え?』

「うん。途中まであってるね。ここだと。サッチは確かにティーチに襲われるんだけどさ。軽傷で切れて二人でおっそろしー大喧嘩始めたんだよ。まじで、あれはおっかなかった…で、それを親父が止めて。ティーチの計画なんかも親父は知っててさ?サッチを襲った事なんかも全部不問にしてやるから、悪魔の実持って降りていつでも俺の首とりにきやがれー!!って言ったんだよ」

「それに、俺ぁ惚れ直しちまってよ?もう、悪魔の実も海賊王とかワンピースもどうでもよくなっちまってよ。親父の為に家族の為にこの船で最善を尽くすことにしたんだぁ!ゼハハハハハ…!!」

『……………………………………まじ?』

うんうんと頷くシモンとティーチをポカーンとした顔で見ていたレンだったが、突如笑いだした。

『……アッハハハハハ!!なぁんだ!良かった……じゃぁ、エースも親父さんも………サッチも死なないんじゃん!!アッハハハハハ…!何だよ〜、なら。良かった……皆の未来は……アハハハハハ』





幸せなんだ─────────。

ティーチが裏切った事に悲しむ事も。

サッチが死んで、エースも親父さんまで死んじゃって。
皆が涙を流す事もない。

この暖かい場所はこれからも暖かい場所なんだ───────。



滲んだ涙を拭うとレンは笑う。


『良かった!!あたしの知ってる未来じゃなくて』

そう言ったレンをシモンは頭を撫でて笑い返し、ティーチは余計な心配かけたなと声をかけて笑う。

そうして3人で笑いあっていたところへ。

サッチと4番隊の隊員が揃って料理を手に甲板へと出てきた。
その後ろからは、エースとマルコとその隊員達が酒樽を担いで出てくる。

「どうしたぁ?んなとこで3人で?」

「気味がわりぃよい」

「なぁ!レン宴だぜ!!一緒に騒ごうなっ!」

サッチがマルコがエースが笑う。

「いや、それがよ!レンがさぁ『シモンさん…』ん?」

話し出そうとしたシモンを遮り声をかけたレンに視線を向ける。

人指し指を口にあてて、シーと言うとシモンの腕を引っ張り屈ませるとシモンの耳元で言った。

『皆には内緒ね?だって、そんな1つの辿り着いたかもしれない未来なんて知る必要ないでしょ。そうならない未来を今は生きてるんだもん。ね?』

笑ったレンにシモンが目を丸くする。

「……………そうだな。んな悲しい未来。聞く必要ねぇもんな。じゃぁ、それは俺ら3人の秘密だなっ!!」

ニッと笑いあった3人に、サッチ達がブーブーと文句を言う。

「んだよー!!気になんだろが!!」

「そうだぜ!!ずりぃよー!なぁ、マルコ!」

「いや、俺は別に……」


「んだぁ?もう末娘は兄貴達と仲良くなったのかぁ?グラララララ」

響いた声に全員が振り替えるとレンを呼びながら手招きをする。

タタタっと走りよったレンを抱えあげて

「おめぇら。新しい家族を迎える祝いだぁ!!娘の名はレン。紛らわしくもシモンと同じ顔だが、体格がちげぇから間違える奴はサッチくれぇだろ?グラララララ…仲良くしてやんなぁ!!」

ちょ!?親父!っと焦るサッチに全員が笑う。
レンが辺りを見回せば、いつのまにか隊長陣も全員が揃っていた。

笑顔を浮かべてもう一度自己紹介を始める。


『レンです!!この海賊団の絆に何よりも憧れていました!!家族になれてすごく幸せっ!!これから少しずつ受け入れていってほしいです!!その為にあたしも努力します!!よろしくお願いします!!』

ペコリと白ひげの座る椅子の肘掛けから挨拶をする。

と、響きだした咆哮に目を丸くする。

「新しい妹かっ!!」

「仲良くしよーぜ!」

あちらこちらから上がる声に満面の笑みを浮かべる。

そんなレンを離れた位置から見守るのはやはりシモンとマルコ、そしてサッチ。

「流石だな!!俺と同じ顔してるだけあって、度胸座ってやがる」

「あぁ、そうだない。」

「随分といーい根性もしてるしなぁ〜?こりゃ楽しくなりそうだな!!」

そうして、宴が始まった。



異なる未来?いーじゃん、それで!!
だって、知らない未来のが楽しいでしょ?




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