PROJECT | ナノ
capable of conceiving
marco side

「おい。近くに街のある島はあるかよい?」

「マルコ隊長!…えーっと、少し待ってくださいね?」

白ひげ海賊団の誇る航海士達が集まる一室へ足を踏み入れたマルコに少し驚きながら、航海士長のジェイが海図を確認し始める。
その顔にはうっすらと笑みが浮かんでいる。

「……その顔は誰かが言いに来たかい?」

マルコの言葉に海図から視線を離さずにジェイは更に笑みを深めた。

「えぇ、先程。エース隊長が元気よくいらっしゃいましたよ?ルカの誕生日が今日だそうで。ククク…今日は楽しくなりますね?あ、ありましたよ!3時の方角に…ここから…3時間程進めば着きますね。どうしますか?向かいます?」

海図から顔をあげたジェイが頬にはしる大きな傷に皺を寄せながら笑顔で訊ねる。

「そうだな…クルーは全員隊長達と密に連絡取りながら動いてるだろぃ?各隊長に電伝虫で連絡入れろぃ。エースが食料庫漁ったから足りなくなった。食料調達の為に島に上陸をするってなぃ」

にやりと口角をあげたマルコにジェイが同じ笑みを浮かべて、電伝虫を手に取った。

これで、島に寄港しても違和感はない。
なんせ、エースの食料庫漁りはモビーでの通例。
そのせいで足りなくなった食料を買いに島に寄る事も今までに何度かあったのだ。
ルカが怪しむ事はない。

進路はその島へと向かって動き出した。

それを確認するとマルコは航海士室を後にして、隊員達の待つ甲板へ足を向けた。



thatch side


「おーし!お前ら!ルカの好物知ってるか!!」

サッチの声に全員挙手しながら、口々にルカの好物を口にする。

「チョコレートムース!」

「トマトソースパスタ!」

「オムライス!」

「チーズたっぷりのマルゲリータ!」

「ヘルシーなエレファントホンマグロのサラダたっぷりカルパッチョ!」

「チーズケーキにチョコレートムース!」

「で、何より…サッチ隊長特製…ショートケーキ!」

その言葉達にサッチはニィっと笑みを浮かべると、

「うし!じゃあ、今日はそれぞれがルカの好きなもんつくっちまえ!!あ!!ショートケーキは当たり前に俺が作るからなっ!!今日は特別、特大サイズだなっ!!ショーンとラルフは、他の何人かも加えて昼食の準備も頼む!全員が作業しながらになんだろぉからよ!軽く摘まめるもんを頼む!」

その言葉に、元気よく返事したのを聞いてサッチは奥のキッチンへと足を進める。
と、そこへ響いたのはサッチの電伝虫。
手にとり出ると、それは航海士長のジェイからで、通信を終えると隊員へと笑顔で振り向く。

「3時間後にエースの漁った分の食料調達に島に降りる!量が多いから隊を2つにわけて買い出しに降りる!寄り道しねぇで買うもん買ったらさっさと船戻れよぉ!!」

サッチの言葉に、隊員がいたずらっ子の様な笑顔で返事をすると、サッチはまた背を向けてキッチンへと足を踏み入れたのだった。


ace side

「うぉーし!おめぇらっ!!3時間後に俺のせいで島に寄るからなぁ!停泊時間は3時間。隊を3つにわけて各隊と島に降りる事んなる!!戻った奴は各自持ち場で見張りと掃除やれよー!わかったかぁ!」

隊員へと指示を出したエースに隊員が言った。

「まぁた食料庫漁ったんすかぁー?勘弁してくださいよ!隊長!!」

その声は確かに呆れた声なのに、その場にいた全員がにやにやとしたり顔で。

「うるせっ!!飯が俺を呼んでたんだよ!いいから、島に着くまでお前らは見張りと掃除してろ!!今日の俺らの仕事は一番重要だかんなっ!!」

さっきからエース達の言う見張りと掃除。
それは、ルカの監視とルカにこの騒ぎを気付かれぬ様にばれそうな事態や可能性の排除という意味。

船内が愛する妹の誕生日という事で浮き足立ってる為の予防策としてエース達2番隊がその任務についていたのだった。

そして、彼らは数人に別れて船内各所の持ち場へと動き出す。

「よし!俺も行くか!!」

そう言ってエースも自分の持ち場へと歩き出した。

haruta&Izo side

「…………何で僕らは甲板の大掃除なの」

不服そうなハルタにイゾウが笑いながら声をかける。

「エースに燃やされたら事だろぉに?」

そんな二人に他の隊長達が笑う。

「そうだぜ?ハルタ!エースにこの繊細な作業させられっかよ!!」

「僕としてはラクヨウも危なっかしいと思うんだけど?」

甲板では、ハルタ、イゾウ、ラクヨウを筆頭に残った隊長と隊員達が甲板の大掃除と飾りつけを担っていたのだが、ハルタはエースの隊の仕事をしたかったらしく不満そうに顔を背ける。

「これも大事な仕事だぞ?ハルタ?喜ぶ顔が目にうかぶだろう?」

そう顔を綻ばせるビスタとジョズに視線を向けて、顔、弛んでるよ。とハルタが声をかける。

「可愛い妹を思えばってもんだろうに?ほら、これ頼んだよ」

渡された飾りの仕上げを任せたイゾウから受け取って、1つ息をつくと

「まぁね。それもそうか!」

笑ったハルタの元に電伝虫の鳴き声が響いた。

そして、

「どっかのバカが食料庫漁ったから島に寄るらしいよ?買いたいものがあるなら、隊をわけて買いに行けってさ?買いたいものあるー?」

少し大きめに響いた声の後に、甲板には声が響いた。

「ククク…、全くこの船のやつらは揃いも揃ってシスコンばかりだねぇ…」

「そういうイゾウもでしょ?」

にやにやと笑い合う二人は目線を合わせると、それまでにある程度飾りを作ってしまおうと手を動かし始めたのだった。



その2、思い浮かべる笑顔

(ちょ、エースどいてよ)
(どうした?何か必要なら俺持ってくるからお前は仕事進めろよ)
(コーヒー取りに行くだけだよ?それと、あんたまた食料庫漁ったんだって?)
(…………………よし!じゃあ、俺が持ってきてやる!)
(おい。スルーか貴様。……まぁいっか。じゃあ、お願いね?)
(おう!すぐ来るな!!)
(あれ?甲板うるさいな?何かあったのかな?まぁ、いつもの事か。やかましいのは…)
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