PROJECT | ナノ
3
『マルちゃーん!』

ルカの声に甲板で上陸準備の為指示していたマルコが振り替える。

船内への扉から、一直線に走ってくるルカを見つけたマルコが笑みを浮かべる。
その後ろからはサッチがのんびり着いてきている。
マルコの元へと駆けつけたルカは勢いそのままにジャンプして抱きつく。

「ルカ、どうしたよい?」

『あのね、あのね!今から島に着くんでしょ?じいじがね、皆で遊んできなって!』

笑顔で告げたルカに、皆?と聞き返すマルコ。

『うん!マルちゃんとさっちゃんと、エース兄とハルちゃんとイゾウにいに!』

満面の笑みを見せて告げたメンバーは、唯一ルカが気を許しているメンバーだ。

「そうかい。じゃあ、俺はまだ仕事あるからよい。サッチと他の奴探してこいよい」

『うん!わかったー!』

近くに来たサッチに、抱っこーとねだるとサッチに抱えられて船内へ入るルカを見送ると見えてきた島影を見据えて仕事に戻った。



それから数10分。
船は無事島へと着岸。
買い出し班以外のフリーの船員達が意気揚々と船を後にして行くのを見送るとマルコ達は支度があるとナース達に連行されて行ったルカを待っていた。

「まだかねい…」

「おせぇよなぁ…俺腹減ったぜ…」

「エースはいつもでしょ!」

「ナース達に着せ替え人形にされてんだろうねぇ」

「俺、ちょっと様子見てくるわ」

痺れを切らしたサッチが船内への扉に手をかけると勢いよく開いた扉。

「っぶはぁっ!?」

「あら、サッチ隊長?すいませんねぇ」

悪びれもなく謝り扉から出てきたのはミシェルとエリザ。

「お、お前ら。もう少し静かに開けろ…」

片手で鼻を覆うも隙間から滴る鼻血に衝撃の強さがうかがえた。

「謝ってるじゃないですか。ちっさい男はもてませんよ」

「ひでぇっ!!?」

「そんな事よりルカは!?」

エースの言葉にニヤリと笑う2人が振り返りルカを呼ぶ。
照れながら出てきたのは、うさぎ耳がついた白のパーカーワンピに身を包んだルカ。

「こういうの本来なら絶対着てくれないですからね!本当はフリルのワンピースを着せるつもりだったんですけと…」

「こんなかわいいと思いきり遊べないって却下されちゃって」

ニコリとはにかみ笑うルカに笑みを隠すことなく見せるマルコ達。

「かっわいーぞ!ルカ」

「うん!よく似合ってるよー」

ハルタとエースがルカに寄ると誉めちぎる。

『ありがとー!ねぇっ!行こう』

そう言って、エースとハルタの手を取ると一目散にタラップを駆け降りていくルカ。

「あ!おいっ!待てよー」

「じゃあ、いってくるよい」

駆けて行く3人を追いかけてマルコやサッチ、イゾウも後を追った。





立ち並ぶ店舗に目をキラキラとさせて、エースとハルタと手を繋ぎ歩くルカ。
と、ここでマルコがルカを呼び止めた。

『なぁに?マルちゃん?』

マルコを見上げ首を傾げるルカの前に腰を落として目線を合わせる。

「いいかよい?俺らがいるから余程の事がない限り迷子にはならないと思うが、俺らから離れちゃダメだよい?もし、はぐれたらその場を動かない事。わかったかい?」

その言葉に手を高くあげて元気よく返事をしたルカの頭を撫でて立ち上がると、じゃあ行こうかと歩みを再開した一行はエースの腹がやかましいという事でまずは腹拵えをと喫茶店に入った。

そこでも、相変わらずの癖を発揮したエースを笑いながら食事を取ると喫茶店をあとにした。

それからは、ルカの服を見たり、雑貨や小物、ケーキ屋やおかし屋さんを見て回り、休憩の為広場を訪れた。

「ルカ大丈夫かー?」

『うん!まだまだげんきだよー!』

「ここ確か遊園地あったよね?」

「じゃあ、一休みしたら遊園地行くかい?」

イゾウに聞かれ、嬉しそうに行くっ!と答えたルカに一同笑みを浮かべ、噴水近くのベンチにそれぞれ腰かけると噴水に興奮して駆け寄ったルカを見守る。

「随分楽しそうだねぇ」

「船の上じゃ遊びも偏るからなぁー」

「色々あるから面白いんでしょ!」

暫く話ながら、ちらちらとルカの位置を確認していたが、そろそろ行くかと腰をあげた一瞬目を離した隙にルカの姿が消えた。

「おい、ルカどこだよい」

「今の今までそこに…」

「探すよいっ!」





『キレーなちょうちょさん!』

目の前を飛んで行った蝶を追いかけ広場から離れてしまったルカは、大きな花壇の前に座り込み花にとまった蝶を見ていた。

と、蝶はまた飛び始め空高く登っていってしまった。

『あーあ。ちょうちょさん!ばいばいっ!』

そう言って振り返った場所は見知らぬ場所。

『あれ?マルちゃーん!さっちゃーん?イゾウにいにー?』

『エース兄もハルちゃんもいない…』

不思議そうな顔を見せると少し頬を膨らませてルカが言った言葉は

『もう!みんなまいごになっちゃったの!?さがしてあげなきゃ』

ぷりぷりと怒りながらマルコ達を探しに走り出した。

曲がり角を曲がった所でなにかにぶつかり尻餅をついたルカ。

『…いたた』

「ん?悪いな。お嬢さん。大丈夫か?」

その声に顔をあげたルカは笑いながら大丈夫!と返すと相手を見た。

『おじさんは?』

「ん?あぁ、大丈夫だ。ありがとな!お嬢さんは急いでどうしたんだ?」

ルカの前に屈んだ人物は子供の姿を見て目を見開いた。
自分を見つめる緋の瞳、フードからのぞく銀の髪。

『おじちゃん?』

「ん?あぁ、悪い。お嬢さん名前は?」

『ルカだよっ!おじちゃんは?』

「俺か?俺はシャンクスだ。ルカは一人で来たのか?」

『んーん。マルちゃん達と来たんだけどねぇ、マルちゃん達まいごになっちゃって!ルカがさがしてるのー!』

「ぶふぅっ!ま、まる…マルちゃん!ぶっ」

そう笑顔で言ったルカに顔を逸らして手で顔を覆いプルプルと震えるシャンクス。

『?』

「お頭。何やって…んだ…って…そりゃ、ルカか?」

次に現れたのはベン。訝しげにシャンクスへと訊ねる。

「あ、あぁ。この色はほぼ間違いないだろ、ぶふっ」

「それもそうか…で?お頭は何笑ってんだ?」

『おじちゃん、だぁれ?ルカの事知ってるの?』

「あー、そうだな!小さい時に会ったから覚えてないんだろう。俺はベン・ベックマン。よろしくな」

『ベンおじさまとシャンクスおじちゃんね!』

「待て。何故ベックはさまで俺はちゃんなんだ!?」

『いや?なら、なんて呼んだらいーい?』

「そうだなぁー…!」

顎に手を沿えて考えるとシャンクスは名案とばかりに笑顔でルカを抱き上げた。

「ルカは、可愛いからな!俺が嫁さんにもらってやるから、俺の事はダーリンと呼べ!俺はハニーって呼ぶからな!」

『ん?ダーリンて、なに?』

「ん?あー、あれだ!街で出会った運命的な出会いをした相手をそう呼ぶんだ!」

「……………お頭…」

「いーじゃねぇーか!こりゃ、あいつらの顔が見物だぞ!だーはっはっはっはっ」

『ねぇ、嫁さんてなに?』

「一生一緒にいる事だぞー!」

『一生一緒…うん!わかった!あ!マルちゃん達探さないと!!』

「お頭、マルちゃんてのはもしかして…」

「まず間違いなく、マルコだろうな!ぶふっ」

『マルちゃん知ってるの!?』

「あぁ。知ってる。きっと船に戻ってるかもしれないからな。俺らが送ってやろう」

『ホント!?きゃーー、ありがとう!だぁりん』

笑顔で告げただぁりんにシャンクスはしたり顔。

「よし、じゃあ行くか。ルカお菓子買ってくか?」

『いいの?じゃあねぇー、ケーキ!!』

「よぉーし!買ってこう!全部!」

『ぜんぶはいらない…』

「こういう瞬間にルカを感じるな…」

ケーキ屋目指して談笑しつつ歩いていると突如背後から声をかけられた。

「あらら。赤髪がお守りなんて、何してんのー?」

「ほう。青雉か。そういうお前は…サボりか」

呆れた顔で返事をしながら振り替えるシャンクス。
と、必然的にルカも青雉の方へ向いてしまう。
ベンがとっさに止めようとしたが時既に遅し。
青雉はルカを凝視して固まっていた。
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