destiny-17




翌日、朝早くから街の中を見て回るとお昼前には島を後にし、夕方モビーディックへと帰還したルカ。

モビーディックの上空近くへ到着すると、甲板へ出ていた家族達がこぞって手を振りながら妹の帰還を喜んだ。

それに笑顔浮かべたルカは、最後にバサリと羽音を響かせると甲板へと降り立った。

『ただいまっ!!』

そう大きな声で言うと家族達が詰め寄り、ルカの頭を撫でたり、肩を叩く。

「帰ったかよい。おかえり…」

『あ、マルコっ!!ただいま戻りましたっ!!』

「あぁ、とりあえず。親父のとこ行くだろい?」

『うん!!報告しなくっちゃいけないしね。じゃあ、皆また後でね!!』

笑顔で手を振るとマルコと供に白ひげの部屋へと向かう。

道すがら、甲板の騒ぎを聞きつけ妹の帰還に気付き甲板へ向かっていた隊長たちに出会った。

「ルカ!!おかえりー!あと、偵察お疲れさまっ!!」

「無事怪我もなく帰って来たみたいだねぇ?」

『ハルタっ!イゾウ!ただいまっ!!さっき着いたんだよ』

笑顔でハルタとイゾウと話していると廊下の先から、サッチとジョズも現れた。

「お、妹のお帰りか!お疲れさん」

「無事で何よりだ…」

サッチはルカの頭にポンっと手を置くとニカっと笑いながら、ルカの目線に合わせ顔を覗きこんだ。

『うん、ただいま!サッチ、ジョズ』

「ルカ、親父が待ってるよい」

『あ、うん!!じゃあ、親父さんとこいってくるよ』

そして、マルコと二人また廊下を進みだすルカ。
少し進むと見慣れた大きな扉に差し掛かった。その扉の前に着くとマルコがノックをして部屋に入る。それに続いてルカも白ひげの部屋に入室すると、

「ルカ、帰ったか。ご苦労だったな。突然飛ばせて悪かったな?」

『ううん!力になれたのなら嬉しいよ!!///』

白ひげの労いの言葉に少々照れながらも報告を始めた。

『えっと…、必要物資や食料、お酒、薬品なんかの補充は大きな街だったから!滞りなく済むと思います。ですが、活気ある街だからこそなのか…あまり治安は良くないので。ナースや新人の船員の単独行動は避けるべきと思われます。上陸初日の夜の酒場の確保もできました。以上です』

「グラララララ。それじゃあ、次の島ではナースと新人は単独行動の禁止を、あと上陸初日は船番の隊以外は島の酒場で存分に楽しんでくるように伝えておけ、マルコ」

「わかったよい」

返事をすると、隊長達を集める為に白ひげの部屋を後にした。

「ルカ、こっちへこい」

『え?あ、うん』

小走りで走りよると、白ひげの前に立ち顔を見上げた。すると、白ひげに持ち上げられ白ひげの膝へと座らせられた。

「最近ゆっくり話せなかったからな。ちょいと話をしねぇか?」

『親父さん…うん!』

「次の島は楽しめそうか?」

『うん!さっき話した通り治安はあまり良くないんだけど。色んな島から船が来てるらしくてね!珍しい物なんかもあったから、上陸の二日目はミシェル達を連れて買い物行こうかと思ってたんだ!』

「そうか、そら楽しそうだな!グラララララ。たんと買って来るといい」

『うん!お酒もね、珍しいのが置いてあったし!少し飲ませてもらったら、凄い美味しかったんだ!!親父さんも気に入ると思う!』

「ほう…そりゃあ、楽しみだな…」

『あ、でも飲み過ぎないでよね!ジェットさんに怒られるよ?』

「あんなうめぇもんが、体に悪いわけねぇだろうが!グラララララ」

『量がやたら多くなければ、体にもいいらしいけど!親父さんのは明らかに飲み過ぎに入るよ?』

「んなやわな体してねぇよ!グラララララ」

『もーう!心配してんだから、嘘でもそうかって受け止めてよ、たまにはさ』

口を尖らせすねた顔を見せたルカに、白ひげは穏やかな目を向け、笑みを溢す。

「そうだなぁ。今日位はもう酒はやめておくか?」

『え!?ほんとにっ!!』

「あぁ。たまには可愛い娘のいうことも聞いてやらねぇとなぁ?グラララララ」

その言葉にルカは笑顔を浮かべて白ひげに飛び付く。

「なんだぁ?末娘は随分甘ったれじゃねぇか?」

『たまにはいいじゃーん!親父さんが珍しくあたしの言う事聞いてくれるんだもん!サービスだよ、サービス!アハハ…』

そうして二人は顔を見合わせ笑い合う。

まさか部屋の外で完璧に入室するタイミングを失った隊長達が雁首合わせ、頭を抱えていた。

「おい、マルコ。お前、行けよ…」

「嫌だよい。ここで行ったら、ルカがでてったあと親父に殴られるよい」

「そうゆう役はサッチの役目だよね?」

「うむ。サッチ、行ってこい…」

「おまっ!ビスタ、てめぇまで!」

「いいから行ってこいよ、サッチ」

「ラクヨウ!てめぇ、爽やかぶってもその顔面と髪型でプラスになるどころかマイナスだからな!」

「おめぇは、俺の渋さを知らねぇのか?」

「渋さの話なんか、してねぇよ!頭大丈夫か!?」

言い合う二人の声はヒートアップしていき、中にいた白ひげとルカにまで聞こえていた。

『あ、皆来たみたいだね!じゃあ、あたしは甲板に戻るよ!約束忘れないでね、親父さん!』

笑顔を見せると、白ひげの膝から飛び下りぱたぱたと走りドアを開けるルカ。
案の定開けた扉の向こうでは額を合わせ至近距離でにらみ合うサッチとラクヨウの姿。

そのまま部屋から出ると、隊長が揃ってあちゃーといった様子で頭を抱えている。
それにルカは一人で首を傾げていると、全員の耳に低い白ひげの声が響いた。

「何してやがる。さっさと入ってこねぇーか!」

その声に一番反応したのは、サッチとラクヨウ。
二人は顔面蒼白になりながら、返事をすると室内に入っていく。二人に続き、ため息をつきながら室内へと足を進める隊長達にルカは首を傾げながらも、今尚甲板で騒いでるであろう兄達の元へ駆けていった。



娘を甘やかす父
(サッチ、ラクヨウ。下らねえ喧嘩してんじゃねぇ!)
(やっぱ怒られ役はあの二人が適任だよね)
(まさかわざとかよい…ハルタ…)
(フフ、なーいしょー)

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