destiny-15





「おーーーい!!ルカっ!!」

『エース、どうしたの?』

大きく手を振りながら走りよって来ていたエース。それに気付き立ち止まったルカは違和感を抱いていた。

『具合でも悪いの?』

「なんでだ?」

『いや、エースがシャツ羽織ってるから…いつも半裸のせいで体調崩したかと思ったけど。その元気さなら、問題なさそうね』

そう笑顔を返したルカ。

「俺、風邪なんかひいたりしねぇよ?と、そんな事いんだよ!!」

『何かあったの?』

「おうっ!!今親父に一番に見せて来たんだけどな!!二番はルカって決めてたから、探してたんだよ、俺!!」

『そうなの。で、何見せてくれるの?』

首を傾げエースに尋ねると、エースは口角だけをあげいたずらな笑みを浮かべながら羽織っていたシャツを脱いだ。

『エース…あんたの鍛え抜かれた筋肉なんて毎日飽きる程見ているんだけど?』

「ちげぇっつーの!!これだよ、これっ!!」

そう言うとエースはルカに背を向けた。

露になったエースの背中には、白ひげをシンボルにした怪しく笑みを浮かべたジョリーロジャーが鎮座していた。

『これ…エースっ!!』

「どぉよ!!カッコいいだろ!!」

「うん!!もう、最高だょー!!親父さんっ!!!!』

「…………え?」

『あたしもさぁ、こっち入れたらよかったかなぁ…。親父さんが一緒にいる感満載だもんねぇ…あぁーこのニヒルな笑みいいわぁ…』

そうぼやきながら、ルカはエースの背に描かれた白ひげを溜め息を洩らしながら触っていた。

「いや、あのなっ!!親父も当たり前にいんだけどなっ!!これ入れた俺カッコいいだろって…事…なんだけど…」

わたわたしながら、言葉を投げ掛けるエースにルカはクスっと笑いをこぼすと。

『アハハハハ…うそうそ!!親父さんもいいけどさ。カッコいいよ?エース。よかったね?こんな素敵なの入れてもらってさ!!』

「……っ!! だろぉっ!!ジェットに頼んだんだよ!!」

『じゃあ、皆にも見せておいでよ!!』

「おう!!そうする。ルカは?どうすんだ?」

『あたしは、これから親父さんに呼ばれてるから親父さんとこに行くから。一人でいっておいで』

「そっか、わかった!!じゃあ、またあとでなぁ!!」

そう叫びながら、片手にシャツを握り締めたままエースは手を振り走り去っていった。

『元気だねぇ…若いっていいわ…。さて、親父さんとこ行ってこなきゃ』

呟くと、白ひげの自室へ向かい歩みを再開した。


………………………………………………………



コンコン

『親父さん?ルカ、来たよー!!』

「おぉ、入れ」

ガチャ ギィー バタン

『あれ?マルコもいたんだ』

「あぁよい、遅かったな?」

『途中でエースに呼び止められてさ。少し話してたの』

笑顔を浮かべながら、マルコに返事を返すルカ。

「エースに?なんかあったのかよい?」

『マルコも後で見せてもらうといいよ。ねぇ、親父?』

そうニカっと笑いながら、白ひげへ話をふる。

「お前に二番目に見せるんだって、慌てながら出ていったが。やっぱり行ったのか。随分となついたみたいだな?」

『うん。可愛い弟だよぉ!!』

「仲がいいのはいいこった。なぁ、マルコ?」

「そうだねい」

『あ、それで親父さん。用事は?』

「あぁ。次の島の偵察なんだがな。マルコが行く予定だったんだが。書類が溜まりに溜まってるらしくてな。ちょいとお前が行ってきてくれねぇか?」

『うん!!いいよー!!最近長距離飛んでなかったし。行くよ!!』

「わりぃない。どこぞの隊長が溜めた書類一辺に出してきてよい…」

『あわわ…なんかごめん。マルコ』

「じゃあ、これから飛んでくれるか?」

『OK!!任せてっ!!明日の夜には戻れる様にするね』

「ちゃんと、向こうで休んでから戻れよい?」

『わかってるってー!!じゃあ、行ってきます!!』

片手を挙げ、部屋から出ていくルカをうっすらとだが笑みを浮かべ見送る二人。

バタンと音をたて、扉がしまると腕を高く挙げながら背伸びをする。

『うしっ!!荷物持って、サッチに偵察行く事伝えて行くかな!!』

気合いを入れると荷物を取りに自室へと向かった。
荷物を持つとサッチを探しにキッチンへ行ったが、サッチはおらずサッチの自室やいそうな場所を探しながら、気づけば甲板に辿り着いてしまった。

『最初から甲板きたらよかった…』

甲板の扉を開けると眩しい陽射しと供に家族達の騒ぐ声が耳に入り、すぐに視界にもはしゃぐ姿が入ってきた。
その人だかりの中心にはエース。
それを見守る様に、サッチやイゾウといった隊長達が甲板の端から笑顔を浮かべながら見つめていた。

『サッチー!!探しちゃったじゃん』

「おぉ、どした?なんかあったか?」

『うん。親父さんに頼まれて、マルコと替わって島の偵察行ってくるね?』

「んだ、マルコさぼりかよ?」

サッチが言った瞬間、サッチの頭に拳骨が落ちた。

「いっでぇーーーー!!」

頭を押さえながらサッチが振り向くと、そこには無表情のマルコがいた。

「ルカはおめぇの尻拭いで行くんだよい。このバカたれが」

「なぁーんで俺がわりぃんだよ!!」

「おめぇが溜めた書類一辺に出すからだよい!!その都度出せといつも言ってるだろい!!」

「ぐぬぅ…わ、わりぃ」

『サッチ、返す言葉もないね』

「とにかく、気を付けて行ってこいよい?」

『わかってまーす!!偵察の度に言われてること位わかるって。マルコ、心配性…』

「可愛い妹を偵察に行かせるんだ。そうもなるさ」

『イゾウ。そうゆうもん?』

「あぁ。現に俺も心配してるさ。気を付けてな」

『んー。なんか子供扱いな気が否めないが、細心の注意を払いながら行ってきます!!』

そう言うとルカは翼を広げ大空へと飛び立ちその姿はあっという間に見えなくなった。



心配性達と堕天使

(おい!!今のルカだよなっ!?どこ行ったんだ!?)
(次の島が近いからな、偵察だ)
(何ぃっ!!一人でかっ!!アブねぇだろっ!!ルカーーー!!戻ってこぉーーーーい!!)
(…………ここにも心配性のシスコンがいたよい…)

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