destiny-13





夜になり、準備もでき宴が始まった。
挨拶を済ませ、歓迎されたエースとスペード海賊団の面々はとにかく飲まされていた。
それを隅から見守りながら盃を傾けるルカとイゾウ。

「おーおー、飲まされてるねぇ」

『そうだねぇ。でも、楽しそう!!』

「確かにねぇ、こりゃすぐにでも何人か潰れそうだ…。そういやぁ、エースは親父に会いに行く前にお前さんとこに寄ったらしいねぇ?」

『うん、そうだよー!!』

「面倒を見てたからなぁ、一番。反発してみてもそれは見に染みてわかってたんだろう。おや?懐かれたみたいだねぇ。呼んでるよ?」

イゾウの目線を追い、そちらに向くと。
エースがジョッキと肉を持って、こちらに走りよってきていた。

「ルカー!!呑んでるかっ!?」

『見ての通り、イゾウとしっぽりいってましたぁー』

「俺もいていいかっ!?」

笑顔を浮かべ尋ねるエースに、無意識に零れた笑みをそのままに頭を撫でながら

『もちろんっ!!エースの冒険のお話でも聞かせてくれる?』

「あぁっ!!もちろんだっ!!」

「俺も興味あるねい?」

「俺も聞かせて貰っていいか?」

「わー!!ずるいよっ!!僕も聞くっ!!」

イゾウとルカ、エースの3人で話出そうとすると、どこからか聞き付けた隊長達が集まり出した。

「いいぜっ!!あんた達のしてきた冒険も聞かせてくれよなっ!!」

「あぁ、よい。任せとけよい!!」

そこから、エースが船員を集めグランドラインに入った時の話や、
行く島々で起こしたエースの騒動。
上陸した無人島での冒険。
白ひげ海賊団の冒険の話。
すると、エースが聞いてきた。

「ルカ!!俺、ルカの話も聞きてぇ!!」

『え?あたし?』

「元の世界の話とか、こっちきてからこの船に乗るまでの話とかさ!!」

「あ、それ僕も聞きたいなっ」

俺も、俺もと更に人数は増えていた。
更に、

「俺も興味あるなぁ?聞かせてみろ」

『親父さん…わかったー。あんま面白くないよ?』

そこから、あたしの育った世界の話をした。

道を走る車、線路をどこまでも進む電車。
空を飛ぶ飛行機。幼かった頃の甘えん坊だった時の話。初めて一人でお使いに行けた時。小学校や中学、高校なんて勉強を学ぶ場所に行っていた事。そこで出会った最高の友の話。初めて働いた時の話。
そこから、この世界にくる前に出会ったダンディーなおっさんとの出会い。おっさんの鬼畜ぶり。そして、この世界にきてシャンクスに出会ったところで、エースが声をあげた。

「こないだも気になったけど、ルカがシャンクスを知ってるのはそうゆう事だったのか!!俺もシャンクス会った事あるんだ!!弟の命の恩人なんだ!!」

(あいつが東の海でかけてきた腕か…弟とはな…)

そうして、少しの期間の一人旅の間の話。白ひげ海賊団に乗るきっかけは、サッチのナンパが始まりだったとか。それから当分は船員とは仲悪かったとか。

いろんな話をした。

エースはその間ずっと目をキラキラとさせながら、ルカの話を聞いていた。

各々の冒険譚を酒のツマミにのんでいたので気が付くと半分以上が甲板で眠りこけていた。

「だらしないねぃ」

ため息をつきながら、辺りを見回したマルコ。

「まぁ、たまにはいんじゃねぇの?」

飄々と告げるサッチ。

「ルカ、そろそろお開きだ。ここはいいから、部屋戻れ」

うとうとと船を漕いでいたルカを揺すり、部屋に戻るようにたしなめるサッチ。

かろうじて、動き出したルカはふらふらとしながら船内へ向かった。

「大丈夫かねぃ…」

「俺、やっぱ部屋まで送ってくるわ」

「あぁ、頼むよい!!送ったらすぐもどれよい」

「わぁってら!!」

そうして、サッチもルカを追い船内へ消えていった。
と、案の定ふらふらと覚束ない足取りで歩くルカにすぐ追い付いた。

「ルカ、部屋まで送ってやる。行くぞ」

そう言って、サッチはふらふらと危なっかしいルカを担ぎ上げるとスタスタと部屋へ向かって歩いた。その内にルカは眠ってしまったらしく、後ろから寝息まで聞こえてきたのだった。

「たく…暢気なもんだぜ…」

部屋へ着くと扉をあけて、ベットにルカを下ろすと布団をかけてやり、頭を撫でながら顔にかかった髪をさっと横に流す。
少しルカの寝顔を眺めると部屋を後にしようと扉へ行くと…

『………ち、な、…で』

何か声が聞こえ、踵を返しルカの額に手を起きながら苦しそうに何かを呟くルカの声に耳を澄ませた。

だが、もう呟く声はなくなり、イヤイヤと頭をふりながら何かを拒むルカ。

頭を撫でながら、ただひたすらに願った。

この子の背負う何かを俺にも背負わせてはもらえないかと。
自分の世界を捨ててまで何をなそうとしているのか。

どれだけ考えてみても答えは出なかったけれど、きっとこの船に乗る奴は同じことを願うだろう。

どうか優しく、強い。けれど、どこか脆い愛すべきこの妹がただただ笑顔でいられる未來をと…

もう一度頭を撫でるとサッチは今度こそ部屋を後にした。


昔話をしましょうか

(サッチおせぇよい)
(何してたんだ?)
(可愛い妹の寝顔を少々…)
(きもいよい…)
(変態だねぇ)





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