destiny-12





宴から数日後。

ルカは自室でサッチに頼まれた書類の半分の処理の為机に向かっていた。
だが、数分前から部屋の前をうろうろとうろつく気配が現れた。
言わずもがな、その正体は見聞色を得意としているルカにはわかっているのだが、本人が自ら動くのをただ待っていた。
そわそわとして、部屋の前をうろつく気配にその姿が手に取るように分かり、ルカは微笑ましく感じ書類を進める手を止めドアに向き直り笑みを浮かべた。

と、その時意を決したように動きが止まった。それと、時同じくして響いたノック音。
クスリと1つ笑いを溢すと、返事をしながらドアに近づき戸を開けた。
やはり、そこには予想した通りの人物―エースが決まり悪そうに頭を掻きながら立っていた。

「よ、よう」

ルカの顔を見ると片手をあげ、声をかけたエース。

『よう、どうしたの?』

同じように返事を返し、聞く。

「いや、あの…さ。あー、今少しいいか?」

『いいよ、どうぞ?入って』

そうエースに部屋に入るように促した。

「あ、わりぃ。仕事…してたのか?」

机の上につまれた書類を見てエースが尋ねてきた。

『おバカな隊長の仕事手伝わされてるの。気にしないで?それで?どうしたの?』

「お、おう。あの…な」

あの宴から数日、エースの白ひげ襲撃はなくなり。代わりに甲板の隅や船首の上で何やら思い悩むエースの姿が見られていた。

そして、今日ルカの部屋を訪れたエースの顔はモビーディックに乗船してからの表情はなく、すっきりとした表情を浮かべていた。

「俺、白ひげの名前を背負うよ…」

その言葉が静かな部屋に響き渡った。

『うん、待ってた…。決意してくれて…ありがとう…』

そう言うと、エースがまだ見た事もない満面の笑みを浮かべた。
エースはその笑みを見ると、少し顔を赤くし、

「お、おう。ルカには結構迷惑かけたからな、一番に話したくてよ。部屋の場所聞いて来たんだ!!」

と、太陽のような…ルカの見たいと望んだ笑顔を見せた。

『そうと決まれば、親父のとこ行かないとねっ!!』

そう声をあげると、机の上の書類の山を抱えると部屋を出ようとした。

「お、おい!!それ、どうすんだよ!?」

『んぁ?あぁ、親父の部屋行く途中でマルコの部屋寄って渡してこうかと』

「あー、寄越せよ…」

『ん?何?』

「だーから!!俺が持ってやる!!」

向かいから書類を全て浚われて、書類の山はエースの腕の中。

「一応女だからな。重い物は持ってやる」

『一応って……、まぁ、ありがとう。じゃ、行こうか?』

エースの不器用な優しさに笑顔を溢すと、連れ立ち部屋を後にした。

途中マルコの部屋を訪ねると、案の定書類の作成の監視をされているサッチもおり、書類を持ったエースに驚いた顔をしたが、いつもと違う空気を感じたのかからかったりはせずに、部屋を後にする二人を見送ってくれた。

「なんかあったみたいだねい」

「そうだな…こりゃ今夜は宴だな…」

「よし、宴に出たいなら早く書類を終わらせるんだない」

「え、俺。料理作らなきゃだぜ?」

「終わらせなかったら、料理作ってそのまま部屋に逆戻りだよい」

「そんなっ!?そりゃねぇよーー!!」

「なら、早く終わらせるんだない」

そんな会話が二人が後にした部屋で繰り広げられていたとも知らずに、二人は今白ひげの部屋の前にいた。

『さーて?準備はOK?』

「お、おう。大丈夫だ!!」

じゃあ、と言い、ルカが白ひげの部屋の扉をノックする。と、間髪入れずに白ひげから入室の許可が入る。
どうやら、訪ねてくるのは承知していたようだった。

『親父さん、エースが話あるって!!連れてきたよ』

そう話すと邪魔したら悪いと思い、エースを中に促すと部屋を後にしようとすると白ひげから、お前もいろ。と指示をされた。
そのまま、白ひげの隣に移動しエースに向き直ると、エースが話始めた。

「最初は、あんたに息子になれって言われてふざけんなって思いばっかだった。だけど、この船で生活して、あんたの息子達を見て…俺は…羨ましくなった…。あんたに愛されるあいつらも、あんたをただ敬愛するあいつらも。ここ何日かない頭振り絞って必死で考えたんだ…」

あぁ、と相槌を打ちながら、ただエースを優しい瞳で見据え、話を聞く白ひげ。
チラリとルカに視線を向けたエースに、笑顔を浮かべ、頷いたルカ。
それにエースも頷き返すと、意を決して白ひげを見つめ直し、その瞳には決意が表れていた。

「俺を…俺もあんたの息子にしてくれっ!!」

その言葉をずっと待っていた白ひげは

「グラララララ。何言ってやがる。お前が認めてなくてもな、俺が息子にすると決めて船に無理矢理乗せたんだぜ?お前は、この船に乗った時点で俺の息子だったんだ!!まぁ、節目も大事か…。なら、俺の名を背負い供にこの海で生きてこうじゃねぇか、なぁ?エース?」

その言葉を聞いたエースは、今までで一番の笑顔を浮かべた。

「あぁっ!!親父っ!!」

その返事を合図にルカはエースに駆け寄り自分より大分高い位置にある頭を無理矢理撫でた。

『エース!!よかったね、これから改めてよろしく!!あたし、お姉ちゃんだから!ちゃんと言うこと聞きなさいよー!!』

「うわっ!!よせよ、頭!!たく…」

文句を言いながらも、撫でる手を振り払いはせずに受け止めるエース。

二人のジャレ合いを見ながら、笑う白ひげは声をあげた。

「野郎どもおーーー!!今夜は宴だぁー!!準備しやがれーー!!」

「「「うおーーーー!!!!」」」

『じゃあ、エース!!宴まで、ゆっくり船内でも案内するよっ!!まだ知らない場所もあるでしょ?行こうっ!!』

二人は白ひげに挨拶すると、仲良く部屋を後にした。


火拳の決意

(ここが武器庫で、あっちが宝物庫、弾薬庫に砲弾室。)
(なぁ、食堂行こうぜー!!俺腹減っちまった!!)
(あんたねぇ…まぁいっか!!行こう!!あたしも喉乾いたし!!)






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