destiny-09




突然の海軍の襲撃から数分。

先陣の12番隊が海軍船へ乗り込み、空からはルカの援護攻撃が繰り広げられていた。

12番隊とルカの攻撃を潜り抜け、モビーディックへ上がってくる海兵もいたが、そこは天下の白ひげ海賊団。

突入してきた海兵はなんともなしに、海へと逆戻り。

だが、それでも海兵達は勢い付いていた。

その理由は、海軍船に乗る一人の能力者。

いつのまにか空へと舞い上がり、ルカと空中戦を始めており、しかも苦戦中。

「なっんなのよ!!あんた!!」

能力は空を飛んでいるだけ、ルカへの攻撃はルカにも効く物理攻撃を駆使しており、自分に能力を向けてこない戦いかたをする能力者に対する戦いかたをまだ掴めていないルカにはただの武器戦であって、かなりの苦戦を強いられていた。

「白ひげの堕天使の覚醒の進行具合の調査を任せられました。海軍少将キースと申します。どうぞお見知り置きを」

紳士を思わせる口調で尚続ける。

「いやね、私もあまり女性に刃を向けたくはないのですが…何分大将赤犬様より直々の命でして…我が敬愛する上司の期待には上乗せしてお応えしたく…心は傷みますが…供に海軍本部へお招き致したい所存でございます」

『ふっざけんなよ!!こんの似非紳士がぁ!!』

そうルカが怒鳴り声をあげると供に、ルカとキースを中心に広がるルカの覇気にモビーディックにて闘いを繰り広げていた隊長達が気付いた。
そして、尚船内には入らず己へと刃を向ける海兵のみをなぎ倒していたエースにもその覇気は届いていた。

「あ、あいつ…覇王色使えんのかよ…」

唖然とするエースに届いたのは、事態を深刻と捉えた隊長達の声だった。

「やべぇな…あいつはまだ自分の力全てを使いこなせてるわけじゃねぇ。あの海兵相手じゃあいつが不利だ!!」

「マルコ、応援に行けないか?」

「見聞色だってあいつは使えるんだ!!能力を無効化できないとしても、そうそうやられる奴じゃねぇよい。だが、ここが片付き次第行くよい」

「頼むぜ!!マルコっ!!」

そんな会話がなされた今もルカと海軍少将キースの攻防は熾烈を極めていた。

「見聞色ですか…あなたの能力に加えあなたは全ての覇気を有するなんて…随分と化け物染みた女性ですね。センゴク元帥が欲する気持ちも分かる気がしますよ。さて、ここらで決着といきますか?」

『ぐだぐだうるっさいな…あんまお喋りな男はあんたの言う女性とやらに嫌われるよ…』

「その点はご心配なく、女性に不自由はしておりませんので」

『だぁーーー!!腹立つ!!フェザーアロー、翼の矢がお前を地の果てまで追い続ける!!』

「こんな茶番いつまでも付き合えませんよ。あなたの能力、技、攻撃パターンは全て調査済みです。かといって対抗策は見いだされてませんが…」

『わかってないんかいっ!!役たたずか!!』

言った瞬間ルカの放った羽が全てキースにあたりキースは海へと落ちていく。

『たく…しつこかった…』

珍しく息を上げながら、落ちていくキースを見つめるルカ。
そして、今尚交戦中であるにも関わらず久しぶりの強敵との闘いにほんの一瞬隙をつくってしまったルカに襲いかかったのは、今確かに海へと落ちていった海軍少将キースだった。

「「「ルカっ!!」」」

『………え』

キースは完璧に姿を変え、持っていた刀でルカを下から串刺しにしていた。
その姿はガーゴイル。
正に悪魔と姿を変えた海軍少将キースだった。

「あまりこの姿は好きではないのですが、女性を怖がらせてしまいますので…」

『がはっ…くそ、あんた…なんなのよ…』

血を吐き出しながら、尚も噛みつくルカ。

「白ひげの皆様にお別れをお願いします。次は敵同士として命をとることになりますからね…」

『そんな事に…なる位なら…ハァ、あんた…道連れに…するわよっ…でもねぇ!!あたしにだって、大切な家族も、守らなきゃいけない…約束…ハァ、あんだから!!今ここで、あんたなんかに連れて行かれるわけにも、死ぬわけにも行かないの!!』

その声と供に串刺しになっていた刀を引き抜きまた空へと舞い上がりルカ。
だが、その腹部からは夥しい量の鮮血がパタパタと滴っている。

「なっ、なぁ、あいつどうしたんだよ!!」

「あぁっ!?火拳か…おめぇはまだ家族じゃねぇ。これは俺ら家族の問題だ。黙ってみてろよ」

「ルカ!!大丈夫かよい!?」

マルコがルカの元へ庇うように現れた。

『へ…き…。あんの似非紳士。堕天使怒らせたらどうなるか…体で教えてやる…』

そう言葉にすると、またルカは覇気を纏いキースへと立ち向かった。

「おい!!やめろよいっ!!」

黒金を翳し、キースへと突き立てる。
それを刀で止め、薙ぎ払う。
その攻防は激化を辿り、その間もルカの腹部からは血が滴り続け、確実に彼女の体力を奪う。

「死んでしまっては、大将にも元帥にも怒られてしまいます。これが最後ですよ。悪魔の実の力を手にした異界の旅人。もう、その存在さえ異端。今日はここで引かせて頂きます。私の仕事はあくまで調査ですからね」

そう言うとモビーディックに乗り込んでいた海兵達に撤退を告げるとさっさと去っていった。

それを見送ると、ガクンとルカは力尽きそれをマルコが背に乗せモビーディックへ戻ると、ナースとジェットが既に待機しており、ルカの治療が開始された。

「あいつ、大丈夫なのか?」

「今はとにかく治療が終わるのを待つしかないよい。だが、あの海兵…手強そうだったない。時期を見てまたルカを捕らえにくるはずだよい」

「その時ァ、俺が直々にでてやらぁ。おめぇらはあいつを守る事だけに集中してろ」

「親父っ!!あ、あぁ。そうだよな…」

(あいつ、海軍から狙われてんのかよ…)

「だが、あの赤犬も出てきたなら今までより卑劣な手を使ってくる事も警戒しなければならんな…」

「航海中は嫌でも俺らの誰かが一緒だ。上陸の時さえ警戒してれば何とかなるんじゃねぇか?」

「そんな甘い考えでどうにかなるとは思えないがねい。現状それしかないねい。向こうがこれからどうでるかもわからない。とりあえず、あいつの能力の向上を急ぐしか手はないかもしれないねい…」

「あいつの怪我が治り次第ってやつか…」


新たなる懸念材料
(全てはあいつが起きたらだ…)
(ルカ大丈夫かな…)
(サッチ、ルカが起きたらいつでも食べれるように精のつくもの用意しろよい)
(お、おう!!わかった!!


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