Amor-5



そうして激戦へとなったその場をルカが縦横無尽に駆け回る。
ルカの通った後には呻きひれ伏す海兵達。
エースやハルタもまるで数日分の憂さを晴らすかの如く暴れ回るのだった。

数刻後、その場にはルカ達が立ち竦み辺りには呻き声だけが響き渡るのだった。


「暴れすぎたか?」

『いいんじゃない?海軍にはいい薬でしょ?』


ふんっと鼻で笑ったルカにそれもそうかと返したハルタがにこりと笑いかける。


「んじゃ、こんなもんでいいのかな?」

『うん、そうだね。今日の所はこれであいつらは挑んで来ないだろうし、何より動ける兵が少ないから今日は増援がきた所で動く事はないんじゃないかな?』


それに頷いたハルタとエースに微笑めばルカはサニーを振り返りデュバルへと声をかける。


『ねぇ!!デュバル!!』

「なんですかい、姐さん!!」

『呼び方気にいらないけど…まぁいいわ。明日明後日まではあたし達がこの島にいるから、海兵が攻めてきたら知らせて?直ぐに駆けつける!!』

「わっかりましたぬら!!」


相変わらずの訛った返事にルカは笑みを返すと近くの岩へと腰かける。



「あんれぇ?姐さん、今日はこちらにいるんですかい?」

『うん、数日ぶりだしサニーとまたお別れになっちゃうから・・・少しだけ・・・ね?』


そう言ってルカは船首を見上げるのだった。
その百獣の王の船首の船で過ごした日々を思い返すかの様に、その顔にうっすらと笑みを浮かべて。
その間にトビウオライダーズの面々がトビウオを駆使して海兵達を真逆のマングローブへと運び、辺りは静寂が戻ったのだった。


そこで兼ねてから不思議に思っていたのだろう、エースとハルタが七武海バーゾロミュー・クマへと視線を向ける。


「あいつ何のつもりなんだろうな?」

「さあ?何か企んでいるのは確かなんじゃない?」


そうだよなっ!!今のうちに壊しちまうか?言った瞬間ルカが2人に声をかける。


『それはダメ。ルフィ達の誰かが戻るその時まで、彼はあたしたちの味方だから…大丈夫』


そう言ってクマへと視線を投げたルカに不思議そうに顔を見合わせるのだった。
ルカへと向けた視線を空へと向けたエースが気付く。


「あっ………」


その声に気付いたルカがエースへと視線を向けた時青い炎を纏ったマルコがおりたった。


「なんだよい、綺麗に片づいた後じゃねぇか」


『「マルコ??」』


ルカとエースが声を揃えきょとんとした顔を向ける。


「あれ?どうしたの?街にでてたんじゃ?」

「サッチから報告を聞いたんでねぃ。様子見に来たんだぃ」


"あぁ、それでか"そう呟いて納得した様に頷いたハルタとルカ達、それを見ていた船上にいたデュバル達が目を丸くする。


「不死鳥でねぇか…」


その後ルカへも視線を向けたデュバルは心中で出会い共に過ごしたほんの少しの日を思い出す。

ただてさえ、ライがルカであった事実に驚いていたのに、家族と笑って話す彼女にデュバルは少しだけ………ルカが遠い存在なんだと気付いた。

片やこの海域で人攫いやオークションに出品するものを探し回る荒くれ者、片や家族と後半の海"新世界"を根城に暴れ回る海賊。

出会える事のなかった筈の四皇と呼ばれる後半の海を牛耳る四人の内1人の船の幹部達を目の前にルカと慕う麦わら帽子の海賊達がこの先共に笑う姿を見るのがどれだけ難しい事かと考え至り眉を下げたのだった。

それでも彼女が姿を変えてまで護りたかった家族と笑い合う姿を見れたことはとても嬉しく感じたデュバルは直ぐにその顔に微笑みを浮かべた。


『それで、マルコも此処にいるつもり?』


自分と同じ様に近くの岩へと腰を下ろしたマルコへと掛けた声にマルコが答える。


「そのつもりだよい、随分暴れたんだ大将が来ても可笑しくはないだろい?」


"あ、それもそうか…"マルコの言葉に先ほど山となっていた海兵達をおもいだしカラカラと笑い声をあげるルカにマルコは呆れた顔を見せるのだった。



遠くて近い

(きっとあの人の居場所はあそこ以外にはないのだろう……そう思える程に見えない強い強い絆を感じた)



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