Amor-4



「兄貴達の船は俺たちトビウオライダーズがなんとしても死守するべっちゃら!!兄貴達が戻るまで!!」


麦わら海賊団の船、サウザンドサニー号に轟く声はデュバル率いるトビウオライダーズ達の声。
そして、今サウザンドサニー号を取り巻くのは今主なき船を手に入れんとする海軍とその船を手に入れ売り払おうとする輩達。


「お前たち!!そこをどけぇ!!」


上がる咆哮はどちらのものか‥そこは激しい戦闘の場と化したのだった。
そこへ現れたのは、七武海が1人。ーバーソロミュー・クマー

ビームは放ち、海軍たちを退けようと闘う彼に海軍は元よりデュバル達も困惑を露にしていた。
そして、そこに一枚の漆黒の羽が堕ちてくる。


「んぁ?なんだ?」


先頭の最中、それに気付いたのは海軍の若き海兵。


「鳥・・・?」


見上げたその先にいたのは・・・



『さぁてと…恩人の船に仇為す者は何処のどちらさん達?』



ばさりと大きな羽音を立ててサニー号上空に現れたのはルカ。


「だ…堕天使だぁぁぁあああ!!!」


一斉に顔を向けた彼らの視線の先で怪しく笑い見下ろすルカはひどく楽しげにその顔を緩ませていた。


「この船と堕天使を討ち取れ!!援軍はすぐそこだ!!助けは堕天使のみ!!戦力はこちらの方が有利だ!!」

『へぇ、援軍が来るの??頼もしいねぇ』


くすくすと笑いながら、見下ろすルカへと痺れを切らせ逆上した海兵が海楼石の仕込まれた弾丸を放つ。
あと少しでルカへと到達しようした時、一つの影がルカと弾丸の間に滑り込み弾丸は軌道を逸らされる。


「やめてよね?僕たちの大事な妹に危ないモノ向けないでよ」


にこりと微笑みながら着地したのは…


「白ひげ海賊団…12番隊隊長・・・・」


呆然と呟いた海兵達の背後で複数の足音と声が響いた。


「おいおい、ハルタ先走るなよなぁ?」


振り返ればそこにいたのは先の戦争で渦中の人物であったポートガス・D・エース。
そして、白ひげの中でも肩書きはなくもそれなりの実力者であると知られるラルフとショーンがそこにいた。


「隊長、俺らにもいいとこわけてくれないと‥」

「そうですよ、俺らの活躍の場がなくなっちゃいますよ?」


口角を上げて、そう言ったラルフとショーンに軽い調子で謝るハルタにルカが声をかけた。


『別にハルタが来なくても防げたのに‥』


そう言ったルカにハルタは呆れた顔で告げる。


「だってどうせなら格好良く登場しないとでしょ?」


にっこりと笑いながら告げたハルタに、はいはいと返したルカは、視線を海兵達へと向ける。


『さぁてと…ゲームを始めましょうか?この船を攻め落としたらあんた達の勝ち、護り通せばあたしらの勝ち。解りやすくていいでしょう??』


にやりと笑みを受かべたルカがそう言えば続けてエースも口を開いた。


「あぁ、俺らに勝てる自信のある奴からかかってこいよ、来ないなら…こっちからいくぜ?」


そう言えば、炎を身に纏いエースは海兵達の中へと突っ込んで行った。


『あぁ!!ちょっと!!ずるいっ!』


そう叫んだルカもガチャリと黒金を構えると翼を1つ羽ばたかせて海兵の中へと飛び込み戦闘を開始した。


「全く……」


そう呟いたハルタはサニー号の甲板を見上げてデュバルへと声をかけた。


「ねぇ!!君がこの集団のトップでしょ?」

「あ、あぁ!!そうだぬら!!」

「ふーん、それじゃあ。君達は邪魔だからそこで船に到達した奴等を相手しててよ。まぁ、僕たちがいるから到達する奴なんて殆どいないだろうけどさ」


ふふんと得意げに言ったハルタもサニーに背を向ければラルフとショーンに声を掛けて走り出した。


その頃ルカはと、いえば。


『よっわいわねぇ?!こんな程度でルフィの船を落とせると思ってたの!飛んだ誤算!!』


そう言えば目の前の海兵を黒金で貫く。


「援軍、援軍はまだかぁぁぁあ!!」


そう海兵の声がシャボンディの一角で大きく響いたのであった。


『援軍…ねぇ、援軍て大きな角のついた海兵帽を被った人が率いてた海兵たちかしら?』


そこに響いたルカの凛とした声に海兵たちは動きを止めた。
そして、この海兵たちを指揮してるであろう准将が声を荒げた。


「何故…何故お前がそれを!!・・・・まさか!!?」


その声にルカはエース達をちらりと見てから准将を見下ろし告げた。


『なんだったっけ?ニカク准将殿…だったっけ?ねぇ、ハルタ』

「さぁ、弱い奴の名前なんて僕一々知らないかな?」

「ふは、ハルタひっでー!!」


ルカに続いて告げたハルタ、エースの言葉にショーンとラルフがげらげらと笑う。


『あの海兵たちなら…ここに来る途中で邪魔してきたからおねんねしてもらってるわよ?』


くすりと妖笑を浮かべて告げたルカの言葉に怒りを露にした准将が斬りかかる。
それをなんてことのないように避けたルカは告げる。


『あの程度で准将クラスだなんて随分と海軍は生ぬるいようね?なんなら、あたしが稽古を付けてあげるわよ?』


そう言って黒金を准将へと向けたルカは微笑んだ。
ひとつ、ふたつと翼を羽ばたかせればルカは小さく技の名前を復唱する。


「フェザーレイン」


そうして海兵達へと降りかかる羽の刃は海兵たちを追い詰めていくのだった。




正義と悪

(正義はみる立場によって変わる。いつだったか青キジが言っていた言葉はあたしの中に今でも残ってる。これを直接本人から聞いたわけでもないけれど。あたしの中での正義はここで彼らの船を守ること)

『さぁ、かかってきなさいよ!!あんたらの正義も全てへし折ってでも退けさせてもらうわよ!!このサニーには指一本・・・・触れさせはしないからね?あんたらと違うところで、あたしたちはあたしたちなりの思いを抱えて戦ってんの!!全ての海賊は悪?笑わせてくれるわ。人柄、人望それをよく見てから判断してほしいわね。あんたらなんかよりも余程ルフィ達の方が人望、信頼ってもん勝ち取ってるんじゃなくて!!?」


シャボンが1つ、浮かび上がって空へと舞い上がる。
それはまるで、ルカの思いを乗せるかの如く。



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