travel-15



あのマルコとルカのバトル?から数日。

相も変わらず、二人は関わらぬ様。
お互い遭遇を避ける様に生活している。

あの日の夜、マルコに酒を進めほろ酔いまで飲ませて真相を吐かせた所。

「あいつの俺へのよそよそしい態度もだが、お前らにはあんななついてるのに、俺の顔見ちゃ顔面強ばらせやがんだよい!!気分も悪くなるだろよい!!」

だそうだ。


いわゆる、拾ってきたのは俺なのに。
最初の印象悪すぎて微塵もなつかねぇルカにやきもきしてるらしい。

本人は初めて出来た戦闘員として、近くにいる妹を可愛がりたいが。

俺や他の隊長連中に先になつかれて悔しいそうだ。


………………………子供かっ!!



「なら、優しくしてやりゃいーだろ?」

もっともな意見を伝えてみる。

「優しく?してみても、怪訝な顔されておしまいだろい」

酔うとマルコはぼろぼろと本音を溢す。
まぁ、俺ら隊長達や親父限定だが。

「わかんねぇぞ?普通に喜ぶかもしれねぇだろ?」


ホワイティベイみたいに、年がら年中近くにいない妹だと、今までの航海の話なんかで盛り上がるが、近くにいるとどう構えばいいかわからない。

なんちゅー不器用な奴なんだか。

しかも、元は敵か味方かの位置付けも簡単にできないような存在だったからなおのこと、事態を悪化させたらしい。

長男として、1番隊の隊長として。

俺らや親父を守るために、1番警戒心の強いマルコだからこそ。
どのタイミングで打ち解けたらいいのか。
完璧に見失ったらしい。
男だったなら、よかったのだろうが。
ルカは女だ。
しかも、それなりに歳は重ねてるだろう、気のかなり強い。

こら、骨が折れるなんて。
あの晩の事を思いながら、近付く島影を眺め、兄妹の行く末を案じた。


『島、随分近づきましたね。』

「お、ルカ。お疲れさん。仕事は一段落したのか?」

『はい。上陸前の仕事は一通り済ませましたよ』

また、こいつも随分砕けてきてたのに。
あの一件以来、もとに戻ってしまって。
ハルタが随分とマルコにご立腹らしい。

まぁ、その点に関しては俺もちょっとな。

「そうか。久し振りの上陸だ。ルカも降りるんだろ?」

『ナースのミシェルとレイチェルと降りる予定です。親父さんに護衛がてら行ってこいと』

「あ、そうだな。俺らの誰かと行くよりルカもナース達も楽しめんだろ!!」

『そうですかね。それじゃあ、上陸の準備あるので。』

「また後でな!!」

船内へ戻るあいつを見送り、また海へと視線を戻し考える。

「なるようになるか…よし、俺も用意しよーっと!!」

足取り軽く俺も船内へと向かった。

「ちょっ!!隊長!!気持ち悪いっすから!!スキップとかまじで止めてください!!」

「何おーう!!この沸き立つ思いをおめぇらわかんねぇのか!!」

「わかります!!わかりますけど、サッチ隊長きもいです!!」

「てめぇらー!!」








上陸を済ませ、あたしはまだどこの隊にも所属していないので、上陸中は入れ替わり立ち代わりで降りるナース達の護衛を親父さんから指示されていたので、まず今日降りるナース、ミシェルとレイチェルと島へ降り立った。


「まだ、マルコ隊長と仲直りしてないの?」

『別に。喧嘩したわけじゃないし。仲直りも必要ないでしょ?』

「でも、端からみたら立派な兄妹喧嘩だったよー?」

「マルコ隊長もあたし達ナースや傘下のホワイティベイ船長とはまた違うルカにどう接したらいいかわからないのよ」

『あー、もうせっかくの上陸なのに。こんな話おしまい!!行こう!!補充する薬とか、買い物したいんでしょ?』

「そうね、ここはパーっと買い物して憂さ晴らししましょ!!」

「さんせーい!!」

そうして、あたし達は街でも1番栄えている街中でショッピングを開始した。

『ねぇ…ミシェル…レイチェル…。これはあたしの憂さ晴らしでは?』

「ん?ルカの服も沢山あるじゃない?」

『あぁ、うん。まぁ、いいや』

現在何故かあたしが大量に荷物を持たされていた…
船員に会ったら預けようなんて話してたけど、ここは女性物溢れる一角…
当たり前に船員に出会うわけがない。

『でもね、さすがにもう持てないから。一旦船員のいるだろう場所に移動しない?それからまた来ようよ…』

「そうねぇー、ついでに荷物持ちも頼みましょうか」

そう言って今度は他の船員達が物資の調達をしてるだろう区画へ移動を開始した。


「なかなか会わないわね?」

『まぁ、散らばってるだろうしね…』

「あ、ルカ前っ!!」

前もろくに見えず歩いていたせいで、あたしは何かにぶつかって荷物をばらまきながら後ろにしりもちをついてしまった。

『いったー、あ、すいません。前見えてなくて!!』

そう言って顔をあげると
目の前には長い足。

随分身長の高い人らしく、目線を少しずつ上へずらす。

「あ、あぁ」
レイチェルが怯えた声をあげるから一度レイチェルへ視線をうつす。

すると、ミシェルが庇うようにレイチェルを後ろにやり、後ろのかなり高い位置を睨みつけていた。

「あらら、随分きらーなお姉さんじゃねぇの?これから一緒にどう?」

その声に、話し方にあたしは反応するとミシェル達の前へ飛び退き、二人を背に庇い、声を発した人物を睨みあげた。

『大将…青雉…』

「あれ?お姉ちゃんもきれーだね?…ん?見た顔だな…」

『確か本部からは随分遠い場所のはずだけど。こんな所で何してんの?』

「あーそうだ!!堕天使 アマクサ ルカか。そうゆうあんたも何してんの?たまたまサボりにきた島に白ひげが上陸したって聞いてさ。まぁ、何もないだろうが出航するまで様子見とこうと思ったんだけど。また随分な大物も上陸してたんだね?」

『(白ひげのナースともあたしが白ひげに入ったのも気づいてない?)それで?』

「堕天使は一人で行動してたはずなのに、そのお姉ちゃん達は何者?」

『只の一般人だ。荷物が重そうだったから、手伝ってただけで無関係だよ』

「え?」

驚く二人に視線を一蹴すると
あたしは翼を出し、二人を隠すように広げた。

『で?捕まえるの?あたしを?』

「めんどくさいんだけどねぇ。あんたは見つけたら生け捕ってこいって命令がでてんだよね…だから大人しくついてきてもらえる?」

『嫌だと言ったら?』

「多少手荒になるが、力付くになっちゃうかなー」

翼で隠れた二人に聞こえる様に小声で逃げるように伝えて
あたしは、青雉から一旦二人を逃がす為に翼で風を起こし砂煙をあげさせ視界を奪う。

その内に逃げた二人を確認すると、
黒金を出し、青雉へ向けた。

「へぇーそうしてるとホントに堕天使みたいだね」

『そら、どうも』

「ねぇ、君の目的は何なの?」

『はあ?』

「いやさ、助けを求める一般人を海賊やら山賊から救ったり、かと思えばたちどころに海軍も敵にしちゃってさ。何がしたいのかなーって。会ったら聞きたかったんだよね」

『別に気に入らないから。やっただけ。それがあんたに関係ある』

「んーないね。じゃあ、お喋りはおしまい。一緒に来てもらうよ」

『嫌に決まってんでしょ!!』

翼を羽ばたかせ、空に舞い上がり戦闘体勢に入ったあたし。

それを涼しげな顔して、下から見上げてる青雉。

なんか余裕綽々といった青雉に腹がたち、戦闘の火蓋が落とされた。


絶対零度

(おい!!なんだ?あの砂煙?)
(街の方だよね?まさか誰か暴れてるとか?)
(暴れてたら外出禁止だねい)
(マルコ罰なら禁酒のが堪えるんじゃないか)
(そうするか!!)


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