第四訓



「てめぇは何しに出てきやがった!!」

「あ〜ん!!銀さん、そんなにあたしに会いたかったのね!?もぅ、さ・み・し・が・り屋さんなんだからぁ〜ん!!」

「抱き着くんじゃねぇよ!!てめっ!離れろっ!!」

「そんな照れちゃって!!照れ隠しに罵倒するなんて感じるじゃない!もっと罵りなさいよ!!」


ギャーギャーと騒ぐ銀時とさっちゃんこと猿飛あやめ。
の、脇でルカがいじけていた。


『同じ女なのに……同じ……』

「ちょっと、ルカさん!!?どうしたんですか!?」


猿飛から解放されたルカは蹲りショックに打ちひしがれていた。


『あ、新八くん?あれ、いい整形外科知ってるかな??あたし……あぁ、俺ちょっとバベルの塔建設してこようかなって……』

「駄目ですって!!あんた、何言ってんすか!!?」

「ルカ、そうだぞー?女は胸のでかさじゃねぇから!」

突っ込む新八の横からサッチがルカへと声をかける……そんなサッチをキラキラとした瞳でルカが振り返ると熱い視線を猿飛へと向けるサッチがいた。


『って、言いながら!!胸見てにやついてんじゃねぇよ、このあほんだらぁっ!!!』


サッチの横っ面にルカのドロップキックが決まった。


「サッチさぁぁぁぁんっ!!?」


ギャアギャアとルカとサッチ、新八が騒いでいると、


「そういえば、ちょっと貴女。」

『へ?なぁに??』


猿飛がルカへと話しかけた。


「貴女、天パじゃないとはいえ銀さんと同じ銀髪だからって調子に乗らないでよね?」

『え?別に乗ってな・・・』


猿飛の言葉にルカが呆れた眼差しを向けて言葉を返そうとすると、


「銀さんと同じだなんて・・・羨ましいじゃないのよっ!!」

『はぁ!?何!?それ??あたし、調子にも乗ってないし、羨ましがられる覚えもないんですけどっ!!?』

「いいのよ、気にしないで。貴方も銀さんに思いを寄せてるんでしょう?でも、銀さんは渡さないわよっ!」

『えぇっ!?全然なんだけど!?あんた一緒にしないでよ!!』

「まぁ?私という強敵が相手じゃ勝てる気も起きないでしょうけど?」


そう言った猿飛を呆然として見つめる。


『えぇ〜・・・、あたしの事完璧スルー・・・』

「いつもですから、いつも。気にしないでください」


おーいと声をかけるルカに新八が声をかける。
と、ここでサッチが動いた。


「ねぇ?お姉さん、俺ら銀時たちにここ案内してもらってんだけどさ。お姉さんも俺にいいとこ教えてよ??」


忘れがちだが、これでもサッチも高額賞金首。
立ち寄る島々でそれなりにもてるのだ。
そんなサッチが本人曰く爽やかスマイルで猿飛を誘った。
それに、猿飛が振り返った瞬間。

サッチがぶっ飛んだ。


「生言ってんじゃないわよぉっっ!!!」


サッチの顔面に見事右ストレートが決まる。


「あたしが素敵なお城に案内すんのは銀さんだけよっ!!」

『え〜、全開で下にむかってるよ。ちょ、誰かあれ止めてよ』


ルカがげんなりとしながら、言った。


「てめぇ、ややこしくなっからどっか行きやがれ!!!」


今度はその声と共に銀時が猿飛を放り投げた。


キラーンと効果音が聞こえそうな勢いで彼方へと消えた猿飛を見たルカは大きな口を開けて笑った。


と、


「・・・新ちゃんに神楽ちゃんに銀さんじゃないですか」


騒がしかったその場に響いた凛とした声に振り返ったルカの前に現れたのは。


「姉上!!」


志村新八の姉、お妙だった。


「こんな往来のど真ん中で何やってるんですか?邪魔でしょうがないですよ、唯でさえその頭で人に迷惑かけてるんですから」

「おい、お妙。それは俺をバカにしてんのか?」


開口一番に告げられたお妙の言葉にサッチだけではなく、マルコとエースまでもが目を見開いた。


「おい、随分辛辣な言葉がでてきたぞい・・・」

『気にしちゃだめだよ。あれが通常なんだから・・・』


お妙へと歩み寄る銀時達のあとに続いていく後ろでマルコ達に小声でルカが言った。


「で?おめぇは何やってんだ?」

「何してるって、こっちが聞いてるんですよ。この万年金欠のぐうたら男がっ」


ミシィと音させながらお妙の拳が銀時の頭にめりこむ。


「あ、姉上!!この人たちが江戸が始めてなんで案内していたんですよ!!」


慌てた様子で間に入った新八の言葉にお妙がルカ達へと視線をむける。


「初めて・・・?そんなばっちりコスプレしてるのに??」


まった3コマ男なんて随分とレアな・・・と言った所で銀時達が慌ててお妙の口を塞ぐ。


「「「??」」」


それを不思議そうに見ているサッチたちと、ほっと一息つくルカ。


「お前、馬鹿!!あれはまぢでほんもんのマルコとサッチとエースなんだよ!!」


小声で聞こえないように、今の状況をお妙へ説明している銀時達の様子に首を傾げながらも、マルコ達は周囲を行きかう珍しいものへと視線を向けた。

そして数分後。

事態を理解したお妙が笑顔で4人に歩み寄った。


「まさか本当にあの人たちだったなんて、粗相を致しまして。私、新ちゃんの姉の志村妙と申します。いかがですか?この世界は。」


にこやかな笑みを浮かべたお妙に笑みを返すルカ達。


『銀さんたちが色々案内してくれるみたいで・・・なんだかんだ楽しんでますよ』


ルカが答えた時。


「あ、そうだわ!お詫びと言ってはなんですけど・・・これ食べてくださいな。」


そう言ってお妙が手提げから出したのは・・・


「・・・・・・・・あの、これは?」


サッチが呆然としながら尋ねる。


「嫌ですわ。サッチさん、卵焼きですよ。ご存知ありません?」


「たまご・・・やき・・・」


そう言って再度お妙の渡してきたタッパを見るが、そこにあるのは真っ黒の炭・・・。
そうお妙が渡したのは銀魂お馴染みとなっているお妙の殺人兵器・・・ダークマター。

それを見たルカはダークマターを視界に入れながら遠くを見つめるような瞳となり、サッチ、マルコ、エースはその物体Aを凝視していた。
そんな折お妙が告げた。


「見た目はちょっとあれですけど、食べるとおいしいんですよ??」


笑顔でそういったお妙を一度見てから、サッチはもう一度ダークマターへと視線を落とす。


「(そ、そうだよな・・・。見た目はあれだけどうまいもんなんて世の中いっぺぇあんだから・・・)えっと・・・お妙ちゃんだったか?」


口を開いたサッチに3人が顔をあげる。


「はい」

「有難く頂くぜ!!わりぃな!!」


笑顔で告げた直後、サッチが卵焼きもといダークマターへと手を伸ばした。
その間にも、銀時や新八、神楽が食べるなと騒いでいたがことごとくお妙により一発KOとなり、ダークマターはサッチの口へと運ばれたのだった。


気合を入れても乗り切れないものだってある


(ぎゃぁぁぁぁぁぁ!!!)

(サッチ!!大丈夫かよい!!?)

(だから止めたのにぃぃぃぃ!)

(サッチさん!大丈夫ですか!!)

(姉御の卵焼きはまじでやばいアル)

(・・・・・・・卵、怖い・・・)

(おい!!ルカ!?お前食ってねぇだろ!?)

(あら?いかがなさいました?やだ、卵腐ってたのかしら??)

(んなわけあるかよっ!てめぇの料理はまじで殺人兵器なんだ!!いい加減生産すんのやめやがれ!!)

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