Savior-53





「おう!!オヤジ!!」


全船が停泊作業を終えた頃、白ひげの元を訪ねたのは傘下の海賊団の船長達。


「オヤジさん、ルカはどうなんだい??」

「そうだ、俺らもそれが気がかりで船員に指示を終えてすぐに来たのだが・・」

「オヤジさん!!ルカは!!?どこにいるんだ!?」


ホワイティベイ、ドーマ、ディカルバン兄弟が白ひげに聞く。


「あいつは今、あの小僧の船で寝てる。今は目を覚ますのを待つだけだ。心配かけたなぁ?あのバカ娘が」

「何言ってるんだい、オヤジさん」


白ひげの言葉にホワイティベイが笑みを浮かべる。


「あの子はあたしらにとっても大事な妹なんだよ。オヤジさんが言ってくれたんだろ?離れていてもあたし達を我が子と思ってるって。それなら、あの子もこの本線の奴らも変わらない。あたし達にとっても家族なんだからね」

「・・・・グララララ、そうだったなぁ?あの船にいる。煩くしねぇなら、まだ目を覚ましちゃいねぇが面見に行ってやれ!!起きてなくても、声くれぇは聞こえてんだろう」


行ってくると言って、船長達は白ひげに手を振って船を降りて行く。
そんな中、1人の男は真剣な顔で白ひげの前へ現れた。


「どうした?おめぇは行かなくていいのか?」


男・・・スクアードを見下ろして白ひげが聞くと、意を決した様にスクアードは顔を上げる。


「オヤジさんっ・・・!!!本当に、俺は・・・。あいつ、ルカにもわりぃ事をした・・・。オヤジさんを信じきれずに」

「おめぇは、まだそんな事言ってんのか・・・」


スクアードの言葉に酒を煽っていた手を止めて、厳しい眼差しを向けて彼を見下ろす。
それは、脇に控えていたハルタやイゾウも然り。


「だがっ!!」

「あいつは、確かに怒るだろうなぁ・・・」


白ひげが溜息を吐いて、スクアードに告げる。
それに、スクアードは肩を落としてしまう。


「だがなぁ、あいつが怒るのはおめぇが俺を狙ったことじゃぁねーぞ?」

「・・・は?」

「ルカが怒るのは、スクアード。おめぇがその後に取った行動だ」

「・・・・・・その後」

「あぁ、おめぇは危険も顧みずにあの場に残ると船員を引き連れて広場にきただろう?あいつはその事を怒るだろうな?何でだかわかるか?」


慈しむように、白ひげは優しげな眼差しでスクアードを見下ろす。
答えずに口を噤んでしまっているスクアードに更に白ひげは続けた。


「おめぇだって、あいつにとって掛替えのねぇ兄貴なんだ。それなのに、自分の命をあの場で捨てようとしただろう。あの状況なら、きっと誰もがあの手段を取ったかもしれねぇ・・だが、あの状況でも。命を捨てる覚悟じゃなく、必ず帰る覚悟をしなきゃいけなかったんだ。それがどれだけ難しい事かはわかる。・・・が、命を捨てる覚悟が出来るならあいつの様に生き抜く覚悟をするこった。いつまでも、そんな顔してんじゃねぇ。あの事を今も気にしてんのはお前だけだ。おめぇは、ルカが起きた時にもそんな顔してるつもりか?それなら、あいつが起きた時に笑って礼を言うんだな・・・!!それであの事は全部終いでいいだろう!!グララララ・・・」


その白ひげの言葉にスクアードは目頭が熱くなるのを感じる。


「そうだよぉ?そんな顔してたら、ルカが起きた時に思いっ切りド突かれるのは間違いないね!!」


顔を上げれば、ハルタがそう笑う。その隣では、イゾウがにっこりと笑みを浮かべている。


「今戻った」


顔向ければ、船を降りていた隊長達が戻ってきた。


「俺たちは一足先にルカの顔を見てきた。お前らも行ってくるといい」


ジョズの言葉にハルタがスクアードの肩をバシンと叩く。


「ほら、僕らの自慢の妹のお見舞い行こうよ!!」


涙を拭うとハルタとイゾウに並んでスクアードは、ルカの元へと向かったのだった。



「オヤジ、あいつは大丈夫そうか?」


スクアードの背を見送りながら、ビスタが尋ねる。


「あぁ、もう大丈夫だ・・・」

「そうか」


ビスタや隊長達の顔に笑みが浮かぶ。





その頃、ローの船では・・・


「あんたらみたいなむさくるしい奴らが付き添いじゃぁ、ルカがいつまでも目を覚まさないかもしれないじゃないかい!!」

「んだとっ!!?ベイ!もっかい言ってみやがれ!!」

「何度だって言ってやるよ!むさくるしい奴が傍にいちゃぁ、爽やかに起きれないだろう!!」

「どういう意味だってんだよ!!」


ホワイティベイとエースが盛大に言い合いを繰り広げていた・・・


「うるせぇよい・・・」

「すまんな、マルコ・・」

「あいつ、ルカの事んなると相当うるせぇからな・・・」

「あぁ・・・・」

「だけどよ・・・、見てみろよ」


サッチが、ルカの顔を指差す。
それに従って、3人が眠っているルカの顔を見れば


「暢気に笑ってるよい・・」

「あぁ、だが。いいもんだな・・・」

「そうだなぁ!!」

「こいつのこんな穏やかな顔。随分、見てなかったからな・・・」



やっぱり君には笑顔が似合う


(お前ら、いい加減にしとけよい・・・)
(黙ってなさいね!!マルコ!!)
(そうだ!!マルコはひっこんでてくれ!!!!)



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