travel-11



敵船へ降り立ったルカは、一先ず敵を減らすべく覇王色の覇気を敵に浴びせた。
そして気絶を免れ尚立ち向かってくる男達を槍で迎え撃った。


「てめぇ、女一人で乗り込んできて。敵うと思ってんのか!甘くみんじゃねぇぞ!!」

『知ってる?弱い犬程よく吠えるって言葉…』


男を見据えて、にやりと笑みを浮かべたルカは見下す様に告げる。


「ふざけんなぁ!!」


そう怒りを表し向かってくる敵を避け、槍を突き刺す。

向かってくる敵は、一人で敵わないとわかると一斉に飛びかかってくる。

槍の重さなんてないように、槍を振りかざし背中の翼を羽ばたかせながら闘う。

その時、マルコも青い翼を纏い甲板に降り立った。


「んな、気合い入れたら船の奴等が暴れたりねぇって愚痴ってくるよい。少しはわけてくれ」

『マルコ隊長。すいませんね。初陣は張り切ろうって決めたんです』


刹那、ルカを貫いた弾丸。


「ルカっ!!?」


慌てて、目の前の敵を蹴り飛ばしルカに駆け寄ったマルコは目を見開いた。

黒い羽を散らし、撃たれた場所は消え失せる。


『別に覇気纏ってなきゃ平気ですって…』

「おめぇ、なんでもありかよい…」

『さぁ、どうでしょう。ってゆーか、マルコ隊長今あたしの名前呼びましたよね!』


にかっと、敵船にいて戦闘の真っ最中には不似合いな笑顔を浮かべたルカ。


「……気のせいだい」

『なんですか?マルコ隊長…その面でツンデレですかよい?』

「バカにしてんのかい?」


会話をしながら、ばったばたと敵を薙ぎ倒していくルカとマルコ。


「くぉらぁーーーー!!俺の分残しとけよ!!バカ共ーーー!!」


すぐそこまで近付いていたモビーから、サッチが大声で叫んでいる。


『あ、サッチさん…』


サッチを皮切りに一斉に乗り込んだ白ひげ海賊団の戦闘員に為す術なく大敗を喫した海賊達は、積み荷を回収されそのままに海へ放たれた。


「ルカお前強ぇなぁ!?もう、俺びっくりよー!」

『そら、あの地獄の特訓されりゃ強くもなるっての…』

「?地獄の特訓?お前、師匠みてぇな人いたのか?」

『一応ね。見た目は無害そうなワイルドでダンディーなおっさんのくせに。皮を剥がせば、鬼畜の限りを尽くしたおっさんが…』

「へ、へぇー(余程根にもってんのかね、そのおっさんに)」

『あ、オヤジさん!!』


甲板をサッチと話しながら進めばその先に白ひげを見つけたルカは駆け寄った。


「強ぇじゃねぇか。だが、もうあんな闘い方はすんじゃねぇぞ」

『っ!はい…』

「よし。じゃあ、勝利と末っ子の初陣を祝って宴だ!」

「「うおーーーー!!」」


男達の雄叫びと共に酒が運ばれ、宴は始まった。


「ルカ、ちょっと話をしようじゃねぇか」

『あ、うん』


白ひげの近くでサッチやハルタにもみくちゃにされるルカに白ひげが話しかけた。


「おめぇの食った悪魔の実。ありゃぁ、ハネハネの実だろ?」

『うん…』

「かなり貴重な実だ。幻とされ、今じゃ伝説上の実だと思われてる」

『そうらしいね…』

「天使が悪魔に騙され手を貸し、海に堕ち天に帰れなくなり堕天使となった。その力を実へ宿した。悪と聖の両方を兼ねてるらしいな…」

「どこで手にいれた?おめぇが故郷の事を話さねぇのはそのせいか?」

『ううん。それは親父さんの深読みのしすぎだよ。あたしの事知りたい?』


そうルカが口にした途端、ざわついていた甲板は一瞬にして静かになった。


「話してみろ、俺らは誰もお前を疑わねえ」


その言葉に頷いたルカは、真剣な眼差しを白ひげへと向けた。


『………あたしは、この世界の人間じゃ…ない…』



語り出す堕ちた経緯


(この世界ってどういうことだ?)




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