savior-18





"海軍本部"のある島"マリンフォード"には主に海兵達の家族が暮らす大きな町がある。
現在住人達には避難勧告が出ており、避難先のシャボンディ諸島からモニターによって人々が公開処刑の時を今か今かと待っていた。
各所より集まった記者やカメラマンもまたここから世界へと情報をいち早く伝えるべく身構えていた。

「おい見ろ!火拳が出てきたぞ!!」

モニターには、海兵に連行されたエースが処刑台にて膝をつかされ、両脇の海兵の剣がエースの前で交差されている。

海軍から出される監視船は出航の度に撃沈され、"白ひげ"の目撃情報は皆無。マリンフォードに走る緊張は高まるばかりで…迫るエースの処刑執行まで3時間をきっていた。

「緊張を解くな!何が起きてもあと3時間!!そこで全てが終わる!!」

世界各地より召集された海兵達総勢約10万人。その精鋭達がにじりよる決戦の刻を待っている。
三日月型の湾頭及び島全体を50隻の軍艦が取り囲み。湾岸には無数の大砲が立ち並ぶ。
港から見える軍隊のその最前列に構えるは 、戦局のカギを握る5名の曲者達。

海賊"王下七武海"

待ち構えるくま、ゲッコーモリア、ドフラミンゴ、ミホーク、ハンコック。

そして、広場の最後尾に高く聳える処刑台には事件の中心人物"白ひげ海賊団"二番隊 隊長ポートガス・D・エースが運命の刻を待つ。
その眼下で処刑台を堅く守るのは、海軍本部"最高戦力"3人の"海軍大将"黄猿、赤犬、青雉が揃い踏み。処刑台の真下で、それぞれ椅子に腰掛け並んでいる。今、考え得る限りの正義の力がエース奪還を阻止する為"白ひげ海賊団"を待ち構えていた。

そこへ、センゴクとガープが現れ、ガープは処刑台の下へ、センゴクは処刑台へ上がり、電伝虫を手にした。

「諸君らに話しておく事がある。ポートガス・D・エース…この男が今日ここで死ぬ事の大きな意味についてだ………!!エース、お前の父親の名前を言ってみろ!!」

「! ……………………」

「オヤジ?」

「何だ?こんな時に…」

センゴクの言葉に困惑を現し、ざわつきだす海兵達の中エースの声が響いた。

「オレの親父は"白ひげ"だ!!」

それを聞いたセンゴクは否定をするが、尚白ひげが父親だと告げるエースを一蹴してセンゴクは語りだした。

「"南の海"にバテリラという島がある。母親の名前はポートガス・D・ル ージュ。女は我々の頭にある常識を遥かに越えて、子を想う一心で実に20ヶ月以上もの間、子を腹に宿していたのだ!そしてお前を産むと同時に力尽き果て、その場で命を落とした」

それを聞いたエースの形相が怒りのものへと変わる。

「父親の死から1年と3ヶ月を経て…世界最大の悪の血を引いて生まれてきた子供。それがお前だ!!知らんわけではあるまい……!!お前の父親は、"海賊王" ゴールド・ロジャーだ!!」

海兵達は声も出ないほどに驚き、狼狽している。
そして、処刑台の下ではうつむき、青ざめているガープ。
そして、尚センゴクは言葉を続けた。
エースが母親の名を名乗り…海賊団の船長として、名をあげだした時になってようやくロジャーの血が絶えていなかった事に気付いたのだと、そして、それに気づいた"白ひげ"がエースを次の"海賊王"に育て上げるべく自分の船にのせたのだと言う。
そして、必ず海賊次世代の頂点に立つ資質を発揮し出すだろうエースを例え白ひげとの全面戦争になろうともここで処刑を執行
する事に大きな意味があるのだと宣言した。

高々と上がる咆哮が海軍本部を呑みこんでいく。
その時、センゴクに正義の門が開いた事が報告される。

「どこから来るかわからんぞ!!海上へ目を向けろ!!必ず奴等は近くに来ている!!」

センゴクの声が響いた時。
突如として多数の海賊船が港の沖に姿を現した。
海軍は全員戦闘態勢へと入る。

「"遊騎士ドーマ"、"雷卿マクガイ"、"ディ カルバン兄弟"、"大渦蜘蛛スクアード"。 いずれも"新世界"に名の轟く船長ばかりの早々たる面々!総勢43隻、"白ひげ"と隊長達の姿は見えませんが!!間違いなく"白ひげ"傘下の海賊達です!!」

見張りの海兵からの通信が入る。

処刑台の上から彼等の姿を見たエースは怖れている物を見たような顔をし、震えていた。

「…………… お前らまで…っ!!」

海兵達がセンゴクへと指示を仰ぐが、センゴクは白ひげが必ず近くで何かを狙っている筈だと、警戒をする。
そして、最前列にいる七武海ドフラミンゴとモリアは楽しげに顔を歪める。
その時だった。

ゴボゴボ

大将達やセンゴクがある音に気がついた。

ゴボボ ゴボッ

「!?まさか……」

「どこからだ!?」

ゴボ… ゴボボ ゴボボ… ゴボ…

「……こりゃあ、とんでもねェ場所に現れ やしねェか…」

「布陣を間違えたかねェ…」

額に汗を流しながらガープとおつるは眼下の湾頭を見下ろす。

ゴゴゴゴゴゴゴ…

「湾内海底に影が!!」

「…そうだったのか。あいつら全船 …コーティング船で海底を進んでたのか…!」

ブクブク…と気泡をあげながら、ザパァッと浮かび上がったのは巨大な白ひげ海賊団の本船"モビー・ディック号"。
次いで3隻の白ひげ海賊団の船が浮かび上がり、4隻はいずれも湾内への侵入を果たした。
船には15人の隊長達もいた。

「"白ひげ"………」

「グララララ…何十年ぶりだ?センゴク」

カツン、カツンと船首への階段を上る音が響く。
モビーディック号の船首に現れたのは、海賊"白ひげ"。

「おれの愛する息子は無事なんだろうな?」


序章、そして……家族の愛

(何であの門開いたんだ?)
(さぁな。そんな事より、ルフィ…)
(ん?なんだ?ライ)
(着いたらとにかく進め。俺もお前の傍にいる様にする。けど)
(お前は好きに動けよ。俺は大丈夫だ!)
(………………ルフィ。あぁ、わかった!)



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