savior-17





ルフィが船首に上がるのを見守っていたライにクロコダイルとジンベイが声をかける。

『ん?どしたぁ?』

軽い調子で二人に声をかけながら笑顔で近寄るライに内心でこれから戦場に向かうという緊張感にかけると思いながら聞いた。

「お前さんはルフィ君の船のクルーなんじゃろう?」

『ん?あぁ。麦わら海賊団のクルーだけど。俺は臨時だよ。これが終わったら俺は船を降りる…』

「そりゃぁ…ルフィ君は知ってるのか?」

『知ってるよ。さっきもその話してたんだ』

微笑みを浮かべて船首にいるルフィの背を見つめるライ。

「降りた後はどうするつもりなんだ?てめぇで海賊団を作るのか?それとも、どっか違う船に乗るのか?」

『さぁ?どうすると思う?つーか。それを何でお前に教えなきゃいけねぇーの?』

「寂しくはないんか?」

『ルフィ達と別れる事?寂しくなんかねぇよ?だって、生きてこの海を渡ってれば嫌でもまた会える』

「そのわりにはてめぇのあいつに対する行動は随分と入れ込んでねぇか?」

「確かに、そうじゃのう。ルフィ君に何があるんじゃ?お前さん程の強さでありながら、予測ではお前さんのが強いじゃろ?何故、ルフィ君に従うんじゃ?」

『……んなの。ルフィだからだよ。それに、俺は別にルフィに従ってるわけじゃない。目的を果たすためには、あいつを何が何でも守り抜いて、あいつの兄貴のとこに連れてかなきゃいけねぇ。ただ、それだけだよ?それに、あいつは俺にとって大事な友達で、手のかかる弟でもあるしね?』

「あいつの事はもういい。俺はてめぇの事が聞きてぇ」

クロコダイルが鋭い視線でライを射抜いた。

『俺の事?さっきも言ったろ?まだ内緒だぜ?それに、ここで話して説教くらうのやだし。何より盗聴されてねぇとも言いきれないからな。まだ、俺の事を海軍に知られちゃ困るんだよ』

「………海軍とな?」

訝しげな視線をライへと向けるジンベイにそれまで、にやりと不敵な笑みを浮かべていたライがニッと笑いかける。

「……!?」

『俺の敵は、海軍ともう二ついる。海軍はお前らもいるからな!楽に、とはいかねぇだろうけど。何とかなると思ってる』

「二つの内の一つは黒ひげか?まぁ、てめぇのあの殺気と覇気から大体の想像はついてるがな」

「住んでた島でも襲われたのか?」

ジンベイが気の毒そうに訊ねた。

『いや。襲われてねぇけど?あいつとはちょっと因縁あんだよ。』

ジンベイとクロコダイルに向けていた視線を空へと向ける。

『俺にとって、これから行く海軍本部との闘いは過去から託された願いと俺の願いを叶える場所なんだ。だから、俺は何としても前に進む。腕が無くなろうと、脚がもげようと。俺は進み続けなきゃいけない。その先で待ってる人たちの笑顔のために…!』

ライの顔は笑顔で、ライから伝わる気迫とではとてもアンバランスであった。
が、その姿に二人は、目を離せなくなる。

「(本当に不思議な男だ。ルフィ君と同じ位に人を惹き付ける。まるで、ルカのようじゃ…)それなら、わしも微力ながら手を貸そう。お前さんのが真の目的が何かは知らんが、目下のエースさん奪還も視野にいれとるんじゃろ?」

「ふん。てめぇの目的が何かは知らねぇが。死ぬ様なヘマすんじゃねぇぞ。せっかくおもしれぇもん見つけたんだ。わかったな?」

そんな二人に視線を向けたライがまた飛びきりの笑みを見せる。

『おう!サンキューな、ジンベイ。あと、クロコダイル。俺はてめぇのおもちゃじゃねぇぞ!?そこ履き違えるなよな!?』

「(似とるな…笑った顔が。エースさんによく……)」

と、そこへルフィのジンベイを呼ぶ声が響いた。

「おおーい!!ジンベイ!見えたぞ"正義の門"早ェなぁ!! 」

笑顔のルフィへ舵を取るジンベエが言う。

「遅いくらいじゃ…風が手伝えばもっと早く着いたハズ。さて、あの門をどう越えるかのう…」

『大丈夫だ。風は追い風。問題ないさ』

ジンベイに声をかけるとライは地を蹴り飛び上がるとルフィの隣へ降りた。

「ジンベイに言わなくていいのか?黒ひげが言ってたろ?仲よかったんだろ?」

そう言ったルフィに目を見開く。

『……あぁ。今はまだ……もう少しこの姿のままでいなきゃいけないからな』

「そっか…。俺お前の翼、綺麗だから好きなんだけどなぁ」

『………すぐ見せてやるよ。今は、エースのとこ行く事だけ考えろ。バカ』

ルフィの思わぬ言葉に少し照れると聳える正義の門を見上げる。
隣ではルフィが笑っている。



暫しの休息
立ち塞がるは正義の門

(たく…天然たらしだったとはな…)
(なんだ?それ?)
(ん、知らなくていい……)

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