savior-8




うっすらと目を開ける。
騒がしい喧騒は今も尚ライのすぐ側で聞こえてきている。
ぼおっとする意識をなんとか引き戻してゆっくりと体を起こす…





『っ!?ぎゃああぁあぁぁぁぁっ!!』




ライの叫び声が木霊した。








「全く!!人の顔見て叫ぶなんて!!失礼な奴っちゃぶる!!」

『…はぁ。何かすいません…』

「あんたっ!!何、その不満そうな顔っ!!」

『(いや…不満にもなるだろ。皆の夢見てた後にあの顔のドUPとか…)』

「全く。まぁ、いいわ!!そんな事より、あんた。手配書で見るよりいい男じゃないのっ!!」

『……そらどうも。んな事よりさ!!ルフィとMr.2は!?』

聞いたライにイワンコフは出入り口を指差す。

「ヴァナータが起きるより前にボンボーイは起きて麦わらボーイの元に行ったわ」

『……………そっか。俺結構寝てたみたいだな…』

「凍傷と古傷以外に外傷がなかったとこをみるとヴァナータ、ここに来る前何してたの?疲労が常人の何倍も溜まってたようだけどー?」

『な い しょな!そんな事よか早く案内してくれよ!』

「全く……まぁ、いいわ」

そう言って席をたったイワンコフに続いて部屋を後にした。

「ここはlevel5とlevel6のちょうど中間。level5,5、ニューカマーランド。監獄の中の楽園っちゃぶる」

『そうみたいだね…』

話をしながら進むとMr.2の声とルフィの声が聞こえ出す。

「頑張れー!麦ちゃん!!頑張れぇぇええ、!」

そして、ルフィの聞いているこっちまで苦しくなる様な悲鳴。

『……こうなって…何時間たつ?』

「そうねぇ…大体もうすぐで20時間はたつんじゃないかしら」

『イワンコフさん…本当に感謝する。ありがとう』

「まだ、麦わらボーイは生きるかわからないのにお礼?奇跡は諦めない奴のもとにしか起こらない!ボンボーイにも言ったけど、奇跡な『めてないですよ?』え?」

『信じてるんです。いや、知ってるってのが。正しいか。でも、俺はあいつを信じてる。必ずどんな壁も困難もルフィは乗り越えていくんだって……』

そうルフィのいる扉を見て言うと、すぅーっと息を吸い込んだ。



『ルフィーーーーっ!!行こうっ!!エースがっ!!エースが待ってる!!お前がいなきゃ!!エースは救えないんだよっ!!お前が!!ルフィがっっ!!エースを助けるんだよっ!!』



「ヴァナータ!それわかって言ってんの!?もし、麦わらボーイが助かったとしても、最低でも3日、いや2日はゆっくり静養させなきゃ」

イワンコフがライへ捲し立てた時。

絶えず聞こえていたルフィの声が消える。

「治療の途中で痛みが消える事はない筈。それが、消えたということは…残念だけど…この20時間よく苦しみに耐えたわって!!あんた、何笑ってんの!!?」

『………ルフィ』

笑顔を浮かべて名前を呼んだ時。
ルフィのいる部屋の扉が吹き飛ぶ。




「めぇぇえええぇぇしぃいぃぃぃぃぃ!!」




そして、ルフィの声が響いたのだった。

『ルフィっ!!よかった!!』

「うぉっ!ライ!おめぇも無事だったんだな!?」

いつもはルフィが飛び付くのだが、喜びからライがルフィを抱き締める。
それにルフィも笑顔を浮かべてライに声をかける。と、

「あっ!!そうだ!ボンちゃん!ボンちゃんは!!」

Mr.2の安否を確認するが、Mr.2は長時間ルフィを応援していた事で体力を消耗し倒れた事を聞く。

そこへ、大量の食料が運び込まれる。

『とにかく、今はMr.2はこいつらに任せて。飯食べちゃえよ!!腹、減ってるんだろ?Mr.2を変な様にはしねぇだろ』

それに、そうだな!と相槌をうつと猛スピードで食事を開始した。

それをライはニコニコとしながら、たまにルフィがこれうめぇぞ!と薦めるものを少し貰いながら見守る。
ようやく食べ終えた事でルフィはイワンコフへエースの居場所を聞いた。

「なぁ!イワちゃん!エースの居場所知らねぇか!?」

「エース?さっきもそこの紅ボーイが言ってたけど。まさか、火拳の事?」

『(…………紅ボーイって…)』

「あぁ!!俺、エースを助けに来たんだよ!!ライもそうだ!なぁ、エースはどこにいんだ!?」

「助けにって。あんた、エースボーイがいるのは、その行いが残忍すぎるゆえに存在さえ末梢された伝説級の罪人達が入れられている場所。その名も、level6 無限地獄。末梢されているがゆえにそのフロアでさえも世間に公表されていない。最近じゃぁ、火拳のエースの他に火拳のエースの処刑に反対した七武海も収容されたと聞くわ。そんな場所にわざわざ捕まりに行くっていうの!?たかが二人で!!」

『「いや、俺ら強いし」』

「そぉいう事じゃないっちゃぶる!!」

「大丈夫だって!!ライもいるんだ。それに、エースは俺の兄ちゃんだ。みすみす海軍なんかに処刑なんかされて堪るかってんだよ!」

『そうそう。俺もいろいろわけありでさ!エースを助けたいんだ!!』

「ん?おい、ライ。エースはお前のおと…ごふっ!?」

ライの裏拳が見事にルフィの顔にめり込む。

『ってわけなんだよ。そのlevel6に行く道おしえろ!』

拳をめり込ませたまま笑顔を浮かべるライに全員が冷や汗を流す。

「(おい…誰か止めろよ…麦わら復活したばっかだぞ…)」

「(嫌に決まってんだろ。見ろよ、あの笑顔を…)」

そうして、少し会話をした後にルフィがイワンコフの同胞でもあるドラゴンの息子とわかると、イワンコフはちょっとした勘違いを含みながらもエース救出に手を貸してくれる事となる。

そして、ニューカマーランドへMr.2とイワンコフ曰くキャンディー達を残して、ルフィ、ライ、イワンコフ、イナズマの4人でlevel6へと走り出したのだった。

その頃。
エース護送の任務を受けた軍艦がインペルダウンへ入港し、エース護送への準備が着々と進みだしたのだった。




「(ルフィ…来るなっ!!来るんじゃねぇぞ!!ルフィっ!!)」



刻むタイムリミット

(今行くぞ!!エース!!)

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